小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(41)&CG
京平は丸子町を抜けるコースを取った。松本市内から254号線に入り、三才山トンネルに向かって走らせた。
その道は混む事もなく、鹿教湯温泉から大塩温泉、そして霊泉寺温泉と経て丸子町に入るのに、白馬から一時間半そこそこだった。
そして大屋町から旧北國街道である国道18号線に入った。
すると、東部町に差し掛かると帰省ラッシュにはまってしまった。
京平は右折し、茂野塾に入って旧道を走った。それはスムーズに走りつづけた。
そして国道に合流する手前で左折した。すると信号が青、ラッシュはまだ続いていた。すかさず流れの中に入った。
そして四十分、たった四キロの距離を四十分かかって小諸市に入った。
外は真夏の太陽の日差しが降り注ぎ。車のホンネットから陽炎が立ちのぼっていた。
美保は窓にタオルをかけ、日差しを遮っていた。クーラーを強くしても差ほど効き目がなかった。そんな中、やっと御代田町に入った。
外の空気も幾分涼しくなり、車のデジタル時計は十時二十分を表示しいた。
「京平さん、喉が乾いちゃった」。
「僕もだ。少し先にレストランがあるから休憩しよう」。
行くと、駐車場にはフェンスが置かれ潰れていた。京平は仕方なくスタンドへ入った。そして給油と車を冷やす為に後ろの自転車を降ろして洗車を頼んだ。
そして涼しいスタンドの事務所で缶ジュースを買って一服した。
「京平さん、ゴルフ用の手袋欲しい。買っても良いですか」?
「うん、いいよ。両手があるのを買おうか。僕も買うよ」。
そして京平は黒のダンロップを、美保はシャネルの薄いブルーのゴルフグローブを買った。京平は何に使いたいのか分かっていた。
「花火も買おう、今夜やろうよ」。
京平は黙って頷いた。すると美保はパックになった花火セットを五セットも買った。
そして給油が済んで洗車も終わり、店員がキャリアに自転車を取り付けていた。
京平は取り付けを見に外に出た。
すると、ムッとする外の厚さに驚きながら車に歩み寄った。そして取り付け部がしっかりしているか手で動かして点検した。
事務所を見ると支払いを済ませていた。京平が手を上げると美保は出て来た。
「同じ長野県で白馬とは偉い違いね。これじゃ軽井沢も暑いかしらね」。
「そうでもないよ、日中は暑いかも知れないな。内の別荘は特に涼しいから余計そう感じるんだよ」。
そんな話をしながら店員に礼を言うと車を出した。すると、店員は道路に出て帽子を取ると低く腰を追って車を止めてくれた。
「パッパッ」とクラクションを鳴らして路線に入った。そして車のスムーズな流れに軽井沢には三十分ほどで到着した。
京平は鹿島の森に近いペンション・森の星と書かれた標識の道に入った。そして広い庭先に車を止めた。
そこはログウス風の平屋のペンションだった。
そして森に目を向けるとロッヂ風に小さなログハウスがあり、母屋を取り囲むように点在していた。美保は手荷物を持って降りるとその景観と造りに見入っていた。
すると、母屋の玄関が開いて小柄な男性が手を振りながら小走りに駆け寄った。
二人は大事な荷物を持つと京平は美保の肩を抱い一歩二歩と歩いた。
「紺野、奥さん、結婚おめでとう。良く来てくれました。どうぞ、何年振りかな。驚いたよ、どうして知らせてくれなかったんだ」。
「うん、紹介するよ、大学の同期の古山久雄。今はこのペンション森の星のオーナーだ。妻の美保」。
「初めまして美保です、お忙しい中、突然お邪魔して済みません。宜しくお願いします」。
「いいんですよ奥さん、こいつはいつも突然ですから慣れていますよ。それよりこんな若くて美しい奥さん貰って。羨ましいよ。どう白馬の方は、大分儲かっているって噂だぞ。新築したんだって」。
「ああ、三年前にね。儲かっていても僕には関係ないから」。
そんな話しをしながら森の中のログハウスへ案内された。すると、天井は天窓になって陽が降り注いで真っ青な空が見えていた。
「わあ~っ凄い。貴方、これで森の星って名前の意味が分かった。夜は星が奇麗でしょうね」。
「うん、星が降って来るようにね。小山、悪いな無理効いて貰って」。
「毎度の事だよ。それより食事の支度すぐ出来るから荷物を運んだら来いよ」。
小山久雄は美保に頭を下げると出て行った。京平は美保を部屋に残して車に戻ると荷物を運んだ。
美保は窓を明け、窓際の椅子に掛けて森の中を眺めていた。そして耳を澄ますとセミの泣き声の中に鳥の泣き声、そしてコンコンコン、ときつつきのドラミングの音が聞こえていた。
そして最後の荷物を持って戻った。そして部屋に鍵を掛けて母屋に向かった。
母屋は主にレストハウスになっており、カウンターバーが備え着けられていた。
宿泊客は皆外出して客は二人だけだった。京平はオーナーの小山にヘッドトランシーバーを借してくれるように頼んでいた。
「いいけど、そんなもんどうする」?
「後でサイクリングに行くのに大声で話せないだろ。一応自分の持って来たんだけど壊れていた」。
「分かった、後で電池いれておく。それより奥さん、前の奥さんの事知ってるのか」?
「ああ、何も可も話してあるよ。僕が仕事ばかりしていて相手てしやれなかったせいで男作って逃げた事も全部ね」。
「そうか、それで仕事の方は。まだあの会社にいるの」?
「いや、今年の一月から静岡の支社長任されたんだけど六月に辞めたんだ。いまは実家に入って見習い中だよ」。
「そうか、親父さんもお袋さんも喜んだろ。オーナー仲間だな」。
「まあね、また色々教えてくれよ。美保も父や母に気に入られてさ、毎日楽しくやっているよ。会社辞めて良かったと思っている」。
「そうか、奥さん関西か。少し京都訛りがあるけど」。
「うん、京都の左京区だよ。京都弁中々いいよ、本人は治そうとしているけどね。処でお前は」?
「相変わらずさ、貧乏暇無しでさ、修理したくてもこの不景気で銀行も融資を考え倦んでな、五千万の金さえ出し渋っているって訳さ」。
小山は顔を曇らせて肩を落とした。そんな話を聞いていた美保は京平の手をそっと握った。そして見詰めた。
それは何を意味しているのか京平には通じていた。・・・NO-41-111
京平は丸子町を抜けるコースを取った。松本市内から254号線に入り、三才山トンネルに向かって走らせた。
その道は混む事もなく、鹿教湯温泉から大塩温泉、そして霊泉寺温泉と経て丸子町に入るのに、白馬から一時間半そこそこだった。
そして大屋町から旧北國街道である国道18号線に入った。
すると、東部町に差し掛かると帰省ラッシュにはまってしまった。
京平は右折し、茂野塾に入って旧道を走った。それはスムーズに走りつづけた。
そして国道に合流する手前で左折した。すると信号が青、ラッシュはまだ続いていた。すかさず流れの中に入った。
そして四十分、たった四キロの距離を四十分かかって小諸市に入った。
外は真夏の太陽の日差しが降り注ぎ。車のホンネットから陽炎が立ちのぼっていた。
美保は窓にタオルをかけ、日差しを遮っていた。クーラーを強くしても差ほど効き目がなかった。そんな中、やっと御代田町に入った。
外の空気も幾分涼しくなり、車のデジタル時計は十時二十分を表示しいた。
「京平さん、喉が乾いちゃった」。
「僕もだ。少し先にレストランがあるから休憩しよう」。
行くと、駐車場にはフェンスが置かれ潰れていた。京平は仕方なくスタンドへ入った。そして給油と車を冷やす為に後ろの自転車を降ろして洗車を頼んだ。
そして涼しいスタンドの事務所で缶ジュースを買って一服した。
「京平さん、ゴルフ用の手袋欲しい。買っても良いですか」?
「うん、いいよ。両手があるのを買おうか。僕も買うよ」。
そして京平は黒のダンロップを、美保はシャネルの薄いブルーのゴルフグローブを買った。京平は何に使いたいのか分かっていた。
「花火も買おう、今夜やろうよ」。
京平は黙って頷いた。すると美保はパックになった花火セットを五セットも買った。
そして給油が済んで洗車も終わり、店員がキャリアに自転車を取り付けていた。
京平は取り付けを見に外に出た。
すると、ムッとする外の厚さに驚きながら車に歩み寄った。そして取り付け部がしっかりしているか手で動かして点検した。
事務所を見ると支払いを済ませていた。京平が手を上げると美保は出て来た。
「同じ長野県で白馬とは偉い違いね。これじゃ軽井沢も暑いかしらね」。
「そうでもないよ、日中は暑いかも知れないな。内の別荘は特に涼しいから余計そう感じるんだよ」。
そんな話をしながら店員に礼を言うと車を出した。すると、店員は道路に出て帽子を取ると低く腰を追って車を止めてくれた。
「パッパッ」とクラクションを鳴らして路線に入った。そして車のスムーズな流れに軽井沢には三十分ほどで到着した。
京平は鹿島の森に近いペンション・森の星と書かれた標識の道に入った。そして広い庭先に車を止めた。
そこはログウス風の平屋のペンションだった。
そして森に目を向けるとロッヂ風に小さなログハウスがあり、母屋を取り囲むように点在していた。美保は手荷物を持って降りるとその景観と造りに見入っていた。
すると、母屋の玄関が開いて小柄な男性が手を振りながら小走りに駆け寄った。
二人は大事な荷物を持つと京平は美保の肩を抱い一歩二歩と歩いた。
「紺野、奥さん、結婚おめでとう。良く来てくれました。どうぞ、何年振りかな。驚いたよ、どうして知らせてくれなかったんだ」。
「うん、紹介するよ、大学の同期の古山久雄。今はこのペンション森の星のオーナーだ。妻の美保」。
「初めまして美保です、お忙しい中、突然お邪魔して済みません。宜しくお願いします」。
「いいんですよ奥さん、こいつはいつも突然ですから慣れていますよ。それよりこんな若くて美しい奥さん貰って。羨ましいよ。どう白馬の方は、大分儲かっているって噂だぞ。新築したんだって」。
「ああ、三年前にね。儲かっていても僕には関係ないから」。
そんな話しをしながら森の中のログハウスへ案内された。すると、天井は天窓になって陽が降り注いで真っ青な空が見えていた。
「わあ~っ凄い。貴方、これで森の星って名前の意味が分かった。夜は星が奇麗でしょうね」。
「うん、星が降って来るようにね。小山、悪いな無理効いて貰って」。
「毎度の事だよ。それより食事の支度すぐ出来るから荷物を運んだら来いよ」。
小山久雄は美保に頭を下げると出て行った。京平は美保を部屋に残して車に戻ると荷物を運んだ。
美保は窓を明け、窓際の椅子に掛けて森の中を眺めていた。そして耳を澄ますとセミの泣き声の中に鳥の泣き声、そしてコンコンコン、ときつつきのドラミングの音が聞こえていた。
そして最後の荷物を持って戻った。そして部屋に鍵を掛けて母屋に向かった。
母屋は主にレストハウスになっており、カウンターバーが備え着けられていた。
宿泊客は皆外出して客は二人だけだった。京平はオーナーの小山にヘッドトランシーバーを借してくれるように頼んでいた。
「いいけど、そんなもんどうする」?
「後でサイクリングに行くのに大声で話せないだろ。一応自分の持って来たんだけど壊れていた」。
「分かった、後で電池いれておく。それより奥さん、前の奥さんの事知ってるのか」?
「ああ、何も可も話してあるよ。僕が仕事ばかりしていて相手てしやれなかったせいで男作って逃げた事も全部ね」。
「そうか、それで仕事の方は。まだあの会社にいるの」?
「いや、今年の一月から静岡の支社長任されたんだけど六月に辞めたんだ。いまは実家に入って見習い中だよ」。
「そうか、親父さんもお袋さんも喜んだろ。オーナー仲間だな」。
「まあね、また色々教えてくれよ。美保も父や母に気に入られてさ、毎日楽しくやっているよ。会社辞めて良かったと思っている」。
「そうか、奥さん関西か。少し京都訛りがあるけど」。
「うん、京都の左京区だよ。京都弁中々いいよ、本人は治そうとしているけどね。処でお前は」?
「相変わらずさ、貧乏暇無しでさ、修理したくてもこの不景気で銀行も融資を考え倦んでな、五千万の金さえ出し渋っているって訳さ」。
小山は顔を曇らせて肩を落とした。そんな話を聞いていた美保は京平の手をそっと握った。そして見詰めた。
それは何を意味しているのか京平には通じていた。・・・NO-41-111