つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明

2014-03-08 11:05:28 | 日記
 この間、安倍政権が「維新の会」やさまざまなマスメディアと提携しながら、「河野談話」の見直しを進める中で、国際女性デーの3月8日に、標記のような研究者の共同声明を出しました。私は林博史さんと共に事務局をつとめています。

 日本軍「慰安婦」問題についての河野談話は、これまで20年余りにわたって日本政府のこの問題についての事実の承認と反省の表れとして、一定の積極的な機能を果たしてきました。これを実質的に否定するような見直しは、韓国や中国のみならず、米国を含めた国際社会との関係でも深刻な緊張をひき起こしてしまうことを危惧しています。

 ご賛同いただける研究者の方は、次のChangeのサイトからご署名をお願いできれば嬉しいです。署名にあたっては、「コメント欄」に、所属、身分、専門分野 をお書きいただき(必須)、また任意でメッセージもいただければ幸いです。
   http://chn.ge/1oxizVP (河野談話の維持・発展を求めます Change.org)

 【声明文】 河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明

 この間、いわゆる日本軍「慰安婦」問題に関する1993年の「河野談話」を見直そうという動きが起きています。「河野談話」は「慰安婦」問題は日本軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけたものであることを認め、同じ過ちをけっして繰り返さないという日本政府の決意を示したものであり、これまで20年余にわたって継承されてきました。
 「河野談話」が出されてからも、学者や市民の努力によって数多くの新たな資料が発見され、多数の被害者からの聞き取りも行われて、研究が深められてきました。「慰安婦」の募集には強制的なものがあったこと、慰安所で女性は逃げ出すことができない状態で繰り返し性行為を強要されていたケースが多いこと、日本軍による多様な形態の性暴力被害がアジア太平洋の各地で広範に発生していること、当時の日本軍や政府はこれらを真剣に取り締まらなかったこと、など多くの女性への深刻な人権侵害があったことが明らかになっています。こうした日本軍による性暴力被害が、日本の裁判所によって事実認定されているものも少なくありません。
 被害者の女性は、戦争を生き延びたとしても、戦後も心身の傷と社会的偏見の中で、大変過酷な人生を歩まざるを得なかった方がほとんどです。
 「河野談話」で示された精神を具現化し、高齢となっている被害女性の名誉と尊厳を回復することは、韓国や中国はもとより、普遍的な人権の保障を共通の価値とする欧米やアジア等の諸国との友好的な関係を維持発展させるためにも必須だといえます。
 私たちは、「河野談話」とその後の研究の中で明らかになった成果を尊重し、日本政府が「河野談話」を今後も継承し、日本の政府と社会はその精神をさらに発展させていくべきであると考え、ここに声明を発表します。

    2014年3月8日
                呼びかけ人(アイウエオ順)
                阿部浩己(神奈川大学教授・国際法)
                荒井信一(茨城大学名誉教授・歴史学)
                伊藤公雄(京都大学教授・社会学)
                石田米子(岡山大学名誉教授・歴史学)
                上野千鶴子(立命館大学特別招聘教授・社会学)
                内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授・日本-アジア関係論)
                岡野八代(同志社大学教員・西洋政治思想史)
                小浜正子(日本大学教授・歴史学)
                小森陽一(東京大学教授・日本近代文学)
                坂本義和(東京大学名誉教授・国際政治、平和研究)
                高橋哲哉(東京大学教授・哲学)
                中野敏男(東京外国語大学教授・社会理論・社会思想)
                羽場久美子(青山学院大学教授・国際関係論、国際政治学)
                林 博史(関東学院大学教授・平和学)
                吉見義明(中央大学・日本現代史)
                和田春樹(東京大学名誉教授・歴史学)

                事務局:林 博史・小浜正子 
                連絡先:kounodanwaiji@outlook.com