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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(50)&CG

2008-09-19 09:57:34 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(50)&CG

「変て?・・どう変だったんだって?・・・」。
「うん、その運転手が言うには。その男は自転車に乗って来て乗り込むと真田って言ったらしいんだけどさ、白糸の滝へ行ってくれって言ったそうだ。
それで行くと、スピードを落とせとか普通に走れとか言って妙だったって。それで空き地に車を止めさせたりして峠の茶屋まで行くと引き返して、白糸ハイドランドウェイの途中にある空き地で降りたってさ。
それで、警察に知らせた方が良いって言ったんだけどさ。警察に言うと呼び出されて仕事にならないから黙っているんだって。
俺も聞いたら気になってさ、此々へ来る途中遠回りして有料道路を回ってさ、空き地を見て来たけど何も無かったよ。ラバーコーンが一つあったらしいけど何も無かった。それに自転車が碓氷峠の旧道で見付かったんなら安中か富岡の方へ行ったんだろう」。
「そんな行方不明なんて事はたまにあるのか」?
「ああ、毎年一シーズン中五人や六人は居なくなる。もう警察も慣れているよ。また家出だろって身を入れて探してなんかないよ。
先月も二件あったばかりだから。いままで見付かった試しがない。そのうち所持金がなくなれば家に帰るさ」。
「そう、そんなに家出みたいなのがあるのか。こっちは聞いた事ないけどな。登山で遭難なんて言うのはしょっちゅうだけどさ」。
「うん、大方は宿代の踏み倒しが多いんだけどさ。中には旦那をホテルに残したまま蒸発なんて言うのもあるし、その逆もある。観光地や避暑地では良くある事さ。俺の所でも去年あったよ。若い夫婦だけど、旦那を残して女房が蒸発して大騒ぎしたんだ」。
「それで小山さんどうしたの。見付かったの奥さんは」?
「いいえ、旦那さんは警察に届けて地元の消防団にも頼んで三日も捜索したけど見付からなくてね。結局家出扱いにして帰りました。今年も旦那さん一人で来てくれたけど、連絡はないそうですよ」。
「そうなの、お気の毒にね」。
「紺野、奥さん。じゃあ此のお金お借ります。修理が始まったら是非一度見に来て欲しい」。
「ああ、行くよ。工務店の方は大丈夫かのか?・・・」。
「うん、信用のある工務店だし昔から付き合いのある所だから心配ないよ。それにしても凝った別荘にしたな。じゃあまた来るよ」。
こうして小山はアタッシュケースの六千万を持参したバックに移し替え、何度も頭を下げると帰って行った。
小山を見送ると出来上がったばかりのバーベキューハウスの椅子に掛けた。
「京平さん、あの人達の車は何処へ行ったの。それに自転車は碓氷峠の旧道で見付かったって、一体どう言う事だろうね?・・・」。
美保は眉間に皺を寄せて京平の顔を伺った。
「僕の思惑が当たったって事だよ。キーが着いたままだったろ、車は盗まれたんだ。それに乗り捨てられた自転車は誰かが乗って行って碓氷峠に捨てたんだろう。でも軽井沢はそんなに行方不明になる人達が多いとは知らなかった」。
「うん、でも私達にとっては好都合ね。あれから一週間だもの」。
「でも京都の方じゃ真田の預金を調べているだろう。それに白馬の銀行で降ろした事も分かっているだろうし、孰れ調べに来るさ。
ただ唯一奥さんが何も聞かされてないと言う事だろうな。まず疑われるのは奥さんだ。一億以上の現金を持ったまま行方不明だからね。もしかしたら今頃は事情聴取を受けているかも知れない」。
「じゃあ暫く見付からないわね」。
「それか、野犬や獣に食べられてもう無いかもな。いずれにしてもあの場所は警察は知らないと言う事だ。発見されるとすればキノコの時期だろう、あの辺りはキノコが多く出て人が入るからね」。
そしてテレビを見ているとワイドショウーのニュースが始まった。すると、軽井沢で行方不明になったとして真田茂の名前が流れた。
そして真田の知り合いの六人も行方が分からなくなっている事を話しているのだった。そして名前と写真を流した。
「京平さん、この人達よ。ねえ、この人達の名前だけどさ」。
「うん、電話で名乗って帰した男たちの名前だ。どう言う事だ・・・」。京平は黙って美保を見詰めていた。
「もしかしたら、あの時に名乗ったのは別の男だったんじゃないか。居た事は確かだ。その六人は名前を出したくない六人だった。その六人には一人一人ボディーガドがいて、その男の名前を名乗ったとしたら話が通じるだろ」。
「どう言う事?・・・じゃああの六人は白馬には居なかった。でも六人は居た。エ~ッ」。と顔を覗き込んだ。
「だから、軽井沢の男たちは別の仲間を呼んだんじゃなくて、白馬に向かっていた男達だ。電話の後行き先を軽井沢に変更したんだ。美保、いまここで適当な名前を即答で六人言えるか」。
「そんなの無理だよ。一人二人なら言える気け・・・そうか、分かった。あの時に居た六人は人に言えない人達。って事は知名度のある人って事」?
「うん、ああもすらすら六人の名前を言えるのは日頃会っているからだろ。あの場に居た六人は用心棒なのは確かだろう。何かきな臭いな。
僕等の知らない事を外にしていた可能性がある。外にも泣いてる女性がいるかも知れない」。
NO-50-15

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(49)&CG

2008-09-19 09:55:06 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(49)&CG

そして十時を過ぎると下の方が騒がしくなった。重機のエンジン音が山間に響き渡った。そして三十分もすると庭先にブルドーザーが姿を出した。
ブルはバケットの爪を立てながら水平に整地し始めた。
そして車の止めてある反対側を整地すると京平は車を移動させた。一時間もすると整地も終わってブメドーザーは戻って行った。
そして昼食を挟んで午後になると今度は十屯ダンプがガラガラと音をさせて砂利を巻いていた。そして三台分の砂利を道から庭に撒き終えると、後からローラが来て道を均していた。
こうして道はローラーで踏み固められ、庭先もまた砂利が土にめり込んで平な砂利の庭となった。そして夕方にはバーベキュウハウスを作る丸太が運び込まれた。丸太にはビニールシートが掛けられ、トラックは帰って行った。
そして翌日、朝八時には職人を乗せたトラックやワゴンがやって来た。
京平たちは社長から図面を見せられ、仕事は始まった。
そして夕方にはミキサー車が来て、枠組みされた基礎にコンクリートが流された。そしてその上にはシートが掛けられた。
そして職人達が帰った後、タヌキに食事をやり、二人は自宅へと帰っていった。
その途中、公衆電話の前で車を止めた。そして京都の真田貴明に電話を掛けた。
すると貴明は電話を待っていた。
「電話を待っていました。荷物受け取りました、お土産まで済みませんでした。お金は銀行へ入れました。それで母から夕べもさっきも電話がありました。義父が帰って来ないって心配していました」。
「それでお前はなんと応えたんだ」?
「はい、前にも黙って旅行に出掛けて一週間も留守をした事がありましたから、今度もそうだろうと。それで帰る様に話しました。母もそうすると言っていました」。
「そうか、それで刑事は?・・・」。
「はい、今は見張っていません。それで貴方と連絡を取りたい時はどうしたら良いでしょうか」?
京平は考えた。電話番号を教える訳にはいかないし。すると美保が心配そうな顔をして見詰めていた。「一度切るぞ」と切った。
「どうしたの?・・何か悪い知らせなの」?
「いや、連絡をとりたい時はどうしたら良いかって」。
「だったら新聞の伝言板を利用したらいいじゃない。例えば時期外れの花が見付かったとか。ユキワリ草があったとか」。
「うん、それ貰い。ユキワリ草ありました。これにしよう」。
京平は電話を入れた。
「真田か、悪かった。東都スポーツの伝言板に広告を出せ。文句はこうだ、かたかなでユキワリ草ありました。それを読んだら電話する」。
「はい、東都スポーツの伝言板でユキワリ草ありました。ですね」。
「そうだ、それを読んだら必ず携帯に電話を入れる。それから、二十日まで待っても警察から電話が無かったら軽井沢警察に父親の捜索願いを出せ。
お前は何も知らないんだ、母親にはありのまま警察に話せと言え、余計な事は一切言うな」。
「はい、でも以前にも急に旅行先から三日も四日もいなくなった事があった事は話しても良いですね」。
「それは話しても構わない。但し、警察から聞かれる事以外の事は決して自分から口にするな。いいな」。
「はい、分かっています。では母と話して母が捜索願いを出すと言うまで自分からは何も言いません。では失礼します」。
そして電話を切ると自宅へ帰った。
こうして翌日から二人はペンションの仕事に戻り、何事もなかったように毎日楽しく過ごしていた。
そして一週間がまたたくまに過ぎた八月二十三日の日曜日、軽井沢のペンション森の星のオーナー、小山久雄が京平の連絡を受けて訪ねて来た。
そして、京平の差し出したブリーフケースの中には六千万の現金が入っていた。三人はテーブルを囲んで向き合っていた。
「小山、あの再建計画書のペンションの修復費では一杯一杯だ。だから僕等が勝手に判断して六千万用意した。それにこの修理費には天窓の防音工事が含まれてない」。
「六千万!防音工事?・・でもあの天窓はうちの呼び物だが」。
「うん、お前あのロッヂに雨の日に泊まった事あるか。あの日偶然雨が降って少し強い降りだと煩くて駄目だ。あの音はマイナスだ。
だから雨降りの日は天窓を閉められるようにした方が良い。気にならない客はそのまま寝ても良いけど、年の多い客にはどうかな」?
「そうか、強化ガラスだからそんなに雨の音は気にならないと思っていたけど、やっばり気になるか。分かった、言われた通りやるよ。じやあ担保の枠を広げないと。書き直して来るよ」。
「いや、その必要はないよ。僕等が勝手に一千万増額したんだから後は言う所がない。それで工事はいつから始めるんだ」?
「うん、その計画書の通り十一月に入ったら全面休業して始めようと思うんだ。その頃は暇になるからね」。
「そうか、分かった。じゃあ此れを持って行ってくれ」。
「有り難う紺野、奥さん有り難うございます。此れで準備が出来る。絶対に成功させてみせるから。でも本当に借りていいのか」?
「小山さん、遠慮しないで使って下さい。差し上げる訳ではありません。返して頂くんですから」。
「ええ、そうですね。所でさ、昨日警察が来てな、なんでも中軽井沢のホテルに泊まっていた夫婦の旦那が行方不明になってるとかで、写真を持って聞いて回ってる。
なんでも十六日のタクシーで出掛けて、駅前の貸し自転車を借りて出たらしんだ。その自転車は碓氷峠の旧道を下った所で見付かったらしいんだけどさ。そしたら今朝、知り合いのタクシーが客を乗せて来てくれて、その運転手が行方不明になった男を三笠ハウスのバス停で昼前に乗せたって言うさ。それが何だか変だったって」。
NO-49

夕食時の出来事・・・CG

2008-09-19 01:47:10 | なんとなく日常
夕食時の出来事・・・CG

「お父さん、お父さんの人生ってなあに?・・・」

夕食を食べていると、突然、何気なく娘が問いかけた。

「俺の人生か?・・・それは終わる時に分かるんじゃないかな・・・」

娘は首を傾げながら「終わる時って死ぬってこと?・・・そうじゃなくて、今までの事を訊きたいの」。と目を輝かせていた。

「そうだな、簡単に言えば、お前の様な娘が居てくれて幸せって事と、普遍的かな・・・真っ青な晴れた日は続かない、穏やかそうでも風は何時も吹いているだろ。人生も同じだよ」。

「ちょっとゴマすりだね。じゃあテストと同じだ。分かる問題ばかりじゃないしさ」と、けろっとしていた。

私は笑い出していた。

「そうだな、人生なんてテストみたいなもんだよ。但し、正解は無い。答えが出るのは人生が終わる時かな」。

分かったのか、分からなかったのか、娘はテレビを観ながら頷いていた。
何でそんな事を訊くのか聞こうとしたが止めた。

何時もなら、こんな事があって訊きたいと言うのに、何も無く突然だったから。
人は訳も無く聞きたい事もあると感じたからだ。