小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(60)&CG
そして京平もサングラスをして帽子を被り、山男のように振る舞っていた。腕時計をチラッと見ると。九時十分前だった。
温泉の方を見ると、一人の中年男が重そうにダンボール箱を抱え、二人で歩いて来た。
「あれが宮田だな、もう一人は誰だろう」そんな事を思いながら荷造りの真似ていた。すると、肩をポンっと叩から振り向いた。
「此れを貴方に預けるように言われたんですが。歩荷さんですね」。
京平は二度三度と頷いて、胸のポケットからメモを出して渡した。
「ユキワリ草、この男に預けろ。バイト代として三万円を渡せ」。
すると、メモを丸めてゴミ箱に捨て、後ろのポケットから財布を出すと丁寧に差し出した。京平は両手で受け取り、有難うを手話で言った。
「ではくれぐれも落とさないように頼みましたよ」。
京平は業と分からないように首を傾げた。そして胸を二度三度と叩いて任せろと言うジェスチェーを見せた。
宮田と男は頷き、戻って行った。何度も振り向きながら心配そうに戻った。
美保はそんな様子を遠くから見て笑っていた。そして地図を広げて京平に近付いた。そして道を訪ねるような振りをして手話のまね事をしていた。
「全く上手ね、それでどうするの」。
京平は登山道を指をさして軽く手話のまねをした。
「確かに現金は受け取った。いま九時五分前だから直ぐに荷造りして出発する。美保は俺にお願いします、みたいに頭を下げて付いて来てくれ。奴等は一時間後に出発する」
「分かった」。京平は手伝ってくれる美保に何度も頭を下げ、本当に手伝ってくれているように見せ掛けた。そして出発した。
そして気付かれないように宮田達を見ると、宮田達は笑って見ていた。
何が可笑しいのか、六人は大笑いしながら駐車場へ向かった。二台のベンツに別れて上高知に向かって走り出した。
「あのバカ本当に騙されているな。美保は単独のハイカーだと思って朗話者に付いて行くのを見て笑っているんだ」。
「ほんとね、どっちがバカなのか分かってない癖に。でも良い天気で良かったわね」。
そして一般のハイカーが歩かない登山ルートを登って行った。
そして一時間、京平は登山道に誰もいない事を確認すると背負子を降ろして荷物を捨てた。
そしてライフルの入ったザックを出し、現金の入った箱を開けた。ビッシリと帯び封された札束が詰まっていた。
二人のザックに手分けして入れると、美保はクレンジングを出して京平の顔のファンデーションを拭き取っていた。
そしてシャツもズボンも登山服と着替え、帽子も代えた。
そして美保もまた、二重に着ていた派手なチェックのシャツを脱ぎ、ズボンも帽子も目立たない服に代えた。何も可も着替えた二人は再び登り始めた。
「此れなら誰が見てもさっきの二人には見えないわね」。
「うん、少し山を汚したけどダンボールは腐るからね。そのうち自然に戻るさ。でも今日は思ったほどハイカーが少ないな」。
「そうなの、でも思ったよりきつくない。これなら大丈夫そう」そして二人は一度国道に出ると細池へ向かい、焼岳に向かった。
その道は地元の人間しか知らない獣道でもあった。
京平は美保のザックに鈴を結び付けると銃を取り出して消音器を装着した。クマが出た時の用心の為だった。
そして、中の湯温泉を出て二時間、十一時になっていた。京平は焼岳の危険なコースにある崖を見渡せる位置で休憩した。
ザックを降ろし、水筒の蓋を開けて美保に渡した。ゴクッゴクっと喉を鳴らして二口飲むと京平に返した。
「見てごらん、あの山の尾根伝いに道が見えるだろ。あの下は絶壁で落ちたら助からない。あそこが第一ポイントだ」。
美保は指さす方向を見てビデオカメラを構えた。そしてグルッと撮ると木陰に座った。そして時計に付いてる気圧計の変化に気付いた。
「美保、計画は延期だ、気圧が変化して湿度が高くなって来た。帰ろう、二時間もすれば天候が変わるぞ」。
「えっ、そんな事が分かるの?・・・」
「うん、今は晴天だけど遠くの雲の動きが早くなって来た。気圧の変化と湿度の変化で雨になる。確実に雨になるよ」。
「うん、分かった。戻ろう」。
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そして京平もサングラスをして帽子を被り、山男のように振る舞っていた。腕時計をチラッと見ると。九時十分前だった。
温泉の方を見ると、一人の中年男が重そうにダンボール箱を抱え、二人で歩いて来た。
「あれが宮田だな、もう一人は誰だろう」そんな事を思いながら荷造りの真似ていた。すると、肩をポンっと叩から振り向いた。
「此れを貴方に預けるように言われたんですが。歩荷さんですね」。
京平は二度三度と頷いて、胸のポケットからメモを出して渡した。
「ユキワリ草、この男に預けろ。バイト代として三万円を渡せ」。
すると、メモを丸めてゴミ箱に捨て、後ろのポケットから財布を出すと丁寧に差し出した。京平は両手で受け取り、有難うを手話で言った。
「ではくれぐれも落とさないように頼みましたよ」。
京平は業と分からないように首を傾げた。そして胸を二度三度と叩いて任せろと言うジェスチェーを見せた。
宮田と男は頷き、戻って行った。何度も振り向きながら心配そうに戻った。
美保はそんな様子を遠くから見て笑っていた。そして地図を広げて京平に近付いた。そして道を訪ねるような振りをして手話のまね事をしていた。
「全く上手ね、それでどうするの」。
京平は登山道を指をさして軽く手話のまねをした。
「確かに現金は受け取った。いま九時五分前だから直ぐに荷造りして出発する。美保は俺にお願いします、みたいに頭を下げて付いて来てくれ。奴等は一時間後に出発する」
「分かった」。京平は手伝ってくれる美保に何度も頭を下げ、本当に手伝ってくれているように見せ掛けた。そして出発した。
そして気付かれないように宮田達を見ると、宮田達は笑って見ていた。
何が可笑しいのか、六人は大笑いしながら駐車場へ向かった。二台のベンツに別れて上高知に向かって走り出した。
「あのバカ本当に騙されているな。美保は単独のハイカーだと思って朗話者に付いて行くのを見て笑っているんだ」。
「ほんとね、どっちがバカなのか分かってない癖に。でも良い天気で良かったわね」。
そして一般のハイカーが歩かない登山ルートを登って行った。
そして一時間、京平は登山道に誰もいない事を確認すると背負子を降ろして荷物を捨てた。
そしてライフルの入ったザックを出し、現金の入った箱を開けた。ビッシリと帯び封された札束が詰まっていた。
二人のザックに手分けして入れると、美保はクレンジングを出して京平の顔のファンデーションを拭き取っていた。
そしてシャツもズボンも登山服と着替え、帽子も代えた。
そして美保もまた、二重に着ていた派手なチェックのシャツを脱ぎ、ズボンも帽子も目立たない服に代えた。何も可も着替えた二人は再び登り始めた。
「此れなら誰が見てもさっきの二人には見えないわね」。
「うん、少し山を汚したけどダンボールは腐るからね。そのうち自然に戻るさ。でも今日は思ったほどハイカーが少ないな」。
「そうなの、でも思ったよりきつくない。これなら大丈夫そう」そして二人は一度国道に出ると細池へ向かい、焼岳に向かった。
その道は地元の人間しか知らない獣道でもあった。
京平は美保のザックに鈴を結び付けると銃を取り出して消音器を装着した。クマが出た時の用心の為だった。
そして、中の湯温泉を出て二時間、十一時になっていた。京平は焼岳の危険なコースにある崖を見渡せる位置で休憩した。
ザックを降ろし、水筒の蓋を開けて美保に渡した。ゴクッゴクっと喉を鳴らして二口飲むと京平に返した。
「見てごらん、あの山の尾根伝いに道が見えるだろ。あの下は絶壁で落ちたら助からない。あそこが第一ポイントだ」。
美保は指さす方向を見てビデオカメラを構えた。そしてグルッと撮ると木陰に座った。そして時計に付いてる気圧計の変化に気付いた。
「美保、計画は延期だ、気圧が変化して湿度が高くなって来た。帰ろう、二時間もすれば天候が変わるぞ」。
「えっ、そんな事が分かるの?・・・」
「うん、今は晴天だけど遠くの雲の動きが早くなって来た。気圧の変化と湿度の変化で雨になる。確実に雨になるよ」。
「うん、分かった。戻ろう」。
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