イギリスの消費者協会発行の機関誌「Which?」が、旅先として人気の世界20ヶ国の安全度を発表した。犯罪、健康、自然災害、テロの4つのカテゴリー別にランク付けされており、人気の旅先にも意外な危険があることが示されている。

◆殺人年間平均2件 最も安全なのはあの小国
 ランキングは、Which?の旅行部門が世界経済フォーラム、世界リスク報告書、英国民健康サービス、外務・英連邦省の統計資料から収集したデータをもとにしている。イギリスの調査なので、今回対象になった国は、イギリス人の間で人気の旅先と理解してよいだろう。

 

 

 犯罪面で最も安全と評価されたのはアイスランドだ。2000年以降殺人事件は36件しか起きておらず、年間にすれば平均2件という少なさだ。ちなみに英日刊タブロイド紙サンによれば、2017年のイギリスで起きた殺人は709件だった。アイスランドは人口30万人程度の小国だが、軍隊がないため戦争のリスクも低く、警官も日常は銃を持たず丸腰ということだ。アイスランドに続いて安全とされたのは、アラブ首相国連邦、シンガポール、スペインで、日本は7位だった。

 反対に最も危険とされたのは南アフリカだ。旅行情報サイト『The Travel』によれば、美しい海岸線が魅力だが、個人でガードマンを雇うことも珍しくないほど犯罪が蔓延している国ということだ。ワースト2位以下は、トルコ、タイ、インド、メキシコとなった。日本人にも人気のタイだが、タイ南部には一種の戒厳令のようなものが敷かれているところもあり、夜間の外出は危険すぎるとTheTravelは指摘している。

 

◆インバウンドに暗雲 日本の自然災害に注目
 健康面で安全とされたのは、主に欧州の国々とアラブ首長国連邦、日本、アメリカだった。安全そうに感じるシンガポールとオーストラリアは、デング熱の可能性でハイリスクとされた。さらにインド、南アフリカ、タイでは一部地域でマラリアの可能性があることから、下位に位置づけられている。

 自然災害の危険が最も低いとされたのはカリブ海の小国、バルバドスだった。2位以下はアイスランド、アラブ首長国連邦、シンガポール、フランスとなった。2位のアイスランドは活火山も多く地震も頻繁に観測されている国だが、人口が少ないせいなのか、旅行者にとっての自然災害の危険は少ないとされている。

 
 
 自然災害で最も危険とされたのは日本だった。地震や台風の被害が多いことが理由だ。今年は関西空港や新千歳空港が台風や地震の被害を受け、訪日観光客にも影響が出ただけに、今後も大きなマイナスポイントとなりそうだ。ワースト2位以下は、ベトナム、ギリシャ、インドが続いている。

◆テロはどこでも起きる これまで少なかった国も要注意
 最後にテロに関してだが、安全な国はないと結論付けられた。日本やアイスランドのような国でさえ、可能性は排除できないとされている。ただ、非常に可能性の高い国を上げるなら、オーストラリア、ヨルダン、フランス、アメリカ、インド、タイ、トルコだということだ。