テレワークの現状、課題、そして今後の展望とは!?
新型コロナウイルスの感染拡大、政府の緊急事態宣言でその重要性が一層増している「テレワーク」。実際に取り組んでいる企業やフリーランス、個人事業主など数は多いが、改めて「テレワークって何ですか?」と聞かれると、説明するのはなかなか難しい。ここではテレワークの定義や普及の現状、課題、そして今後の展望についてまとめていきます。
テレワークとは
テレワークは一般社団法人日本テレワーク協会の定義によると「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」を指します。働く場所によって、自宅利用型、施設利用型(サテライトオフィスなど)、さらに携帯用のパソコンやタブレット、スマホなどを使った喫茶店、電車など場所を問わない「モバイルワーク」の3つに分けられますが、不要不急の外出自粛が東阪の7都府県を中心に全国的に要請されている今、圧倒的に多いのは自宅利用型、いわゆる在宅勤務です。
出典 : 総務省・テレワークの推進 サイト
テレワークのメリット
在宅勤務では企業の専用端末を自宅に持って帰ったり、自宅のパソコンから企業のコンピューターにアクセスしたりして、会社にいるのと同様に端末やパソコンを使って仕事をします。通勤の時間が節約でき、疲れも少ない。上司や同僚との連絡は電話やメール、最近はチャットや音声通信、会議の機能をまとめて使えるコミュニケーションツールの普及により、利便性も増しています。
テレワークの現状
総務省によると、企業のテレワーク導入率は2018年に19.1%に達しおよそ5社に1社はテレワークに取り組んでいます。19年はさらに高まり、20年は今回のコロナ感染対策で導入社数だけでなく、導入済み企業でも対象となる部門が広がり、実施する社員が急増しているのは確実とみられています。
総務省は①社会における労働力人口の確保、地域外通勤者が地域内にとどまり買い物したり各種イベントに参加したりすることによる地域活性化、通勤や社内勤務がなくなることによる環境負荷の削減②企業における生産性の向上や優秀な人材の確保・離職防止、ペーパーレスなどによるコスト削減、事業継続計画(BCP)の推進③就業者における多様で柔軟な働き方改革、仕事と育児・介護の両立――などメリットを強調しています。全国一斉のテレワーク実施を企業などに呼びかける「テレワーク・デイ」では2019年7-9月の約6週間で全国2887団体、約68万人の参加を得ています。
テレワークの今後
今後はテレワークのデメリットと言われる①社員同士のコミュニケーション不足②正確な勤怠管理と適正な人事評価③テレワーク端末のセキュリティ管理――などが課題となります。実際に会って話をしなければ真意やニュアンスは伝わらないことも多いです。人事評価はプロセスと成果のバランスが重要となります。
セキュリティは社内PCを単純に外で利用するのではなく、情報漏洩等十分対策を施す必要があります。さらにテレワークを阻害する大きな要因に「紙」の存在があり、これらをいかに電子化するかも大きな課題です。
ただ、取り組むべき課題はいくつかあるものの、知恵を結集して創意工夫を続ければ乗り越えられます。特に今回のコロナ対策では、これまでテレワークの対象になっていなかった業務をテレワークしてみて意外とできると多くの人が気付いているのではないでしょうか。
感染拡大を食い止める手段として要請されているテレワークは、業務の抜本的な見直しと働き方改革を強力に進める起爆剤になる可能性が高まっています。