【今週の注目記事】巨額投じた韓国初のモノレール…トラブル続きで結局はくず鉄に

写真は、今年2月に開業し、仁川国際空港と付近の地域を結ぶ韓国初のリニアモーターカー(聯合=共同)。一方、リニアとは関係ないが、韓国初のモノレールとなる予定だった月尾銀河レールの車両は撤去されることが決まったという
77億円かけたが…
月尾銀河レールは、仁川広域市の仁川駅を起点として月尾島を一周する約6・1キロの路線で、アーバノート方式というY字型レールを採用している。2008年7月に着工され、2009年8月の開業を目標に工事が進んだが、「安全上の理由」から開業は延期。事業費約853億ウォン(約77億円)をかけて2010年6月にようやく完工し、試験運転が繰り返された。
しかし、試験運転中の列車が停車していたレール点検車両に追突したり、列車がバランスを崩して、軌道上の碍子(がいし)に接触。その衝撃で落下した碍子が歩行者に当たったりする事故などが起きた。また、本来は10日ほどかかる橋脚の工期を1日半に短縮するなど無理なスケジュールの設定や鉄製Y字型ガイドレールをアルミ製ガイドレールに施工を変更したのではないかという問題が発覚するなどトラブルが相次いだ。
展示もままならず…
結局、月尾銀河レールは正式に運行されることなく、車両10台の撤去が決定。撤去された車両は公園などに展示されることも検討されたが、管理費などの面から廃棄処分とすることになった。車両は鉄製部品はくず鉄として売却し、繊維強化プラスチック素材は廃棄物処理法に基づいて処分される。一方、今ある橋脚やレールなどの路線や4つの駅舎はそのまま維持し、小さな観光用モノレールとして再利用する予定で、2017年春の開業を目指しているという。
ちなみに韓国初のモノレールとしては、大邱広域市都市鉄道公社3号線が2015年4月から営業運転を行っている。この3号線の車両製造をはじめ基幹システム一式を請け負ったのは日立製作所を中心とした日立グループの現地法人、日立コリアだ。(8月28日掲載)
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