エンターテイメント、誰でも一度は憧れる。

PCグラフィック、写真合成、小説の下書き。

サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・NO-(8)&CG

2008-06-03 02:52:46 | 小説・サブリミナル・美しい子悪魔
サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・NO-(8)&CG

「なにかっこ着けているのよ。でも良い所あるじゃない。来てくれていたんだ」。

その頃、本富士署捜査本部では。

捜査員たちは納得がゆかず、帰らずにデカ部屋に集まっていた。
本件事件が発生した六月六日、午後六時半から七時。藤井綾子が観戦していたと言うナイター東京ドーム正面玄関に設置されている防犯カメラを取り寄せ、観ている。
「居たッ!・・・巻き戻せ」若い村井刑事はプレイバックさせる。
全捜査員は身を乗り出す。デカ長が指差す一点に集中する。
「やっぱり藤井綾子は犯人じゃなかのか。ドームに入ったのは午後五時五十五分。これじゃ疑う余地はないな。
この時間からアパートに戻って犯行を行って、ゲームの開始に間に合う筈が無い。藤井綾子は白だ。捜査は一からやり直しだ」。報告書を机に叩き付ける。
村井 「デカ長。じゃあ犯人はだれなんですか」。
デカ長「馬鹿者。そんなの分かるかッ!・・・」。


・・・・完



サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・NO-(7)&CG

2008-06-03 02:49:43 | 小説・サブリミナル・美しい子悪魔
サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・NO-(7)&CG

「佐藤、お前どうして黙っていたんだ。規約違反だぞ・・・まあ早く分かったから良い様なもんだがな」。
佐藤刑事は黙ったまま頭を下げるしかなかった。
その日の夕方、藤井綾子は釈放された。玄関には娘の敦子と綾子の姉の二人が迎えに来て居た。早乙女は細かい事は言わず「良かったわね」。そう言うと帰宅した。
本郷の自宅。南は食事を済ませ、テレビを観て居る。電話が鳴り、母が出る。
「南ッ!、電話よ。・・・」
「だあれッ!」
「知らないわよ、訊いても言わないもの。男の人」。南は心当たりが無かった。テレビを切ると電話に出る
「はい。代わりました、南です」。
「弁護士さんよ、俺は見たんだがね。木村の女房が六時半ころアパートを飛び出したのをよ。聞けば無罪放免だそうだが、どうなっているんだね。少しでいいから融通して貰えないかね」。
南とドキッと背筋に冷たい物を感じた。五十代だろうか、声は掠れている。話し方は丁寧ではあるが、どこかぎこちない。
「どう言う事でしょう、ともかくお会いしてお話しだけでも訊きましょうか」。
「分かりが早いじゃないか、三十分後、春日町駅前にある喫茶店ラムーで待ってっから。少し助けてくれや。じゃあな」。
南は話器を置き、再度受話器を手にした。佐藤刑事に電話を入れる。
「佐藤刑事、早乙女です。まだお疑いならアリバイの証言者をもう一人紹介しますから、三十分後、春日駅前の喫茶店ラムーに来て下さい」。そう言うと応えも聞かずに受話器を置いた。
「お母さん、仕事の事で出掛けて来るから。一時間くらいで帰るから」。南は二階へ駆け上がる。バックを肩に出掛ける。

 喫茶店ラムー。午後六時三十分、店に入るとコーヒーを注文した。窓際の席に座り店内には若いカップルが四組、中年男性の二人連れ。背中を向けて座る中年の男。
斉藤刑事の姿はなかった。
「弁護士の早乙女さんだな」。突然背中越しに呼ばれた。電話の声と姿形が釣合わず、頬は痩けて貧弱な男であった。男はコーヒーカップを手に、南の向かいの席に移る。
「貴方ね電話くれたの」。そう言いながら藤井綾子の写真を男の前に差し出す。
男は身を乗り出す、なんだ。そんな顔をして写真に手を延ばす。
「これは木村の女房じゃねえか」。言葉とは裏腹に、写真に釘付けになる。
「それで、見たって何を見たんです?・・・」。
「エッ・・ああ、俺は木村の達で大井って言うんだけどよ。あの日の午後五時四十五分ころだったかな。春日町駅で奥さんを観たんだ。それで、そのまま東京ドームへ行った。俺もナイター観ていたから。
警も馬鹿ったれだよな。そのアリバイを証言すっから、弁護士さんよ、少し融通してくれねえかな。じゃなきゃ、アパートに居たって事にして、警に言っても良いんだがな」。
突然、隣のテーブルにいた二人の中年男性が立ち上がる。大井の隣に立つ。
「警察だ、恐喝の現行犯で逮捕する」。警察手帳を掲示する二人。
「エーッ!・・・」。大井は仰天し、逃げようとテーブルに足をぶつけ、勢い良く転んだ。胸のポケットから何かが床に落ちる。真っ白な粉が入ったビニール袋。
転んだ大井に刑事の二人は覆いかぶさる。
「なんだこれはッ!」。一人の刑事が拾い、大井の目の前に差し出した。
「申し開きがあったら聞こうか、薬だなッ!・・・覚醒剤だな」。一人の刑事が腰から手錠を取り出し。大井は頷き、観念したのか、両手を差し出した。
「弁護士さんでしたか、怪我はありませんか」。
「はい、お陰様で助かりました」。                  
「この大井と言う男は麻薬の売人でしてね。ずっと前からマークしてたんです。では後程、失礼します」。二人は麻薬取締官だった。
店内は客も少なく、大した騒ぎにはならなかった。南は運ばれて来たコーヒーに手を延ばし、ブラックで口に運ぶ。
すると、一人の男が早乙女の背中越しに歩み寄る。それは佐藤刑事である。
「どうも、観ていましたよ。あの男がアリバイの証言者でも信頼性に欠けますな。一つ忠告します、危ない真似は止した方が良いですよ。では失礼」。そう言うと早乙女の勘定書を手に、支払いを済ませて帰って行った。
NO-7-12