MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2408 婚活市場にオジサンが多いワケ

2023年05月11日 | 社会・経済

 かつて、「結婚適齢期」をクリスマスケーキに例え、「25歳を過ぎると価値が半減する」などと言われた時代がありました。実際、1980年代の前半くらいまで、日本の女性の初婚年齢は25歳台で、25歳はお肌の曲がり角…」と唄った「マダムジュジュ化粧品」のテレビCMも、当時はそんなに違和感なく受け止められていたような気がします。

 しかしその後、日本の晩婚化はどんどん進み、厚生労働省の調査では2021年の平均初婚年齢は男性 31歳、女性は 29.5 歳まで上昇しています。それに合わせ、件の適齢期も「年越しそば」「夏休み」に例えられるようになり、現在では「31歳までが勝負」というのが巷の相場になっているようです。

 マッチングアプリを運営するウエッブサイトの「リブセンス」が、昨年12月に行った独身の20歳〜39歳までの独身男女444人を対象とした調査(「20代・30代独身男女の結婚観」に関する調査)では、「いずれ結婚するつもり」が全体の66.7%を占め、「一生結婚するつもりはない」は33.3%だったということです。

 これを年代別に見ると、20代では「いずれ結婚するつもり」が男女とも約7割、30代では約6割となり、30代は20代と比べて結婚の意欲の低下がみられるとされています。そして、その傾向は特に女性で顕著で、20代(73.6%)では男性の割合(70.5%)を上回っているものの、30代になると58.9%まで減少し30代男性(63.5%)を逆転する結果となっているということです。

 その意味するところは、女性は30代に入ると、男性よりも(急激に)結婚への熱が冷めていくということ。一方、現代の男性が「結婚」を真剣に意識するのは(給料もそれなりにもらえるようになった)30代に入った頃からでしょうから、そこに大きなギャップが生まれていることは想像に難くありません。

 こうした状況に関し、コラムニストの荒川和久氏が3月27日のYahoo newsに『「結婚したいと気持ちが高ぶった時に相手がいない」現代の結婚のマッチング不全』と題する一文を寄せているので、参考までに小欄に概要を残しておきたいと思います。

 20代の婚活女子であれば、婚活の現場に「同じ年代の若い男がいない」と感じた人は多いと思うが、それは錯覚ではない。なぜなら男女では、結婚願望がある年代に乖離があるからだと氏はこのコラムの冒頭に綴っています。

 20代の頃は女性の結婚前向き度が高い割に、男性は低い。その差は15ポイントもあって、20代で結婚したい女性は男性よりも約34%も多い計算になると氏は言います。30代でもその差は7ポイントで、約2割多い。そして40代でやっと男女逆転し、今度は男の方の結婚願望が女を上回る。つまり、結婚願望は、男女年代別で「Xの字」傾向になるというのが氏の指摘するところです。

 その原因は、女性は40歳を過ぎると急激に結婚願望を喪失するから。この中には、元から結婚意欲のない人も含まれるが、若い時に漠然と「結婚したい」と思っていても、40歳を過ぎると「結婚する必要性がなくなった」と考えるようになる人が増えてくるということです。

 一方、20代の男性が結婚に後ろ向きなのは、「自由でいたい」というポジティブな理由というより、そもそも「結婚にふんぎれるほど経済的余裕がない」という人が多いこともその理由にある。実際、20代未婚男性の約半分は年収300万円に到達していないと氏は話しています。

 それでも、かつては世の中に「結婚の社会的お膳立てシステム」というものが機能しており、こうした男女の年代による「結婚意欲の違い」を補正していた。そこには、多少の年齢差があっても、結婚意欲の高い者同士をマッチングさせる力があったというのが氏の認識です。

 だからこそ、(バブル経済到来までの)「皆婚時代」は夫年上婚が大部分を占めていた。しかし、結婚のお膳立てが崩壊した昨今では、初婚夫婦は同年齢婚が増え夫年上婚の実数が大幅に減少したということです。

 統計を見ると、現在の20代の未婚男女の人口を単純に比較すれば、約69万人もの「男余り」であることがわかる。しかし、いざ結婚願望のある20代の未婚男女同士で比べると、逆に約42万人の「女余り」になってしまう状況が生まれていると氏は言います。

 はっきり言えば、これが、20代の女性が「婚活現場におじさんしかいない」と感じる原因だということ。「お膳立て」なき今の婚活が、婚姻市場のマッチング不全を起こしているというのが氏の見解です。

 一方、男性はと言えば、40歳を過ぎて(せっかく)結婚意欲満々になったところでと、年の差のある20代の女性と結婚できる確率はほぼない。同年代に目を向けても、結婚したい女性の数は圧倒的に少ないという状況に直面すると氏は話しています。

 (したがって)男女ともに年齢の違いはあれ「結婚したいと思った時に相手はいない」という状況に陥るわけで、結果として、20-34歳で不本意未婚(結婚したいのにできない)女性が4割も生まれてしまうのはむしろ必然ともいえるというのが氏の見解です。

 それではどうすればいいのか? 氏はこの論考の最後にこう提案しています。

 20代のうちに結婚したいと思っている女性は、「結婚に前向き」な男性だけを見ているとマッチングしない。こうした状況では、受身で男性側からのプロポーズを待っていると時期を逸することが多いと氏は言います。

 また、男性側にしてみても、マーケティング的には20代のうちは完全に売り手市場にあるわけで、どうしても「結婚したい」と考えているなら20代のうちに相手を見つけてしまった方が得策だということです。

 早いうちに迷わず(まずは)結婚してみること。勿論こういう場合には、特に女性が主導権を握った方がいいというのは間違いではないだろうと話す荒川氏の指摘を、私も興味深く読んだところです。

 



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