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サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・続・NO-(10)&CG

2008-06-06 03:08:06 | 小説・サブリミナル・美しい子悪魔
サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・続・NO-(10)&CG

「九時頃に薬の売人が早乙女弁護士を恐喝して、麻薬取締官に恐喝の現行犯で捕まりました」
「なんで売人が弁護士を脅したんだ?・・・変だろう?・・」
「それがですね、警部も行ったんでしょう」
「行くには行ったが話しは聞いていない」
「大井とか言う男ですが、木村の友達とかで、大井も当日野球を観ていたらしいんです、藤井さんがドームに居た事は知っているけど、彼女は事件が起きた時間にアパートに居たと警察に言うと脅して金をせびった様です」。
「アッハハハ・・・馬鹿な奴だ・・・その大井を調べるか、そう言えば、事件当日、男がアパートの周辺に居たと聞き込みがあっただろう。大井じゃないのか」
「ああ、そう言えば男が一人うろついていたとありましたかえど。大井ですかね」
「それを調べるんだ・・・帰るか、ってお前は泊まりか?・・・」
「ええ、どうぞお帰り下さい。前島さんと泊まりですから」
「分かった、前島、じゃあな」。と佐藤は村井刑事の肩をポンと叩くと出て行った。
「村井、お前は藤井綾子が本星だと思っているのか?・・・」
「このビデオを視るまでは決まりだと信じていましたけど、アリバイが犯人では無いと言っていますから・・・」
「まるで狐につままれた感じだな。その大井とか言う男は?・・・」
「ケチな売人だそうです、麻薬取締官に同期が居まして訊いたんですけど。大井は子供の頃から万引きやら無銭飲食で補導されて少年院を行ったり来たりだったそうです。それでも刑務所へは一度も入っていません。
元々気の弱い男で、未だに独身で殺しが出来るとは思えないと話していました」。
「そうか、ま、人間なんて分からないからな。あの人が・・・そんな人間が重大な犯罪を起こす時代だからな。どこをどう捜査すれば良いのか?・・・」と前島刑事は呆れた様にカップラーメンの封を開けていた。
「お前も食うか?・・・うどんだけど」と新しいカップ麺を差し出した。
「はい、頂きます」と貰うと村井はお茶の支度を始めた。

翌朝、刑事部屋では捜査会議が始まった。
「では捜査会議を始める、佐藤のチームは大井幸次を当たってくれ。事件当日アパート周辺で目撃された男かどうか当たってくれ。
前島のチームはもう一度、藤井綾子さんのアリバイを証言した人間に会って、再度証言の裏づけ。望月のチームは静岡へ行ってくれ、南弁護士の過去を洗って来い」
「課長、南弁護士の過去ってどう言う事ですか?・・・」
「彼女の父親も弁護士だったそうだ。夕べ帰ったら静岡県警に同期がいてな、小林と言う警視だが、彼から不思議な事を聞いた。
今回の事件を聞いて電話してきた。彼女の父親は早乙女大吾と言って判事だったうだ。それが10年前に弁護士に代わったそうだ。
その理由が、十年前に離婚した夫を殺しで逮捕された事案の裁判を済ませてから、突然判事を辞めたそうだ。
内容を聞くと、本件と全く同じ事件でな、仕方なく有罪の捌きを言い渡したそうだ。執行猶予付きだったそうだが。

そこからが不思議な話でな、翌年にまた同じような殺人事件が起こった。仕事もしないで酒と女、ギャンブル好きな旦那が子供の預金に手を付けた。
女房が怒って嗜めたら、殴る蹴るの暴力をした。その様子を見ていた娘が台所から包丁を持ち出して父親を刺し殺した。
警察はそう睨んで捜査を始めた。そかし、女房も娘も知らないの一点張りで黙秘を続けた。
凶器には母親と娘の諮問がベッタリ、そこへ早乙女弁護士が着いた。
今回と同様に、親子にはアリバイがあり、無罪で釈放だ。未だに犯人は挙がっていない。何かあると思わないか?・・・」
「課長はどう考えているんです、その小林警視は?・・・」佐藤は身を乗り出した。
「どうもこうもない、気になる事があれば調べる。それだけだ。佐藤は?・・・」
「サイキックなんてどうですか?・・・」その言葉に刑事たちは笑い出した。
「警部の口からサイキックの言葉が出るとは思いませんでした。じゃあ早乙女親子はそのサイキックでアリバイを作り出したというんですか?・・・」
「笑いたい奴は笑え、よく考えてみろ。当日、綾子は一人で部屋に居た事は確かなんだぞ。そこへ木村が来た。木村には不運だが、その時間には綾子以外にアパートには居なかった。何が起こっても綾子の自供が無ければ容疑者に過ぎない。
状況証拠だけで犯人と決め付けて送検した事には反省している。
そこへあの南弁護士だ。課長の話を聞いて、父親も同じ能力があったんじゃないのか。だから確定犯のアリバイを作り出せた」
NO-10


サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・続・NO-(9)&CG

2008-06-06 01:36:46 | 小説・サブリミナル・美しい子悪魔
サブリミナル・第一章(美しい子悪魔)・続・NO-(9)&CG

継続・・・1
課長の鈴木は顔を真っ赤にして村井刑事を見ると、みんなの顔を一望した。
「いいか、皆よく聞け、木村は殺されたんだ。佐藤警部は女房だと決め付けて捜査を進めたからこんな結果になった。信じて任せた私にも責任はあるがな。
検事はその為に地方へ飛ばされた。村井、佐藤を呼んで来い。辞表は私の所で止めてある。辞めるなら犯人を挙げてからにしろって」。
「分かりました、行ってきます」。と村井は歩き出した。そして止まった。
「課長、藤井綾子が巡回中の巡査に職質された時に着ていた服に付いていた血は木村の血です。それはどう説明が付くんですか?・・・」と思い出した様に効いた。
鈴木課長も他の刑事も、「そうですよ、説明が付きません」と口々に言いながらデスクを離れて集まってきた。
「それだ!・・・」と怪訝そうに皆の顔を見ていた。「これは仮説だが、本星がだ、綾子の野球観戦から出て来るのを待って、電車で店へ行く途中に付けたんじゃないのか。電車の中はナイター帰りの客で満員だった。
少しくらい着けられても分からないだろうからな。それに、一緒だった南薬局さんも早乙女弁護士の母親も、胸元に付いていた血痕に気が付かない筈が無いだろう。
綾子は野球観戦の後に、誰かに付けられたって事だろうな」
「ああ、そう言う事ですか?・・・では警部を呼んで来ます」と出て行った。
「課長、でも誰がそんな事までして綾子に殺人を擦り付けようとしたんでしょうか。聞き込みでも綾子に同情する人間は大勢いましたが、恨んでいる人間なんか一人も居ませんでした」。宮入刑事の言葉に他の刑事も頷いていた。
「その事は私も聞いている、だが、それを調べるのが我々の仕事だ。木村は多方面で恨みを買っていた男だ。それを洗え」と鈴木はデスクに座って書類を手にした。
そして、思い出した様に壁の時計に視線を移した。22時を回っていた。そして部下を見ていた。
「今日はもう帰れ、明日から一から捜査のやり直しだ」。
「分かりました、では失礼します」と刑事たちはデスクを片付けると帰って行った。

そして三十分、村井が佐藤を連れて戻った。
佐藤は申し訳なさそうに鈴木の前に来た。
「課長、申し訳ありませんでした」
「うん、ともかく辞表は返す」とデスクの引き出しを開けると封筒をだして差し出した「良いか、君の思い込みで検事は飛ばされたんだ。その汚名を晴らしてやれ。その後、続けるも辞めるも自由にしろ」
「はい、申し訳ありませんでした。それで、捜査は?・・・」
「うん、藤井綾子は話したように五時五十五分にはドームに居た。防犯カメラにハッキリ映っていた。野球が終わった時間にも三人でドームを出る姿もあった。
彼女は白だ」佐藤警部はそれでも浮かない顔をしていた。
課長はデスクの引き出しから警察官バッジと手錠を出し「これ」と渡した。
「有難う御座います。しかし参りました、あの早乙女という弁護士にはやられました。我々の先を越しているんですから。課長、可笑しいと思いませんか」
「何も可笑しくなんかないさ。容疑者は、だった藤井さんは弁護士には何も可も話していた。それだけの事だろう。それとも何か?・・・弁護士が証拠を作り出したとでも言うのか」。と呆れた様に佐藤警部を見ていた。
「・・・」佐藤は浮かない目をしてじいっと見ていた。
「納得が行かないようだな。確かに状況は藤井綾子さんが本星だと言っている。
彼女のアリバイを証言した早乙女弁護士の母親、南薬局の証言は口裏を合わせたとしよう。ゲートと売店、それから春日駅の駅員も口裏を合わせているとしよう。
では訊くが、防犯カメラに映っている藤井綾子さんはどう説明するんだ。
防犯カメラの映像も最初から準備して、これは計画殺人だとでも言う積もりか」。
佐藤はそれでも尚、解せんが行かない素振りで黙っていた。
「警部、防犯カメラのビデオは警備会社から借りて来た物で、当日、新しいビデオの封を開けてセットした物で、早乙女弁護士とも藤井さんとも全く接点はありません。課長の言う通りです」と村井刑事はデスクに行くとビデオテープを持ってきて見せた。佐藤はそれを持って見ていた。
「いい加減にしろ、彼女は無罪で釈放されたんだ・・・」鈴木の目が険しくなった。
「課長、一事不再理を狙った弁護士の策略に我々は・・・」
「まだそんな事を言っているのか。裁判官もこの映像を視ているんだ。それで無罪を言い渡した。藤井綾子の線は忘れろ、いいな!」と荷物を持って帰った。
村井、早乙女弁護士が扱った事件の調書を探してきてくれ」
「課長に言われてもう調べました。今回の様な殺人事件を扱った弁護はありませんでした。今回が初めてです」
「そうか、俺の思い過ごしか。何か引っ掛かるんだ。じゃあ明日から真犯人を探すか。それで、何か変わった事は?・・・」
NO-9