ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ボリショイ ロンドン公演 8月8日 スパルタカス

2007年08月13日 | Weblog

特派員Mさんからの8月8日のスパルタクスの寄稿です。

Mさん連日の寄稿ありがとうございます。

ボリショイ ロンドン公演(at London Coliseum 8 Aug 2007 

Spartacus」グリゴローヴィッチ版

スパルタカス:カルロス・アコスタ(英ロイヤル・プリンシパル)

クラッスス:アレクサンダー・ヴォルチコフ

フリージア:アンナ・アントニーチェワ

アエギーナ:エカテリーナ・シプリナ

この日も立ち見が出る満席。

確かに、今回を逃せばアコスタのスパルタカスは次回いつイギリスで見れるか解らない・・・

6日とほぼ同じキャストだが、アラシュに代わってシプリナ。

2人のダンサーを比べるのはフェアーではないが、昨日のマトヴィエンコの強烈な印象を受けてしまってなければ、この日のアコスタは非の打ち所がない。

アコスタが初日2回とも出来なかった一本リフト(フリージアが体側床と平行)も、この日は一度目の後半のみ片手を離すことができた。2度目は両手でのリフトに徹していた。

ダイナミックに飛んでも着地の音すらしない、非常にコントロールの利くダンサーで、テクニック的にはどこで静止画撮影しても美しいほど、彼は優れたダンサー。ただ、マトヴィエンコのような「本能」で踊ったスパルタカスではなく、まだまだ「理性」で踊っている。

シプリナはお似合いの役柄だが、アレクサンドローワと比べると表現力に乏しく、観客と全くアイ・コンタクトをとらない。要所要所で笑顔で観客の方へアピールするアレクサンドローワとは違って、どちらかと言うと伏せ目加減。華のあるダンサーなので、もう少し枝葉を付けると観客を楽しませる事が出来ると思うが、まだまだこれから育つダンサーであろう。芯の安定し、かつ、しなやかな踊りは美しかった。

ボルチコフは初日より歯切れがよかったし音からずれることもなかったが、まだ「熱さ」には欠けていると思った。技をきっちりこなそうとしすぎていて、回転の前やジャンプの前に一瞬「準備時間」が見えてしまう。まだまだ考え込んで踊っている。

この日も羊飼いにはワシリエフ君は出なかった。キャスト表でもロパーティンになっていた。ワシリエフ君は明日のドンキに備えているのであろう。

グリゴローヴィッチのスペクタクルな世界を満喫。音楽もダンスのスケールも、他のバレエ団には真似が出来ない迫力である。



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