頭を割られた主はそれでも力を振り絞って糸を振りきり、沼の底に沈んだ。紅く染まった沼の水面もやがて収まり、辺りは何事も無かったように穏やかになった。野次馬たちも去っていった。日が暮れはじめ、キャンプ場に明かりが灯るころ、小さなあたしは沼をそっと見に行った。主がいた。苦しそうに沼辺に頭を乗せていた。傷口からはまだ血が流れていた。大丈夫?あたしは尋ねた。大丈夫なわけなかろう。主はギロりとあたしを睨んだ。これだから人間は嫌いなのだと、呟いた。ごめんなさい、あたしはなすすべなく涙を流した。お前みたいなガキが悪いのではなかろう?あたしの涙を見た主は目を細めた。ワシにもガキがおる。ガキの涙は見たくないと。
続く~。
続く~。