オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

月百姿 銀河月

2017-07-08 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『銀河月』

明治十九年届

 

七夕伝説のおこりは中国の後漢のころ(1~3世紀)です

中国の織女(しょくじょ)・牽牛(けんぎゅう)の伝説と

裁縫の上達を願う乞巧奠(きこうでん)の行事とが混ざりあって

伝わったものといわれています。

 

国立国会図書館デジタルコレクション 053

 

牽牛と織女は、天地の別れたときよりずっと

稲蓆(いなむしろ)の川に向い立って

思い合う身も安からず、嘆く身も安からず

川の青波によって望みは絶たれてきた。

白雲にさえぎられて涙は尽きない

こうしてばかりため息をついているのだろうか

このようにばかり戀つづけているのだろうか

赤く塗った小舟が欲しい。美しく皮を巻いた櫂も欲しい

朝の凪に櫂をかいて渡り、夕べの潮に舟を漕いで渡り

久方の天の川原に天を翔る領巾を半ば敷いて

真玉のような美しい手を交して、幾夜でも寝たいものだ

秋ではなくても。

 

山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)

万葉集巻八 一五二〇