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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(54)&CG

2008-09-23 20:50:46 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(54)&CG

「ともかく凶器も足跡も痕跡が何もありませんのでね。正直言ってお手上げのようですな。紺野さん達にお聞きすれば何か手掛かりが見付かるんじゃないかって、祈る気持ちで伺ったんですが、どうやら空振りだったようです。
しかし、何処でどう繋っているのか分かりません」。
「祈る気持ちですか、僕等にとっては凄い迷惑ですが」。
「そうですね、今から真田夫婦が泊まっていたと言うみそら野のペンション・マリブですか、そこへ伺うんですがご存じですか?・・・」。
「ええ、知っていますよ。観光組み合いの寄り合いでも一緒になりますからね。案内しましょうか。今なら手が空いていますから」。
「それは助かります、是非お願いします。えっと、そう言えば小山さんに多額のお金を用立てたとか」?
三河警部は流石だと京平は心の隅で感じていた。
「はい、僕は美保の持参金まで借りて全財産です。小山には学生の頃、山で命を助けられましてね。その恩返しです。
小山にはもう会ったでしょう。彼の腕の傷は僕を助けてくれた時に付けた傷なんです。だから彼が困っているのを見過ごす事が出来なかっただけですよ。刑事さんは僕が真田茂さん達を殺してお金を奪ったとでも?・・・」。
「ほう、良く知っていますね。真田さんがお金をもっていた事を。マスコミにはまだ発表されていませんよ」。
「からかわないで下さい、この辺りのペンションの経営者なら殆ど知っていますよ。それに、銀行の窓口の望月は自分と同級生なんです。そう言う噂は直ぐに広がります。
それに、僕があの七人をどうやって殺す事ができるんですか。それに見ず知らずの人を殺す理由がないです」。
「そうですな、でも紺野さんは大学では国体に出るほどライフルの腕が良いとお聞きしましたよ」。
「それほどでもありません。あの七人は撃たれて殺されたんですか」?
すると三河警部は声を詰まらせた。京平は尚も食い下がった。
「では誰か銃声でも聞いたんですか。もし僕が犯人だったとして。ライフルでどうやって七人を一度に殺せるんです。機関銃でもなければ不可能でしょう、一度に七人を殺すには」。
「機関銃ですか、無理ですな」。
「おい、さっきから聞いてれば言いたい放題の事を言いやがって、そこのへっぽこ刑事、息子の退職金や嫁の持参金を貸して何処が悪いんだ。
黙って聞いてれば息子が殺したような口ぶりに聞こえるが、名誉毀損で訴えても良いんだぞ。
猟銃は私が管理してるんだ。あそこにある猟銃の鍵は銀行の貸金庫に入れてあって、11月の解禁前に鍵をもって来るが、それまでは誰も持ち出せないんだ。いいかげんにせんか」。
父良平は凄いけんまくで怒り出した、京平も初めて見る父の姿だった、そして母良江も怒っていた。
「済みません、刑事の嫌な所ですな。この通りお詫びします」。三河警部は立ち上がると頭を低く下げて詫びた。
「紺野さん気を悪くさせたらお詫びします」。
「何を言われても平気です。警察は相当困っているんですね。こんな所まで管轄外の警察が来て調べるんですから、それに免じて許してあげますよ。ではマリブへ案内します」。
京兵は両親に声を掛けると美保を連れてBMWで出た。
その後を刑事の覆面が着いて来た。二十分程でペンション・マリブに着くと、オーナーに事情を話をすると京兵たちは引き返した。そんな車の中、
「刑事って嫌ね、あてずっぽうでものを言うんたから。でもあの刑事は中々素直ね」。
「うん、何を聞かれても僕等にミスはないから平気だよ。でもさ、一つ気になるのは殺し屋はあの三人だけだったんだろうか、仲間や指令を出してる人間はいないのか」。
「うん、映画じゃ元締めみたいなのがいるけど、あれは映画だから。ゴルゴ13みたいに自分で受けていたんじゃないのかな」。
「アッハハハゴルゴ13は良かったな。もし元締めみたいなのがいたらさ、無くなったライフルや銃の事が気になっているだろうな」。
「うん。京平さん、話しは変わるけど、あの医者たちはどうするの。いまは動けないとしても貴明もやきもきしてるんじゃない」。
「そんな事ないさ、忙しいと思うよ。毎日のように警察が来て父親の身辺を調べているだろうから。下手に動けばそれこそ墓穴を掘る事になるからね。でも、僕等に動かれるよりその方が良いかもな」。
「本当ね、散々絞り取られて最後には始末されてしまうんだから。でも被害を受けていた女性はほっとしているだろうね。それよりマリブのオーナーに何話していたの」?
「うん、犯人だと思われて質問されるから余計な事は言わない方が良いって忠告しといた。笑っていたけどね」。
こうして警察の捜査はなんら進展もなく、時は流れていた。九月も押し迫って来ると白馬は朝夕の冷え込みが次第に多くなっていた。そして遠く白馬の山々や穂高連邦の峰々には赤や黄色の紅葉が目立ち初めていた。
そしてテレビのニュースからも軽井沢の事件のニュースが次第に流れなくなった。京平は一月振りに真田貴明に電話を入れた。
「そうか、それでお前は何をしている」?
「はい、父の病院の経理をしています。母は医者に戻って院長をして今は徐々に患者さんも来てくれるようになりました」。
「そうか。じゃあこっちは始動するぞ。例のディスクは処分しただろうな」。
「はい、言われるように処分しました。処分しておいて良かったです。あの翌日警察が来て病院と父の書斎から金庫まで全部調べられましたから。後はお任せします。
それから、御礼の事ですが。幾らでも請求して下さい。貴方のお陰で僕も母も父から自由になれたんですから」。
「分かった、もう少し熱りが冷めたら請求する。それまで頑張って仕事しろ。でも間違った事をしたら父親の二の舞えだぞ」。
「分かっています。僕はそんな事はしません」。
「よし、じゃあまた連絡する。母親を大事にしろ」。
そして十月に入った四日の日曜、京平達は久し振りに休みを貰った。
そして別荘にスーパーの袋を下げて向かった。そして途中の公衆電話の前で車を止めた。
そして六人の内の一人に電話を掛けた。すると日曜だと言うのに看護婦が出た。
「はい、宮田美容整形外科です」
「院長の宮田先生をお願いします」。
「院長はいま診察中ですのでお出になられません」
「いいから真田の事だ。そう伝えろ」。声を怒らせると看護師は怒ったのか、黙ったまま保留のオルゴールに切り替わった。
NO-54-26

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(53)&CG

2008-09-23 20:46:47 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(53)&CG

そして二日、三日と過ぎた九月五日の夕方、軽井沢警察署の会見が始まった。
そして血液判定とDNA鑑定に因って身元が判明したと言うのだった。
二人は聞いていて妙に感じていた。
すると、遺体は七人、いずれも所持品がなく、腐乱状態が激しい事と、獣や野犬に因って食い荒らされ、手足が無く、頭部が見付からない遺体もあり、身元の判定が遅れたと言うのだった。
そして会見で読み上げられた名前は真田茂とあの六人の名前だった。結局死因は特定できず、残っていた体には傷がない事から、紛失した頭部損傷に因る出血死ではないかと言う事だった。
「やあね、まだ若い人ばかりじゃない。獣や野犬ですって。でもどうして殺されたのかしらね」。何時来たのか、母は顔をしかめて聞いていた。
そして父は「なんて事だ」と首を振っていた。
そして二人は部屋に上がるとデレビを点けた。すると真田貴明が顔にぼかしを入れられ、リポーターからインタビューを受けていた。
その傍らでは母親らしい喪服の女性がうなだれていた。
「京平さん、あの人達何も持ってなかったなんて考えられないわよね。誰か見付けて持ち去ったのかしら」。
「たぶんそうだろうな。財布や時計、指輪の一つまで盗んで行ったんだろう、あの時ネックレスや凄い時計してたもの。僕等より上手がいたんだよ」。
それからと言うものは毎日軽井沢の事件でテレビのワイドショーやニュースではその話しで持ち切りだった。
そして一週間十日と過ぎ、京平のペンションでは毎日忙しく働いていた。そんな九月も中旬、静岡から二人の刑事が訪ねて来た。
それは、前に来た三河警部と小森刑事だった。京平と美保は事務所に案内すると話しを聞いた。
「お忙しい時期に済みません、実は今日伺ったのは大浜の事件の事と伊豆の亀石峠の交通事故の事なんですが。
紺野さんは六月十八日に伊豆の下田に仕事で行かれていますね。その帰りは何処を回って帰られました」。
「ええ、あの日は商談が擦れ込んで終わったのが、確か午後十時を回っていしまた、ホテルで夜食を軽く食べて帰路に就いたのが十一時を過ぎていましたか。それで伊東を回って亀石峠に入ったんです。そしたら霧が深くて通行止めの標識が出ていましてすぐに引き返して熱海を回って帰りました。家に着いたのが四時を回ってました」。
「良くそんなにハッキリ覚えていますね?・・・」。
三河警部は疑うような目をして京平の顔を横目で見た。
「それは覚えていますよ、その翌日の仕事が最後でしたからね。それに、下田の商談も翌日の商談もまとまって満足でしたから。
それに、帰りに美保に電話したら、ルーフ橋の方は霧で通行止めだと聞かされていましたから。それで亀石峠に回ったんです」。
「そうですか、もうご存じでしょうが、あの亀石峠の事故で亡くなった三人の身元が未だに不明なんです。あの夜、車とか何でも良いです、何か目撃されていませんか」。
「何かと言われても、国道からいくらも行かない間に霧が深くなって来ましたからね。すぐにUターンしましたから、それに、対向車と言えば下った国道の海沿いで擦れ違っただけです。その事故ってどの辺りで事故ったんですか」
「ええ、料金所から1.5キロ位下った所です」。
「だったら問題外です。自分はまだ民家のある時点で引き返しましたから。済みませんお役に立てなくて」。
「そうですか。霧の中ですな。では大浜の事件ですが、何か思い出された事はありませんかね、どんな事でもいいんです。最後にあの二人の車に接触したのは紺野さんと奥さん二人だけなんです。
あの大浜の角にあるおでん屋のお婆さんが、いま流行りのジープとあの二人の二台の車が通ったと言うだけで。外には何も」。
「この間も言いましたけど、もし誰かがいたとしてもあの車から逃げるので精一杯で。そんな回りを見ているような余裕なんかありませんでしたからね。でも刑事さん、新聞やニュースじゃ覚醒剤の取引していたって。あんな所で取引なんてするんですか」
「ええ。どんな所でもしますよ。所で。お二人は軽井沢のペンション森の星の小山久雄さんとはお知り合いだと言う事ですが」?
「ええ、小山は自分の大学の同期です。それが何か?・・」。
「ええ、八月十五日の日にお二人で泊まりに行かれたとか?・・・」。
「行きましたよ。父が忙しくて新婚旅行にも行かせてやれないからって、休みをくれたものですから。それで妻も軽井沢にはまだ行った事がないと言うんで、一日だけ小山の所へ遊びに行きました」。
「それは偶然ですか、それとも何か意味があって行かれた」。
「偶然とか意味だとか、どう言う事です。何が言いたいんです?・・・」。
「いえ、軽井沢に避暑に来られていた方全員にお聞きしている事なんです。気に触ったら許して下さい。
奥さんは京都ご出身だと言う事ですが。こんな事を聞いては失礼かも知れませんが、真田と言う名前に心当たりはありませんかね」。
「ええ、一人だけ知っています。親友が付き合っていた人が真田と言います。でも別れて、と言うか、その男に捨てられて、一年と・・・もう七カ月になりますか、自殺してしまいました。それが何か?・・・」。
「ええ、軽井沢で遺体で見付かった被害者の一人が、真田茂と言う医師でして、その息子が貴明さんと言いましてね。
奥さんの親友の佐々木友世さんとお付き合いしていた男の父親なんです。余りにも偶然でしたので、失礼してお聞きしたんです。
率直にお聞きしますが、その真田貴明さんと父親の関係は旨く行っていたんですかね?・・・」。
「そんな事知りません、友世に一度紹介されて名前を聞いただけですから。顔も良く覚えていません。それに家が何をしているなんて友世も話してくれなかったから。
ですから、父親との仲なんて知る分けないです。刑事さんはその息子さんが殺したと思っているんですか」?
「そうではありませんが。まず身内からって鉄則でしてね。しかし、その息子は和歌山にいましてね。奥さんの友人の高橋幸子さんの自殺の事で京都府警の刑事が尾行していまして、アリバイは完璧なんです。刑事が尾行していましたから」。
「アッハハハハそれはいい、刑事が証人じゃ盤石だ。それで、後の六人はどうして殺されたんです?・・・」。
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