つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

日中間の良性循環-日本軍性暴力パネル展報告シンポジウム

2012-11-11 07:51:26 | 日記

日本大学で、「大娘(ダーニャン)たちの戦争と記憶」シンポジウムを開きました。
日中戦争中の日本軍性暴力の被害者(いわゆる「慰安婦」)のおばあさんたち(中国語で「大娘」)の被害の実態とその後に関するパネル展が中国各地で開かれています。これは、聞き取りをして事実を明らかにし、被害者の名誉回復を支援してきた日本の「山西省・明らかにする会」などの市民グループが、中国側の博物館や大学の協力の下で行っており、そのひとり陝西師範大学の屈雅君教授を迎えてのシンポジウムでした。
このようなパネル展を中国で開くことには、「反日感情をあおるものだ」という反対意見もあります。しかし屈さんの講演では、「日本社会には、このような活動をしているグループがあり、凄惨な被害を受け、その後もつらい人生を送ってきた被害者に寄り添い、その事実を日本と中国の社会に伝えていこうとしている。展示を見てそれを知り、多元的な価値観が共存していてそれを表明できる日本社会への理解を深め、日中関係についてより深い考察をする人たちが出てきている」といいます。
「慰安婦」とされたおばあさんたちが、生き延びたとしても長い間つらい人生を歩んできたのは、日本軍・政府に原因があるとともに、女性の人権を尊重せず性暴力の被害者を蔑視してきた中国社会の問題でもあります。中国でもそのことに気づいて変えていこうとする人々が出現し、日本の人々とつながり始めています。
こうした日中間の深い相互理解への良い循環が始まっていることに、将来への希望を感じます。