森川キャサリーン事件

2014年12月05日 23時59分59秒 | 日本人なら知るべきこと

森川キャサリーン事件 (ウィキペディアから)

 

 

森川キャサリーン事件(もりかわキャサリーンじけん)は、海外旅行の計画を立てた日本在住の定住外国人が、海外旅行から日本へ戻る際の入国手続で必要となる日本政府の事前の再入国許可を、出発前にあらかじめ用意するべく法務大臣に対して申請したものの、不許可となり事実上日本から一時出国することが困難となったため、その不許可処分の取消しと国家賠償を求めた事件である。

憲法学においては、外国人の人権保障の範囲に関するリーディングケースの一つである。

 

 

事件の概要

 

日本人と結婚したアメリカ人である原告が、韓国への一時旅行時に、現に保有する日本の在留資格を継続保持するために必要となる再入国許可を法務大臣に対し申請したところ、外国人に対し(当時)義務付けられている外国人登録原票への指紋押捺を拒否していたことを理由として不許可となったため、処分の取消しと国家賠償を請求し提訴した。

 

 

判旨

 

海外旅行は当然その最初の出発地(居住地)へ帰国(入管法上、「帰国」は日本人の行う日本への再入国を表す用語であり、外国人の場合は正式には「再入国」又は「上陸許可(再)」と表現)することが前提となる。そこで、外国人の海外旅行からの「帰国」の自由すなわち再入国の自由が、憲法上保障されるかが争点とされた。

 

最高裁判所は、1992年(平成4年)11月16日の判決において、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務はなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるとして、外国人には再入国の権利および海外旅行の自由憲法上保障されていないと判決した。

 

 

脚注

 

再入国許可の事前取得がないまま日本の海港・空港から出国しようとすれば「日本での活動を終わり今の在留資格で戻ってくる意思がない最終的出国(単純出国)の外国人」とみなされ全ての在留許可を失うため、引き続き日本で居住する意思がある外国人は在留資格の喪失(生活基盤等への影響)をおそれ一時出国を断念せざるを得ない方向へと「事実上」追い込まれる形となる。ただし形式的には、絶対に日本からの出国ができないわけではない在留許可喪失覚悟で出国することは制限されていない)ため、上記本文では「事実上日本から一時出国することが困難となった」のように「事実上」の文字を冠した表現とした。

 

 

 

                  

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マクリーン事件

2014年12月05日 23時59分58秒 | 日本人なら知るべきこと

マクリーン事件 (ウィキペディアから)

 

 

マクリーン事件( - じけん)とは、日本における在留外国人の政治活動の自由と在留許可をめぐる事件である。本件は、外国人に対して憲法が保障する人権がどこまで保障されるのかという点でも指導的な判例とされている。

 

 

概要

 

アメリカ合衆国国籍を有する原告ロナルド・アラン・マクリーンは、1969年5月10日に在留資格4-1-16-3(在留期間1年)の上陸許可の証印を受けて日本に入国した。同在留資格は他の資格に含まれない「その他すべて」を網羅するもので、許可の際に活動内容(目的・職種・勤務先等)が個別に指定されるところ、マクリーンはある語学学校の英語教師としての稼働許可を受けたが、17日間で入国管理事務所に届け出ることなく別の職場に勤務先を変更した。また、在留中に外国人ベ平連に参加してデモなどに参加した。

 

翌1970年に1年間の在留期間更新の申請をしたところ、許可はなされたが活動内容は「出国準備期間」とされ、期間は120日間に短縮されたものであった。これを受け、マクリーンは在留期間1年を希望して再度の在留期間更新申請に及んだが、同再申請は不許可となった。

 

そこで、マクリーンはこの処分の取消しを求めて法務大臣を被告として提訴した。在留期間更新申請不許可の理由として法務大臣は、一審において、「無届けの転職」と「政治活動への参加」を挙げている。

 

一審の東京地裁(昭和47年3月27日判決)は原告の請求を認容し、法務大臣の処分を取り消した。しかし、二審の東京高裁(昭和50年9月25日判決)は一審を取り消し、原告の請求を棄却した。そして、最高裁判所(昭和53年10月4日大法廷判決)は上告を棄却した。

 

 

争点
  1. 外国人に在留する権利はあるか。
  2. 外国人に政治活動の自由はあるか。

 

 

判決

  1. 外国人の基本的人権は在留制度の枠内で保障されるにすぎないので、在留期間中の合憲・合法の行為を理由として、法務大臣は在留更新不許可処分を行うことができる
  2. 外国人の政治活動の自由はわが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等を除き保障される

 

 

最高裁判決後の昭和53年10月31日、マクリーンは離日した。

 

 

 

                  

                  

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