エンターテイメント、誰でも一度は憧れる。

PCグラフィック、写真合成、小説の下書き。

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(41)&CG

2008-09-14 13:21:15 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(41)&CG

京平は丸子町を抜けるコースを取った。松本市内から254号線に入り、三才山トンネルに向かって走らせた。
その道は混む事もなく、鹿教湯温泉から大塩温泉、そして霊泉寺温泉と経て丸子町に入るのに、白馬から一時間半そこそこだった。
そして大屋町から旧北國街道である国道18号線に入った。
すると、東部町に差し掛かると帰省ラッシュにはまってしまった。
京平は右折し、茂野塾に入って旧道を走った。それはスムーズに走りつづけた。
そして国道に合流する手前で左折した。すると信号が青、ラッシュはまだ続いていた。すかさず流れの中に入った。
そして四十分、たった四キロの距離を四十分かかって小諸市に入った。
外は真夏の太陽の日差しが降り注ぎ。車のホンネットから陽炎が立ちのぼっていた。
美保は窓にタオルをかけ、日差しを遮っていた。クーラーを強くしても差ほど効き目がなかった。そんな中、やっと御代田町に入った。
外の空気も幾分涼しくなり、車のデジタル時計は十時二十分を表示しいた。
「京平さん、喉が乾いちゃった」。
「僕もだ。少し先にレストランがあるから休憩しよう」。
行くと、駐車場にはフェンスが置かれ潰れていた。京平は仕方なくスタンドへ入った。そして給油と車を冷やす為に後ろの自転車を降ろして洗車を頼んだ。
そして涼しいスタンドの事務所で缶ジュースを買って一服した。
「京平さん、ゴルフ用の手袋欲しい。買っても良いですか」?
「うん、いいよ。両手があるのを買おうか。僕も買うよ」。
そして京平は黒のダンロップを、美保はシャネルの薄いブルーのゴルフグローブを買った。京平は何に使いたいのか分かっていた。
「花火も買おう、今夜やろうよ」。
京平は黙って頷いた。すると美保はパックになった花火セットを五セットも買った。
そして給油が済んで洗車も終わり、店員がキャリアに自転車を取り付けていた。
京平は取り付けを見に外に出た。
すると、ムッとする外の厚さに驚きながら車に歩み寄った。そして取り付け部がしっかりしているか手で動かして点検した。
事務所を見ると支払いを済ませていた。京平が手を上げると美保は出て来た。
「同じ長野県で白馬とは偉い違いね。これじゃ軽井沢も暑いかしらね」。
「そうでもないよ、日中は暑いかも知れないな。内の別荘は特に涼しいから余計そう感じるんだよ」。
そんな話をしながら店員に礼を言うと車を出した。すると、店員は道路に出て帽子を取ると低く腰を追って車を止めてくれた。
「パッパッ」とクラクションを鳴らして路線に入った。そして車のスムーズな流れに軽井沢には三十分ほどで到着した。
京平は鹿島の森に近いペンション・森の星と書かれた標識の道に入った。そして広い庭先に車を止めた。
そこはログウス風の平屋のペンションだった。
そして森に目を向けるとロッヂ風に小さなログハウスがあり、母屋を取り囲むように点在していた。美保は手荷物を持って降りるとその景観と造りに見入っていた。
すると、母屋の玄関が開いて小柄な男性が手を振りながら小走りに駆け寄った。
二人は大事な荷物を持つと京平は美保の肩を抱い一歩二歩と歩いた。
「紺野、奥さん、結婚おめでとう。良く来てくれました。どうぞ、何年振りかな。驚いたよ、どうして知らせてくれなかったんだ」。
「うん、紹介するよ、大学の同期の古山久雄。今はこのペンション森の星のオーナーだ。妻の美保」。
「初めまして美保です、お忙しい中、突然お邪魔して済みません。宜しくお願いします」。
「いいんですよ奥さん、こいつはいつも突然ですから慣れていますよ。それよりこんな若くて美しい奥さん貰って。羨ましいよ。どう白馬の方は、大分儲かっているって噂だぞ。新築したんだって」。
「ああ、三年前にね。儲かっていても僕には関係ないから」。
そんな話しをしながら森の中のログハウスへ案内された。すると、天井は天窓になって陽が降り注いで真っ青な空が見えていた。
「わあ~っ凄い。貴方、これで森の星って名前の意味が分かった。夜は星が奇麗でしょうね」。
「うん、星が降って来るようにね。小山、悪いな無理効いて貰って」。
「毎度の事だよ。それより食事の支度すぐ出来るから荷物を運んだら来いよ」。
小山久雄は美保に頭を下げると出て行った。京平は美保を部屋に残して車に戻ると荷物を運んだ。
美保は窓を明け、窓際の椅子に掛けて森の中を眺めていた。そして耳を澄ますとセミの泣き声の中に鳥の泣き声、そしてコンコンコン、ときつつきのドラミングの音が聞こえていた。
そして最後の荷物を持って戻った。そして部屋に鍵を掛けて母屋に向かった。
母屋は主にレストハウスになっており、カウンターバーが備え着けられていた。
宿泊客は皆外出して客は二人だけだった。京平はオーナーの小山にヘッドトランシーバーを借してくれるように頼んでいた。
「いいけど、そんなもんどうする」?
「後でサイクリングに行くのに大声で話せないだろ。一応自分の持って来たんだけど壊れていた」。
「分かった、後で電池いれておく。それより奥さん、前の奥さんの事知ってるのか」?
「ああ、何も可も話してあるよ。僕が仕事ばかりしていて相手てしやれなかったせいで男作って逃げた事も全部ね」。
「そうか、それで仕事の方は。まだあの会社にいるの」?
「いや、今年の一月から静岡の支社長任されたんだけど六月に辞めたんだ。いまは実家に入って見習い中だよ」。
「そうか、親父さんもお袋さんも喜んだろ。オーナー仲間だな」。
「まあね、また色々教えてくれよ。美保も父や母に気に入られてさ、毎日楽しくやっているよ。会社辞めて良かったと思っている」。
「そうか、奥さん関西か。少し京都訛りがあるけど」。
「うん、京都の左京区だよ。京都弁中々いいよ、本人は治そうとしているけどね。処でお前は」?
「相変わらずさ、貧乏暇無しでさ、修理したくてもこの不景気で銀行も融資を考え倦んでな、五千万の金さえ出し渋っているって訳さ」。
小山は顔を曇らせて肩を落とした。そんな話を聞いていた美保は京平の手をそっと握った。そして見詰めた。
それは何を意味しているのか京平には通じていた。・・・NO-41-111

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(40)&CG

2008-09-14 13:13:34 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(40)&CG

「京平さん、もし私が真田だったら半端な人数は雇わない。六人の名前を言って帰したのは本当でしょうけど、倍の人が来ていると思わないと。たぶん後の人達は軽い沢に直行していると思う。お金は用意するでしょうけど危険よ。受け渡しの場所はぎりぎりまで言わない方がいいわ」。
「うん、そうだね。美保の言う通りかも知れない。ここじゃなんだから帰って相談しよう」。
そして別荘に帰った。そして居間に軽井沢の地図を広げた。お茶を飲みながら計画を立てた。
「真田はヤクザ以上だ。迂闊に動いたらこっちが危ないな」。
「うん。京平さんこうしたらどう。お金は指定したリュックに入れさせるの。それで、ここにサクリング専用のコースがあるでしょう。車は入れないから、もし仲間がいればきっと自転車を借りると思う。それを確認するの、分からなければ途中で電話して同じコースをもう一度走るように指示するの。
そうすれば真田の後を用心棒が後に着くから分かるじゃない。私達は真田の顔を知っていても、真田は私達の顔は知らないもの。自転車買おうよ、サイクリング車でバックの着いた速いのを。軽井沢の貸し自転車ってママチャリでしょ。もし追われたら追い付かれちゃうもん」。
「あ~っそれいいね。よし、それで行くか。これから知り合いの自転車屋へ行こう。キャリアも買わなきゃならないし」。
「ウフッ・・・思い付いたら即実行だね。そんな京平さんも大好き」と京平と地下室に行くと隠しておいた現金を手にして出掛けた。
そして京平のペンションのレンタル自転車を購入した穂高町にある佐野サイクリングへ向かった。そして車から携帯電話を入れた。
そして三十分、七時半には着いた。すると主人が待っていた。
「久し振り、結婚お目でとう。奥さん、佐野です。京平とは高校の同級生です。それにしても急だな、何処かへ行くのか」?
「ああ、静岡の修善寺にな。あそこサイクリングコースあるだろ。借りるのも嫌だからさ。買っておけば家でも乗れるから」。
「そうか、いいのあるぞ。軽くて性能はいいし丈夫だぞ」。
「ああそれでいい、二台くれ」。
すると佐野は驚いて聞き直した。
「おい、二台って幾らするか知っているのか。四十五万だぞ」。
「ああ、いいよ。まけてくれなくていいからさ。その代わりキャリアはサービスしろよな」。
「ああ、良いよ。じゃあ商談成立だ。奥さん、こいついつもこうなんですよ。営業マンは此れだから」。
美保はそんな夫を見て笑っていた。そして佐野は京平に手伝ってもらいながら、車の後ろにキャリアを取り付けていた。
そしてヘルメットとサングラス。必要な備品を揃えた。
「お前本格的にロードするのか。全部で百万出るぞ」。
「いいよ。ちゃんと持って来たし、嫁さんの許可も貰ったから。なあ美保」。
「はい、いつもニコニコ現金払い。が、もっとうですからウフッ・・・」。」。
「こりゃ参った、アッハハハハ。奇麗な上にきっぷも良いんだ。じゃあ遠慮なく貰うよ。領収書書くから待ってイてくれ」。
「ああ頼む、なんでも形から入らないとな」。
「そう言えば夕方銀行の敦子が来てさ。変な客が来て千五百万もの現金を古い紙幣で欲しいって言われたらしくてな。あったら代えてくれって来たぞ。
お前の所へも行って二百万も代えて貰ったってさ。お前留守だって言っていたよ。あるんだなお前の所は。俺なんか二十万しかなくてさ」。
「そうか、いま例の別荘に行っているから。それで集まったのか」
「なんとか集まったらしいよ。それでさっき電話して聞いたら、なんだか支払いにピン札だと重なってしまって数えるのが手間だとか言っていたらしい」。
「そんな事ないよな、まあ変わった奴いるから。敦子も大変だ」。そして領収を受け取ると車の後ろに二台の自転車を取り付けた。
そして白馬に戻った。別荘に戻ると十時を回っていた。二人は早めに風呂に入るとベッドに入った。
「京平さん、海野さん達に悪い事しちゃったね」。
「それも仕事だよ。じゃあ受け取ってもこっちで入れられないな」。
「うん、でも十六日には銀行も営業始めるから。途中の銀行で振り込んでもいいじゃない」。
「そうだな、でも相手も必死だから裏の裏を画かないとな」。すると美保の返事はなかった。昼間の作業で疲れたのだろう。珍しく鼾をかいていた。
翌朝、起きると隣に美保は居なかった。すると外から声がしていた。
「マツ~っ、カエデ~っ、ご飯だよ。出ておいで」。
カーテンを開けると、美保はタヌキにご飯をやっていた。
京平はそっと見ていた。すると、林の中がゆらゆら雑木が動いていた。すると二頭のタヌキが出て来て洗面器に入ったご飯を食べ始めた。美保は満足そうに見ると戻って来た。
京平は着替えで居間に行くと美保は嬉しそうな顔をしていた。
「京平さんお早よう。ねえ聞いて、マツとカエデがね、呼んだら来たの。分かるのよ、私が呼んだら来たの」。
「良かったじゃないか。美保の優しさが通じたんだよ」。
「うん、ねうもう一つお願いがあるの」。
「マツとカエデの家だろ」。
「なんで分かったの。ねえ良いでしょう、私も手伝うから」。
「いいよ、じゃあ庭のテーブルや椅子を造る時に一緒に造るか。それか大型犬のハウスを買えばいい」。
「やった~っ有り難う京平さん」。と、まるで子供の様に飛び上がって抱き着いた。そしてキスして顔を見て抱きつて居た。
そして食事の支度を始めた。京平はブリーフケースを取り出すとライフルと銃を出して点検してケースにしまった。
その朝はトーストとスクランブルエッグ。カリカリベーコンと軽い朝食にした。
二人は食事を済ませると戸締まりをして迷彩服と靴、ソルジャールックを車に積み込んだ。そしてラバーコンに作業服。そしてブリーフケースは一番最後に積んだ。
美保は残った食べ物を全部タヌキの洗面器に入れてベランダの下に置いた。
そしてもう一度、戸締まりと火の点検をして二人は出掛けた。そして別荘の入り口で車を止めるとフェンスを閉めて鍵をかけた。
そして携帯を持つと家に電話した。
「父さん、軽井沢の友達から電話あって行って来るから」と伝えた。そして一路松本へ向かった。
その日は朝から盆休みを終え、帰省から帰る他県ナンバーの車が多かった。国道147号線から19号線を横切り、松本市内に入った。NO-40

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(39)&CG

2008-09-14 13:11:03 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
☆・・・お久し振りです・・・
大勢の方々にご心配頂きメールを多数いただき有り難うございました。
お陰さまで怪我の方も回復し、今日から再開致します。
また宜しくお願いします。

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(39)&CG

そして腹がいっぱいになったのか、残った餌をくわえて林の中へ姿を消した。
「あ~あ、帰っちゃった。写真でも撮っておけば良かったね。そうすれば今度来た時に識別出来たのに」。
「また外で食事をすれば匂いを嗅ぎ付けて出て来るよ」。
「そうか、今まで来ても中で食事していたからタヌキが来ていても分からなかったんだ。ねえ外にテーブル作ってよ」。
「いいよ、軽井沢から帰ったら造ってやるよ。バーベキューも出来るように屋根も造ってやる」。
「うん、きっとだよ。私も手伝うから、なんか夢が広がるね」。
美保は嬉しそうに笑顔を見せて喜んでいた。そして食事の片付けをして再び補修を始めた。そして三時過ぎには終わった。
木屑で汚れた庭を掃除していた。そんな二人に山間から涼しい風が吹いて包んでいた。そして四時には風呂に入って笑う美保の声が別荘から漏れていた。
そして風呂から出ると夕食を作り、残ったおかずとご飯を洗面器に入れるとタヌキが出て来た林の入り口に置いた。「マツ~、カエデ~ッ。ご飯だよ」。
そう言いながら戻って来た。そして真っ暗な山道を降りて出掛けた。そして電話ボックスを探して車を止めた。
「京平さん、どうして毎回電話ボックスを替えるの」?
「え、ああ。もし知り合いに見られたら困るからね。電話も携帯もあるの誰もが知っているから。用心に越した事はないから」。
美保は分からない事は何でも聞いた。京平も嫌な顔一つしないで美保が納得するまで話した。そして二人は電話ボックスに入った。
手帳を出すと真田へ電話した。すると、一回、二回、三回、四回。とコールしても出なかった。京平は電話を切った。そして掛け直した。すると直ぐに出た。
「は、はい。真田です、先程は済みません。外に出ていたんです」。
「さよか、それで守備はどうやったかいな」?
「それが、後五百万分だけ古い紙幣に替えられませんでした。明日の朝には古い紙幣を用意してくれるそうです」。
「あんたわしにカマ掛けたらあきまへんで。お宅がそう出るなら取引は止めや。ほなさいなら」。
「待って!待って下さい。済みません、本当に済みませんでした。私が悪かった。二度とこんな真似はしません。勘弁して下さい」。京平は強きで逆にカマ掛けたのだった。
「一旦切りまっせ、そのまま待ってんか」。と電話を切った。美保に茂が何かを企んでいる事を話した。
「真田が仲間を呼んだって事?・・・」。
「うん、たぶん。だから強きで取引は止めるって脅かしたら、真田の奴おどおどしていた。見破られたと思ったんだろう」。
「甘く見られたわね。だったら倍ね、私達の怖さを思い知らせてやろう。倍額にしようよ。ピン札でいいからって。匿名で福祉施設にでも寄付しちゃえばいいよ」。
「よし、倍とは言わないで桁を多くしてやる。千五百万とは別に」。
「え~っ凄いじゃん、一億円も寄付されたらさ福祉施設の人達喜んじゃうよ。それで行こう」。
「よし、今頃真田の奴おどおどして待っているぞ」。そして携帯に電話した。
「はい、真田です。本当に申し訳ありませんでした」。
「ほな言うで、前のと別にやなワンパック用意してんか。あんたが悪いんやで、ボスが怒ってしもうてな、金はもう要らん言うて警察に届けろって言うのをわしが止めたんや。どうや?
あんたがボデーガードに払う方がええんやったらわし等は構へんで。その代わりにや、あんたは良くて終身刑、まず死刑やろな」。
「わ・分かりました。でも明日一日では無理です」。
「まだ言うんか。わし等を怒らせるんやな。なめとんのかっ、わし等をなんやったら雇ったあんちゃんも片付けたってええんやで。ほな取引は止めやな」。
「待って、待って下さい。分かりました。怖い人達ですね。そんなに大勢いるなんて分からなかった。明日中には必ず用意します。
一億五千万ですね」。
「ええか、此れが最後やで。わし等はあんたを見てるんや。こざかしい真似は止さんかい、ええな」。
「はい、雇った三人は京都へ帰します」。
「またそんな嘘を言うんか」。
「済みません。五人です。五人は必ず帰します」。
「あかんな、あんたとは取引止めや。わしは仲間内でも優しい言われてまんねんで。息子も気の毒にな」。
「待って下さい、六人です。本当は六人です。絶対帰しますから」。
「わしもう呆れてもうた。わしの胸三寸やけど、こう嘗めらとってはどうしたらええもんやろか、おっちゃん」。
「お願いです。本当に六人です。今直ぐに京都へ帰します。どうか取引を続けて下さい」。
「ほな大きな声でいいなはれ。わしに聞こえるようにな」。
すると走って来る足音が携帯電話を通じて聞こえてきた。
そして断りを入れている真田の声が聞こえた。
「済みません、商談がまとまりました。皆さん今すぐ京都へ帰って下さい。約束の小切手です」。
「名前を一人づつ言いなはれ。きっちりフルネームでや」。
「はい、林辰也さん、新橋良雄さん、小島徹さん、望月芳章さん。森和雄さん、高橋啓次さん、宮本貞雄さん。皆んな帰って下さい」。
すると、口々に不平をいいながら車に乗り込んでドアを閉める音がバタンバタンと六回聞こえた。
そしてエンジンを始動させるスターターの音が電話を通じて三台いた、そして走り去ったようだった。
美保は不安そうな表情を浮かべて京平を見ていた。
「おっちゃん、此れが最後のチャンスやで。明日この六人が京都に戻らんかったらその時点で取引は止めや。一人多いな、誰や?・・・」。
「分かりました。一人は仲介者で関係ありません。あなた方怖い組織を敵にしてしまったようですね。もう嘘も隠しもありません。約束は必ず守ります」。
「明日は軽井沢やで、ほなおっちゃんお休みな」。
京平はそっと受話器を掛けた。そして大きく息を着いた。
「どうして、どうして仲間がいる事が分かったの。六人よ」。
「分からない、話していて感じたんだ。始めは三人って言った、そしたら五人。
突っ込んで張ったりを噛ましたら六人になった。山勘だよ。話していて真田の声がどうも気になって仕方がなかった。まだいるぞ、一人か二人。電話する時はあの場所に先に行ってないと危ないな」。NO-39