モジリア

74歳のブロガー。ギネスを目指す!(^^)!
おじさんが読む「赤毛のアン」

お待たせしました

2012年06月24日 | 想像力を・・・

12・624 

お待たせしました。

「目録」     新川和江

 

わたくしは天から日を盗んだ

月を盗んだ 大気を盗んだ

雨を盗んで干割れた口唇を癒した

風を盗み

帆を孕ませて潮路をいそいだこともあった

 

海からは塩を 魚を 海藻を

そうして輝く向う岸を盗んだ

 

地からは五つの穀物を盗んだ

青菜と砂糖黍と 土中にふとる藷を盗んだ

けものの皮と 膏肉(あぶらみ)と 骨を盗んだ

棉を盗んだ 山繭を盗んだ パピルスを盗んだ

鉱石を盗み 原油を盗み

飽くことなく日々地下水を盗んだ

 

しかるに あヽ

小抽出しに鍵をかけ

晒屋の戸にさらに鍵をかけ

念入りに確かめなどして出かけてゆくわたくしの この卑しさ

横断歩道を渡るにも

何を奪われるのを怖れてか

右を見左を見 おどおど渡るわたくしの

このいじましさ

 

開闢いらい開けっぱなし とらせ放題の

天の下に住んで

地の上にあって

 

 

いかがでしたか新川和江さんの「目録」はこんな詩でした。

因みに同じようなテーマを金子みすゞは次のように詠んでいます。

 

「お魚」

海の魚はかわいそう

お米は人につくられる

牛は牧場で飼われてる

鯉もお池で麩をもらう

 

けれども海のお魚は

なんにも世話にならないし

いたづら一つしないのに

かうして私に食べられる

 

ほんとに魚はかわいさう

 

 

 

「大漁」

朝焼け小焼けだ

大漁だ

大羽鰮の

大漁だ

浜は祭りの

ようだけど

海に中では

何万の

鰮のとむらい

するだろう

 

前の手紙で紹介した新川和代さんのエッセーをお読みになって、

そうだよなァ、と同感されたことと思います。

連想する、イメージすることも大切じゃないかな、と思うようになりました。

多分私の手紙をポストの中に見つけて、一瞬でもアレッと思われたことでしょう。

大袈裟にいえばその瞬間は無我?とまでは行かないまでも、

雑念妄念がかなり払拭されている。

新川和江さんのエッセーは兎に角サラッと読ませる名文です。

イメージを膨らませ、

共感するものがあり、心地よいものがある。

読んでいる間は穏やかな心になる。

 

 

 


最新の画像もっと見る