ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ボリショイ ロンドン公演 8月4日 ソアレ バヤデール

2007年08月13日 | Weblog

順番が前後しましたが8月4日のバヤデールのM特派員よりの寄稿頂いた記事です。

ボリショイ ロンドン公演(at London Coliseum

4 Aug 2007 夜公演

La Bayadere」グリゴローヴィッチ版

ニキヤ:マリア・アラシュ

ソロル:ニコライ・ティスカリーゼ

ガムザッティ: マリア・アレクサンドローワ

ゴールデン・アイドル(金の仏像): イワン・ワシリーエフ

マグダヴェーヤ(苦行僧): ヤン・ゴドフスキー

ティスカリーゼのロンドン公演最後の日とあって(今回は3公演のみで帰国)、彼のファンが多く寄せかけていた。また、彼自身も熱の入った踊りを見せてくれた。

アラシュは顔の表情が全く変わらない。また、努力してでも口元を閉めてもらいたいが、最初のベールが取られる場面から歯が見えてしまい、興ざめ・・・ 終始大きく見開いた目で踊っていた。悲しみや喜びが全く伝わらない。3幕目ではヴェールを持ちながらの踊りでバランスが崩れ、別のどよめきが劇場内で起こったり、踊りもプリンシパルに期待できるものではなかった。昇級したのでもう少し成長したかと思ったが、残念であった。

アレクサンドローワはこの日も内側から湧き出る輝かしいオーラとダイナミックなダンスでファンを楽しませてくれた。自分の見せ方がよくわかっている。

バヤデールの初日に2幕目で必要以上ににこやかだったティスカリーゼは、この日はかなりシリアスで、男らしい戦士に見えた。

舞台の関係で、2幕目にソロルやガムザッティの座る場所が、ほぼ真横を向いており、中でどのような演技がかわされているのか客席からほとんど見えないのが今回のロンドン公演では残念だったが、ティスカリーゼは途中から手前に出てきてくれる。無地の黒い幕に抱きつかんばかりに体を持たせかけて悔恨の情を表現したり、元々オーラがあるので脇で演技されるとニキヤの籠の踊りからついつい視線を奪われてしまう。

仏像のワシリエフ君は、今回はまた最後の駆け抜けて行くジャンプで勢い付き過ぎて幕に激突しそうになった。「海賊」の時も何度もヒヤヒヤさせられたが、またしても・・・ スピードがあっても、自分をコントロールできなければ意味がないので、もう少し練習を積んで欲しい・・・残念!そのうち本番で大きなケガをするのでは?と心配でならない。

ティスカリーゼは、綿密な計算の上か、本能でか、ソロの踊りでもスペースのとり方が上手い。小さな劇場だけに、工夫している。他のソロル役が向かって左手前で窮屈そうにポーズを決めるのに、彼はこの日2回ともポーズを手前中央で取った。その間曲があまらないように回転やジャンプを入れながら。本当に見る人を楽しませてくれる。

昼の部で急遽降板したので不安だったが、夜の部ではオシポワもヴァリエーションに予定通り登場。32人の幻想的な影の王国のダンスは今回も完璧に仕上がり、ため息が出るほど美しかった。

一週目が無事に終わったボリショイのロンドン公演。



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