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津起の百姿 月の四の緒

2017-07-18 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『月の四農緒』 蝉丸

明治二十四年印刷

四農(の)緒→四つの緒(よつのお)のことで

四弦であるところから琵琶の別名をいう

 

蝉丸(せみまる)は平安時代前期の伝説的歌人。

生没年不詳

盲目で琵琶に長じ、逢坂(おうさか)山に住んで

源博雅(みなもとのひろまさ)に秘曲を授けたという。

 

国立国会図書館デジタルコレクション 097

 

描かれている月からすると

源博雅(みなもとのひろまさ)が琵琶の秘曲を伝授されたという

「今昔物語集」の8月15日の場面であろうと思われるが

博雅は6/27記事「朱雀門の月」で紹介しているので

ここでは 能「蝉丸」より転載します。

 

延喜帝(醍醐天皇:885年〜930年)の御代

盲目の身と生まれた第四皇子蝉丸は

逢坂山(近江と山城の境)に捨てられることとなった。

供をする廷臣の清貫(きよつら)は蝉丸を出家させて

蓑、笠、杖を与えると名残をふりすて都に帰ってゆく。

蝉丸は前世の業障を現世で果させんとの父帝の慈悲と

琵琶を胸に涙のうちに伏し悲しむのでした。

その後、博雅の三位の世話で蝉丸はわら屋に住むこととなる。

その頃、皇女逆髪は狂乱のあまり京を彷徨い出て逢坂へとやって来た。

そこで逆髪は弟、蝉丸との思わぬ再会を喜ぶが

やがては別れゆくのが人間の運命。

旅立つ逆髪と留まる蝉丸は今生の別れを惜しむのであった。

 

尾田郷澄 妖怪絵巻より 逆髪 

 

『世の中は とにもかくにもありぬべし 宮もわら屋も果てしなければ』