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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(60)&CG

2008-09-28 17:22:32 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(60)&CG

そして京平もサングラスをして帽子を被り、山男のように振る舞っていた。腕時計をチラッと見ると。九時十分前だった。
温泉の方を見ると、一人の中年男が重そうにダンボール箱を抱え、二人で歩いて来た。
「あれが宮田だな、もう一人は誰だろう」そんな事を思いながら荷造りの真似ていた。すると、肩をポンっと叩から振り向いた。
「此れを貴方に預けるように言われたんですが。歩荷さんですね」。
京平は二度三度と頷いて、胸のポケットからメモを出して渡した。
「ユキワリ草、この男に預けろ。バイト代として三万円を渡せ」。
すると、メモを丸めてゴミ箱に捨て、後ろのポケットから財布を出すと丁寧に差し出した。京平は両手で受け取り、有難うを手話で言った。
「ではくれぐれも落とさないように頼みましたよ」。
京平は業と分からないように首を傾げた。そして胸を二度三度と叩いて任せろと言うジェスチェーを見せた。
宮田と男は頷き、戻って行った。何度も振り向きながら心配そうに戻った。
美保はそんな様子を遠くから見て笑っていた。そして地図を広げて京平に近付いた。そして道を訪ねるような振りをして手話のまね事をしていた。
「全く上手ね、それでどうするの」。
京平は登山道を指をさして軽く手話のまねをした。
「確かに現金は受け取った。いま九時五分前だから直ぐに荷造りして出発する。美保は俺にお願いします、みたいに頭を下げて付いて来てくれ。奴等は一時間後に出発する」
「分かった」。京平は手伝ってくれる美保に何度も頭を下げ、本当に手伝ってくれているように見せ掛けた。そして出発した。
そして気付かれないように宮田達を見ると、宮田達は笑って見ていた。
何が可笑しいのか、六人は大笑いしながら駐車場へ向かった。二台のベンツに別れて上高知に向かって走り出した。
「あのバカ本当に騙されているな。美保は単独のハイカーだと思って朗話者に付いて行くのを見て笑っているんだ」。
「ほんとね、どっちがバカなのか分かってない癖に。でも良い天気で良かったわね」。
そして一般のハイカーが歩かない登山ルートを登って行った。
そして一時間、京平は登山道に誰もいない事を確認すると背負子を降ろして荷物を捨てた。
そしてライフルの入ったザックを出し、現金の入った箱を開けた。ビッシリと帯び封された札束が詰まっていた。
二人のザックに手分けして入れると、美保はクレンジングを出して京平の顔のファンデーションを拭き取っていた。
そしてシャツもズボンも登山服と着替え、帽子も代えた。
そして美保もまた、二重に着ていた派手なチェックのシャツを脱ぎ、ズボンも帽子も目立たない服に代えた。何も可も着替えた二人は再び登り始めた。
「此れなら誰が見てもさっきの二人には見えないわね」。
「うん、少し山を汚したけどダンボールは腐るからね。そのうち自然に戻るさ。でも今日は思ったほどハイカーが少ないな」。
「そうなの、でも思ったよりきつくない。これなら大丈夫そう」そして二人は一度国道に出ると細池へ向かい、焼岳に向かった。
その道は地元の人間しか知らない獣道でもあった。
京平は美保のザックに鈴を結び付けると銃を取り出して消音器を装着した。クマが出た時の用心の為だった。
そして、中の湯温泉を出て二時間、十一時になっていた。京平は焼岳の危険なコースにある崖を見渡せる位置で休憩した。
ザックを降ろし、水筒の蓋を開けて美保に渡した。ゴクッゴクっと喉を鳴らして二口飲むと京平に返した。
「見てごらん、あの山の尾根伝いに道が見えるだろ。あの下は絶壁で落ちたら助からない。あそこが第一ポイントだ」。
美保は指さす方向を見てビデオカメラを構えた。そしてグルッと撮ると木陰に座った。そして時計に付いてる気圧計の変化に気付いた。
「美保、計画は延期だ、気圧が変化して湿度が高くなって来た。帰ろう、二時間もすれば天候が変わるぞ」。
「えっ、そんな事が分かるの?・・・」
「うん、今は晴天だけど遠くの雲の動きが早くなって来た。気圧の変化と湿度の変化で雨になる。確実に雨になるよ」。
「うん、分かった。戻ろう」。
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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(59)&CG

2008-09-28 17:20:15 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(59)&CG

「私達をそこで始末するんじゃないだろうね」。
「大勢の登山客で賑わう中でどうやって六人を始末するんだ。そんな方法があったら教えて貰いたいものだ」。
「真田は殺された。しかも観光地でです」。
「貴様はバカか、あの道路は車は走っても人は歩かない。盲点だったな真田にとっては。しかし登山道は違う、まして日曜だ。貴様等が安心するように日曜を選んでやったのを無にするのか。
だったら防弾チョッキでも何でも用意したらどうだ。しかし、用心棒は遺憾。それは分かっているな。もし、一人でも貴様たちに接する者がいたら、我々はいかなる手段を講じても抹殺するだろう」。
「分かりました。信じます。十一日九時に上高地の中の湯温泉にいる歩荷さんに一億二千万を渡すんですね」。
「そうだ。一つ忠告してやる。二~三ケ所危険な所があるからザイルを持って行け。親心だ、ディスクは十石小屋の裏、東の角だ」。京平はそれで携帯を切った。
そして、京平は捨てても良いような古い登山着を出し準備を始めた。物置に行き、古い背負子を出して汚れを落としていた。
そして、部屋に戻るとブリーフケースの中のライフルを点検して大きめのザックに入れた。そして着替えの服、そして携帯電話と登山に必要な小物を美保の分と合わせて整えていた。
翌日十一日、京平は六時に起き、起こすのが可哀相なくらいグッスリ眠ってる妻を起こした。
眠そうに着替えると両親に出掛ける事を告げて家を出た。そしてまだ暗い国道を一路上高地に向けて走った。
そして徐々に明るくなるとあっと言う間に青空が広がった。国道147号線を安曇追分から右折し、県道52号に入り南下した。その時間になると車も増え始めていた。そして国道158号線へ右折し、安曇三ダムへ向かった。
もう観光バスが登山客を乗せて何台も連なって走っていた。
「ねえ追い越したら」。家を出ると直ぐに眠ってしまった美保が起きていた。
「起きたの、大丈夫だよ、時間がたっぷりあるから」。バスの後に続いた。
するとバスが左に寄って右のウンカーを点滅させて進路を譲ってくれた。京平は対向車が来ない事を確認するとアクセルを踏み込んだ。
「パパッ」とクラクションを鳴らすと一気に三台のバスを追い越した。
「やった~っ・・・親切な観光バスの運転手さんだね」。と美保は両手を叩いて喜んでいた。
そして右下に稲核ダム、そして水殿ダムと過ぎて、奈川渡ダムの梓湖を左に見て、安曇三ダムを通り過ぎた。
「綺麗ね」と美保はビデオカメラを手に景色を映していた。
そして数々のトンメルを抜けて沢渡大橋、湯川渡と経て坂巻温泉を左に見て中の湯温泉へ着いた。駐車場には神奈川ナンバーのベンツが二台止まっていた。
京平は車を移動させて別の駐車場へ車を止めた。
空は真っ青で天気予報でも天候の崩れはないと言う。
「美保、例の化粧を頼む。汚くブチに塗ってくれ」。
「うん。このファンデーション汗かいても落ちないからね、言っておくけど拭いたくらいじゃも落ちないから」。
美保はそう言いながら京平の顔を日焼けしたように首の回りから額の生え際、そして手も念入りに化粧した。
「よし、此れで日焼けしたように見えるよ。どうですか」。そう言いながらコンパクトの鏡を京平の目の前にかざした。
「バッチリダ、有り難う、此れで帽子と首にタオルを巻けば立派な歩荷さんだなアッハハハ・・・」。
「もう~貴方ったら可笑しいんだから、でも似合うから不思議ね。ウフッ・・・」と大笑いしていた。
京平は美保を車に乗せたまま後ろの荷台から背負子を出して支度を始めた。
そして目立つ位置に出るとザックを運び、空のダンボール箱を幾つか車から降ろした。
美保は支度を整え、サングラスをすると帽子を被り、車から降りた。
そして見知らぬ他人の素振りでトイレに行った。
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