月岡芳年 月百姿
『玉兎』 孫悟空
明治二十二年印刷
玉兎は伝説中の月に住む白いウサギ(嫦娥の家来)。
孫悟空は中国明代の物語 『西遊記』の主人公です。
神通力をもつ猿で、天界を騒がせた罪で五行山に閉じ込められていましたが
三蔵法師に助けられて法師の従者となり
猪八戒、沙悟浄とともに仏典を求めて天竺(インド)へと旅をします。
国立国会図書館デジタルコレクション 041
三蔵法師たちの一行が天竺国の都にたどりついたとき
街は多くの人で賑わっていました。
国の王女が二十歳になったのでまりをほうり投げ、
あたった人を婿にするという
撞天婚(とうてんこん)の行事が行われていたのです
悟空たちが見物していると、王女が投げたまりは
なんと三蔵法師に当たり、三蔵法師が王女の婿に決定します。
しかし、王女にかすかな妖気がただよっているのに気付いた悟空は
王女がにせものであることを見破ります。
捕まえようとする孫悟空を払いのけ、にせの王女は杵を武器に戦いますが
悟空は如意棒を千本の棒に変えて応戦。追い詰められた王女は
山の中へと逃げ込み、そこで悟空は一撃のもとに殺そうとします。
そのとき天から、「待たれよ、その棒、打ちおろしてはならぬ」という声が。
見ると、そこには月の神、太陰星君(嫦娥)がいました。
にせの王女の正体は、月のうさぎ、『玉兎』だったのです。
一命をとりとめた玉兎は太陰星君に連れられて月に戻り
三蔵法師たちはまた旅を続けます。
引用元:那珂川町役場広報展示室