月岡芳年 月百姿
『大物海上月』 弁慶
(だいもつかいじょうのつき べんけい)
明治十九年届
大物浦は摂津国淀川旧河口にあった船着き場
弁慶(べんけい)は平安末期・鎌倉時代初期の僧
武蔵坊と称し 源義経の家来として活躍した 。
生年不詳~文治五年閏四月三十日(1189年6月22日)
国立国会図書館デジタルコレクション 074
能楽『船弁慶』
兄の頼朝の討手から逃れる旅を続ける義経一行が
大物浦にたどり着いた。
静御前との別れを惜しみ出発をためらう義経に
弁慶は強引に船出を命じます。
船が海上に出るや否や、突如暴風に見舞われ
船はいっこうに進まなくなり
壇ノ浦で滅亡した平家一門の亡霊が姿を現しました。
中でも、平知盛(たいらのとももり)の怨霊は
なぎなたを小脇に抱え凄まじい形相で
義経一行に向かって襲いかかってきます。
が、 そのとき義経少しも騒がず 大刀を抜いて立ち向かい
弁慶も数珠をもみ必死に五大尊明王に祈祷します。
その祈りが通じたのか、明け方に怨霊は彼方の沖に消え
白波ばかりが残りました。
『大物之浦ニ霊平知盛海上二出現之図』
大蘇芳年 新形三十六怪撰