昔々…今よりもっと貧乏だった役者になりたての頃の話。
主宰者以外、殆ど全員が20代だったその劇団にもタニマチのような人がいた。
いきさつは忘れたがその人に連れられて西麻布のフランス料理のお店に行ったことがある。
稽古場でツクリモノをやっていた私たち数人は、多分全員ジーンズやジャージに近い恰好だったはず。
そのレストランは間口は狭かったが、案内されて通路を進むと奥が広い空間になっており、
窓の外には手入れの行き届いた庭が見えた。
先客たちは殆どがカップルで身なりもキチンとしているし、
音楽も流れていない空間の中で静かに会話が交わされていた。
Tシャツの首にタオルを巻いてるヤツも混じった私たちは相当異質だったはずだ。
タニマチ氏は私たちには
「チェーホフやるんだったらこういう所に来てみるのもいいよ。」
みたいなことを言って、後は主宰者と話しをしていた。
私たちはワインを飲みながら「ああビール飲みてえ」だの「ああ!スズキにはやっぱ醤油だよな」だの
「箸はないのか箸は!?」とかひそひそと勝手なことを言いながら御馳走になったのだった。
あの頃のタニマチ氏と同じくらいの年頃になった今、彼の思いがすごく良く分かる!
貧乏でもいい、でもビンボッ臭くなっちゃあダメだ!と教えてくれてたんだと。
日々の暮らしはカツカツでも舞台の上では金持ちを演じるのが俳優だ。
金は無くとも品は持ってなくては勝負が出来ない。
役者じゃなくても同じだよな。
貧乏でも貧乏臭くない暮らし方が出来る人を大人と言うのだろう。
さて今日の私のゴハンは…ううむ…
朝 昨夜のピザが胃にもたれ
昼 またもやタイカレー!
夜 肉じゃが/ワカメとホーレン草の味噌汁/焼きガンモに生姜と大葉添え
ビンボッくさい?