小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(58)&CG
「山小屋に食糧を背負って運ぶ人の事だよ、百キロは楽に背負うからね。それに僕が扮装するんだ。僕も大学の夏休みに三年も歩荷のアルバイトやったから心配ないよ。背負う荷物には野菜くずをいれてごまかすから。
それで現金を受け取ったら普通に登る、彼等には時間を指定して出発させるからね。それでポイントへ着いたら着替えて待機する、
難所を選んで岩をライフルで撃てば驚いて谷に落ちるって計画。奴ら慣れないからきっとロープで体を結ぶだろうからね。一人落ちれば後はつづいて滑落する。もし失敗したら次の難所で落ちて貰うよ」。
「ねえ京平さん、その山は素人の私でも登れるの」?
「ああ、登れるよ。美保にも手伝って貰うから、明日町に買い物に出たら道具と服を揃えよう」。
「うん、まだ寒くないよね」。
「ああ、低山は十二月頃までは雪が降らないからね」。
翌日。十月七日、二人は昼になると買い出しに松本へ出た。
そして登山道具と服と靴、そして新しいピッキェルとザックを買った。そして小物の総てを買うと店を出た。
そして松本城へ行くとベンチに腰を降ろし、連絡の取れなかった女性に電話した。すると、銀行に振り込みがあったと言う。
京平は携帯を持つと横浜の宮田輝雄に電話した。
「はい、宮田です」。
「俺だ、御苦労だったな。女性達全員と連絡が取れた。入金の確認が取れた。良く約束を守ってくれたな。
殺した女性にも見舞金を振り込むとは少しは人間としての誇りがあったんだ。
では次の命令だ、福祉施設協会に一億八千万、ユニセフに同額。アフリカタンザニア、ナイロビに医薬品を同額寄付しろ。一人九千万ずつ、合計五億四千万。外に六人で一億二千万用意しておけ。ないとは言わせないぞ」。
「分かりました。それで期日は何日戴けますか?・・・」。
「二日だ。寄付名はユキワリ草。カタカナと漢字の草だ。いいな、寄付した事が確認取れたら電話する」。
「あっ、待って下さい。それでもう終わりにして頂けませんか。もう十分反省しています。お願いします」。
「いや、まだだ。それ位で貴様達のした行いが許されると思っているのかっ!我々はまだ許さない。二日だ、分かったな」。
「分かりました。直ぐに全員に知らせます」。宮田は力無く答えると電話を切った。
そして翌日。ニュースでは寄付したと言う報道は流れなかった。
そして二日目の期日の日、昼のニュースで流れた。
匿名でユキワリ草からの贈り物と称され、二つの組織に一億八千万が寄付され、アフリカタンザニアやナイロビで転回中の境界のない医師団には医薬品一億八千万分の薬が寄贈されたと言う事だった。二人は厨房で食事をしながらニュースを聞いていた。
「父さん、十一日に美保を連れて乗鞍へ行って来るよ。此れ以上向こうへ行くと冷えて来るからさ」。
「そうか、美保さん、気を付けてな。京平がいれば安心だ。京平には庭みたいなものだ、目をつむっていても登れるコースだから。でも二~三ケ所危ない所があるから気を付けるんだよ」。
「はい、有り難うございます」。
そして夕方、仕事を終えた二人は部屋に戻ると電話をした。すると、うんざりしたような声で宮田輝雄が電話に出た。
「今度はあの一億二千万をどうしたら良いんでしょうか?・・・」。
「よくやってくれた、此れで大勢の子供や病人が助かる。医者として此れ以上の貢献はないな宮田。
さて、此れが最後の取引になる。十一日の日曜日、その荷物を持って上高地へ行け。お前達の体力を測ってやる。足腰が弱っているだろうからな。
良く聞け、一度しか言わないからな。上高地にある中の湯温泉に朝九時前に行け。その温泉から十石小屋へ登る歩荷さんが居る。
その歩荷さんにダンボール箱に入れた荷物を渡せ。時間通り行かないと出発してしまうぞ。その歩荷さんは朗話者で口が聞けないから何を聞いても話しても無駄だ。
ただし、私達の荷物を運ぶ事は既に知らせてある。渡したら上高知のウエストン碑へ行け、十時になったら西穂山荘に向けて登山開始だ。
そして、割谷山から焼岳、安房峠を縦走して安房山へ出て、十石小屋へ行け。その小屋の裏の東の角にリストの入ったディスクを埋めておく。それで終わりになる。コピーは決して作ってない。信じるか否かはお前達の勝手だがな。
もし登山を拒否すれば終わりになる。
いままでの苦労が徒労に終わると言う事だ。拒否する事は出来ない事になっている。登山支度を始めろ」。NO-58-36
「山小屋に食糧を背負って運ぶ人の事だよ、百キロは楽に背負うからね。それに僕が扮装するんだ。僕も大学の夏休みに三年も歩荷のアルバイトやったから心配ないよ。背負う荷物には野菜くずをいれてごまかすから。
それで現金を受け取ったら普通に登る、彼等には時間を指定して出発させるからね。それでポイントへ着いたら着替えて待機する、
難所を選んで岩をライフルで撃てば驚いて谷に落ちるって計画。奴ら慣れないからきっとロープで体を結ぶだろうからね。一人落ちれば後はつづいて滑落する。もし失敗したら次の難所で落ちて貰うよ」。
「ねえ京平さん、その山は素人の私でも登れるの」?
「ああ、登れるよ。美保にも手伝って貰うから、明日町に買い物に出たら道具と服を揃えよう」。
「うん、まだ寒くないよね」。
「ああ、低山は十二月頃までは雪が降らないからね」。
翌日。十月七日、二人は昼になると買い出しに松本へ出た。
そして登山道具と服と靴、そして新しいピッキェルとザックを買った。そして小物の総てを買うと店を出た。
そして松本城へ行くとベンチに腰を降ろし、連絡の取れなかった女性に電話した。すると、銀行に振り込みがあったと言う。
京平は携帯を持つと横浜の宮田輝雄に電話した。
「はい、宮田です」。
「俺だ、御苦労だったな。女性達全員と連絡が取れた。入金の確認が取れた。良く約束を守ってくれたな。
殺した女性にも見舞金を振り込むとは少しは人間としての誇りがあったんだ。
では次の命令だ、福祉施設協会に一億八千万、ユニセフに同額。アフリカタンザニア、ナイロビに医薬品を同額寄付しろ。一人九千万ずつ、合計五億四千万。外に六人で一億二千万用意しておけ。ないとは言わせないぞ」。
「分かりました。それで期日は何日戴けますか?・・・」。
「二日だ。寄付名はユキワリ草。カタカナと漢字の草だ。いいな、寄付した事が確認取れたら電話する」。
「あっ、待って下さい。それでもう終わりにして頂けませんか。もう十分反省しています。お願いします」。
「いや、まだだ。それ位で貴様達のした行いが許されると思っているのかっ!我々はまだ許さない。二日だ、分かったな」。
「分かりました。直ぐに全員に知らせます」。宮田は力無く答えると電話を切った。
そして翌日。ニュースでは寄付したと言う報道は流れなかった。
そして二日目の期日の日、昼のニュースで流れた。
匿名でユキワリ草からの贈り物と称され、二つの組織に一億八千万が寄付され、アフリカタンザニアやナイロビで転回中の境界のない医師団には医薬品一億八千万分の薬が寄贈されたと言う事だった。二人は厨房で食事をしながらニュースを聞いていた。
「父さん、十一日に美保を連れて乗鞍へ行って来るよ。此れ以上向こうへ行くと冷えて来るからさ」。
「そうか、美保さん、気を付けてな。京平がいれば安心だ。京平には庭みたいなものだ、目をつむっていても登れるコースだから。でも二~三ケ所危ない所があるから気を付けるんだよ」。
「はい、有り難うございます」。
そして夕方、仕事を終えた二人は部屋に戻ると電話をした。すると、うんざりしたような声で宮田輝雄が電話に出た。
「今度はあの一億二千万をどうしたら良いんでしょうか?・・・」。
「よくやってくれた、此れで大勢の子供や病人が助かる。医者として此れ以上の貢献はないな宮田。
さて、此れが最後の取引になる。十一日の日曜日、その荷物を持って上高地へ行け。お前達の体力を測ってやる。足腰が弱っているだろうからな。
良く聞け、一度しか言わないからな。上高地にある中の湯温泉に朝九時前に行け。その温泉から十石小屋へ登る歩荷さんが居る。
その歩荷さんにダンボール箱に入れた荷物を渡せ。時間通り行かないと出発してしまうぞ。その歩荷さんは朗話者で口が聞けないから何を聞いても話しても無駄だ。
ただし、私達の荷物を運ぶ事は既に知らせてある。渡したら上高知のウエストン碑へ行け、十時になったら西穂山荘に向けて登山開始だ。
そして、割谷山から焼岳、安房峠を縦走して安房山へ出て、十石小屋へ行け。その小屋の裏の東の角にリストの入ったディスクを埋めておく。それで終わりになる。コピーは決して作ってない。信じるか否かはお前達の勝手だがな。
もし登山を拒否すれば終わりになる。
いままでの苦労が徒労に終わると言う事だ。拒否する事は出来ない事になっている。登山支度を始めろ」。NO-58-36