小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(43)&CG
「うん、ないよりはいいよ。でも小山さんが言う五千万って修理にはギリギリの額じゃないのかな。もう一千万出してあげたら」。
「フフフッ・・・そうするよ。僕は一度小山には命を助けて貰った事があるんだ。学生の頃に穂高を縦走登山した時にね、オーバーハングを上っていた時に強風に煽られて宙吊りになってさ、小山が命懸けで大柄の僕を引き上げてくれたんだ。だからなんとかしてやりたい」。
「そう、そんな事があったの。でも凄いね。小柄な小山さんが貴方を引き上げたなんて驚き。火事場の何とかって奴かしら」?
「そうかも知れない。あの時はもう駄目だと思った。小山の腕に大きな傷跡があったろ、あれは僕を引き上げた時にザイルで焼き切れた跡なんだ。僕が付けたのと同じなんだよ」。
「そう、それで螺旋の傷があったの。初めてね、そんな事話してくれたの。京平さんったら驚かすのが上手やわ」。
二人は抱き合いキスした。そして横になると、美保は京平の腕を枕に軽い寝息を立てて眠ってしまった。
京平はそっと腕を外すと抱き上げ、ベッドに運んだ。タオルケットを掛け、ドアを開けたまま部屋を出た。
そしてウエストポーチから銃を出し、ブリーフケースにしまった。夕方、日が傾き始めた頃、美保は目を覚まして起きてきた。
「ごめん、私眠っちゃった。づうっと起きていたの」?
「うん、もっと良い案がないか考えていた」。
「私も、でもいい案は浮かばないよ。もう来ているかしらね」。
「たぶん。電話しに行こうか」
二人は小雨の中出掛けた。そしてペンションの周りをグルッと走った。そして近くにあるホテル、鹿島の森の電話ボックスを見付けて車を止めた。
そし二人で入った。美保はバックから手帳を出して読み上げる番号を京平は押した。すると、すぐに出た。
「はい、真田ですが」。そう言う真田は妙に落ち着いていた。
「真田か、私はリーダーだ。色々とてこずらせてくれて有り難うよ。用意は出来たようだな」。
「は、はい。色々済みませんでした。一億五千万全額古い紙幣で用意しました。あの関西の人は」?
「貴様の事でてこづったんでな。私は一度の失敗も許さない。もう分かるな。私はあの男の様にはいかないぞ。良く聞け、一度しか言わないからな。
金はフィラのリュックに入れろ、そしてサイクリングの恰好で待っていろ。明日また電話する。もし、妙な素振りや妙な人間がいたらその場で取引は終了する。意味は分かっているな」。
「は、はい。リュックはフィラでサイクリングの支度をして待っています。何時頃でしょうか」?
「貴様まだ立場が分かってないな。質問が出来る立場か!」。
「は、はい。済みませんでした、電話をお待ちしています」。
そして電話を切った。京平は笑っていた。
「京平さん、どうして関西の男の存在を無くしたの」?
「うん、非道だと言う事を印象づける溜めだよ。初めは落ち着いていたけどびびってたよ。最初の落ち着きぶりだと仲間は相当いるな。でも今の威しで居ても近付けないと思う」。
「ウフッ・・・流石だな、精神的に追い込むなんて凄い。じゃあ計画はあのままでいいのね」。
「うん、今から狙撃現場を見に行こう。それから目印のラバーコーンを置いて来たいからね」。
京平はそう言うとシートベルトを着けるとエンジンを始動させた。
そして向きを変えると聖パウロ教会へ向かった。小雨もその頃になると止んで人の歩く姿もチラホラとあった。
そして三笠ハウス方面へ走った。そして白糸ハイランドウェイの有料道路に入った。真っ暗な闇夜にヘットライトの明かりで映し出される路面には、センターラインが妙に大きく太く見えていた。
そして白糸の滝のバス停を過ぎ、しばらく行くと京平の言うように空き地があった。車を止めると手袋をして荷台のラバーコーンをひとつ持つと空き地の端において戻って来た。そして少し走って止まった。
「美保、ここから車で少し行くと小高い丘になっていて、大きな岩があるんだ。車は雑木林で隠れて道路からも何処からも死角になって見えないから心配ない。今から行ってみるからね」。NO-43-115
「うん、ないよりはいいよ。でも小山さんが言う五千万って修理にはギリギリの額じゃないのかな。もう一千万出してあげたら」。
「フフフッ・・・そうするよ。僕は一度小山には命を助けて貰った事があるんだ。学生の頃に穂高を縦走登山した時にね、オーバーハングを上っていた時に強風に煽られて宙吊りになってさ、小山が命懸けで大柄の僕を引き上げてくれたんだ。だからなんとかしてやりたい」。
「そう、そんな事があったの。でも凄いね。小柄な小山さんが貴方を引き上げたなんて驚き。火事場の何とかって奴かしら」?
「そうかも知れない。あの時はもう駄目だと思った。小山の腕に大きな傷跡があったろ、あれは僕を引き上げた時にザイルで焼き切れた跡なんだ。僕が付けたのと同じなんだよ」。
「そう、それで螺旋の傷があったの。初めてね、そんな事話してくれたの。京平さんったら驚かすのが上手やわ」。
二人は抱き合いキスした。そして横になると、美保は京平の腕を枕に軽い寝息を立てて眠ってしまった。
京平はそっと腕を外すと抱き上げ、ベッドに運んだ。タオルケットを掛け、ドアを開けたまま部屋を出た。
そしてウエストポーチから銃を出し、ブリーフケースにしまった。夕方、日が傾き始めた頃、美保は目を覚まして起きてきた。
「ごめん、私眠っちゃった。づうっと起きていたの」?
「うん、もっと良い案がないか考えていた」。
「私も、でもいい案は浮かばないよ。もう来ているかしらね」。
「たぶん。電話しに行こうか」
二人は小雨の中出掛けた。そしてペンションの周りをグルッと走った。そして近くにあるホテル、鹿島の森の電話ボックスを見付けて車を止めた。
そし二人で入った。美保はバックから手帳を出して読み上げる番号を京平は押した。すると、すぐに出た。
「はい、真田ですが」。そう言う真田は妙に落ち着いていた。
「真田か、私はリーダーだ。色々とてこずらせてくれて有り難うよ。用意は出来たようだな」。
「は、はい。色々済みませんでした。一億五千万全額古い紙幣で用意しました。あの関西の人は」?
「貴様の事でてこづったんでな。私は一度の失敗も許さない。もう分かるな。私はあの男の様にはいかないぞ。良く聞け、一度しか言わないからな。
金はフィラのリュックに入れろ、そしてサイクリングの恰好で待っていろ。明日また電話する。もし、妙な素振りや妙な人間がいたらその場で取引は終了する。意味は分かっているな」。
「は、はい。リュックはフィラでサイクリングの支度をして待っています。何時頃でしょうか」?
「貴様まだ立場が分かってないな。質問が出来る立場か!」。
「は、はい。済みませんでした、電話をお待ちしています」。
そして電話を切った。京平は笑っていた。
「京平さん、どうして関西の男の存在を無くしたの」?
「うん、非道だと言う事を印象づける溜めだよ。初めは落ち着いていたけどびびってたよ。最初の落ち着きぶりだと仲間は相当いるな。でも今の威しで居ても近付けないと思う」。
「ウフッ・・・流石だな、精神的に追い込むなんて凄い。じゃあ計画はあのままでいいのね」。
「うん、今から狙撃現場を見に行こう。それから目印のラバーコーンを置いて来たいからね」。
京平はそう言うとシートベルトを着けるとエンジンを始動させた。
そして向きを変えると聖パウロ教会へ向かった。小雨もその頃になると止んで人の歩く姿もチラホラとあった。
そして三笠ハウス方面へ走った。そして白糸ハイランドウェイの有料道路に入った。真っ暗な闇夜にヘットライトの明かりで映し出される路面には、センターラインが妙に大きく太く見えていた。
そして白糸の滝のバス停を過ぎ、しばらく行くと京平の言うように空き地があった。車を止めると手袋をして荷台のラバーコーンをひとつ持つと空き地の端において戻って来た。そして少し走って止まった。
「美保、ここから車で少し行くと小高い丘になっていて、大きな岩があるんだ。車は雑木林で隠れて道路からも何処からも死角になって見えないから心配ない。今から行ってみるからね」。NO-43-115