ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ミラノ・スカラ座「眠れる森の美女」ヌレエフ版-2-

2007年08月03日 | Weblog

間があいてしまいましたが現在ロンドン出張取材中の特派員Mさんからの寄稿の後半部分です。パンフ素敵ですね。なお青い鳥のアントニオ・ステラは前の記事の写真でサラファーノフの右隣の小柄なダンサーとのこと。

しかし、ソリストやコールドは期待のレベルを下回っており、少し残念・・・妖精たちも、それぞれの個性を生かせず、全体で踊る時は良かったが、ソロになるとどこか自信なさげな空気が伝わってきた。

イギリスを本拠地にしているのでファンも多いタマラはローズ・アダージョでは両日共に安定した踊りを見せたが、やや力が入りすぎているのが見えたので、観ている方もちゃんと最後までこなせるのかと不安になった。 音楽性があり、表現力もあるが、オーロラにしては表情が硬く、サラファーノフと並ぶと年齢がかなりいっているかのように見えたのが残念。 タマラは26日のほうが28日に比べると両手を離してのバランスを長くとったり、3幕目のソロも調子が良かったように思える。

サラファーノフは、2幕目の長いソロのアダージョで、踊りと表現力ともに完璧にこなして大きな拍手とブラボーの嵐。細くピンと伸びた爪先と、しなやかな体、身の軽さが印象的だった。いかなるジャンプも着地の瞬間に引力が一瞬なくなるかのような軽さで静かに地に付くのが、観ていて心地よかった。タマラとのパートナリングも完璧で、ぐらついたりぎこちなくなることが無かった。

青い鳥で両日とも踊ったアントニオ・ステラが唯一スカラ座のソリストでは印象に残った。小柄なダンサーだが、ジャンプや羽ばたきの動きが滑らかだった。大きな拍手をもらっていたのも、スカラ座の中では彼のみであった。

幕前のカーテン・コールが両日ともに無かったのは残念だったが、公演時間が長かったからか、それともバレエに目の肥えているイギリスの観客には満足しきれないものであったのか・・・ 

私個人としては、スカラ座にもう少し期待していたが、豪華なセットや衣装とサラファーノフのアダージョしか今回の公演の印象に残らなかった。主役がスカラ座のダンサーだった日が観れていれば、もう少し別の比較が出来たかもしれない。



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9 コメント

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はじめまして (まい)
2007-08-03 11:52:47
去年のボリショイロンドン公演のころから、楽しく拝見させて頂いております。コメントを書きこんだことなど生まれて初めてで、緊張しております。毎日のようにロンドンでバレエを見ていますが、表現力がないので、お話に参加することもありませんでした。が、大好きなタマラのお話でしたので、突然すみません。タマラは28日はInjuryで出演しませんでした。代役はSophie Sarroteでした。フィシュダイブが見たことも無いお粗末なものだったのでがっかりしました。レオニードが両手でウエストを支えながらオーロラSarroteがゆっくり頭下げてポーズ、を3回。驚愕・・・。Sarroteは最終日にもオーロラを踊りましたがフィシュダイブを普通にやっていました。楽団はRoyal Ballet Sinfoniaで、いつもロイヤルで演奏している人達ではありません。5月のSwanの時は、いつもと編成が違って、RBSの方々もピットに入っておられました。バーミンガム ロイヤル バレエの公演やキューバ ナショナル バレエのロンドン公演でも演奏しています。黒いシャツがユニフォームです。ロイヤルのオーケストラは白シャツ黒蝶ネクタイです。
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割り込み失礼します (Nana)
2007-08-04 01:47:08
>毎日のようにロンドンで公演を見ている
という方からのコメントが入っていてビックリです。
素晴らしい~うらやましい~!!
管理人様がこのブログを続けた甲斐があったというものですね。

まい様、はじめまして。
ご存知の通り、タマラ・ロホ、ロイヤルバレエ団は日本でも人気ですので、日参できる、まい様の貴重なコメントを有難く楽しみに読まれる方も多々あると思います。
これだけ精緻に舞台を説明するコメント書くのは手間だと思うのですが、またお気持ちが向かれたら、是非コメントいただければ、楽しく読ませていただきます。特にファンでいらっしゃるタマラ・ロホ関係や日本であまり上演されないロイヤルでの人気演目のお話などいただけたら嬉しく思います。

管理人様。割り込みですみません。
管理人様としては「寄稿」があれば一番よいのでしょうが。

さて、その代役さんとサラファーノフのフィッシュダイブですが。
もしかして「お粗末」の日は、急な代役で合わせる暇がなく、そうなって、次のステージまでに練習してできるようになった、とか??(単なる憶測です)
主役の二人、連日来るお客様がいたから、「お粗末」から立ち直った所まで見てもらえてよかったですね。
連日行くと変化や進歩が見られて面白いのですが、やはりお金と暇と体力の関係でなかなか難しいので、連日行く人の感想は、どんな批評より舞台好きに役に立つと思う時はあります。

ロイヤル・バレエファンの方が、どなたかコメントくださるといいのですが。(私は日本の劇場で、そういう方と時々出会います。友人にもいるけどネットは見ない)

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ども (管理人)
2007-08-04 23:39:14
まいさん
初めまして。London在住でいらっしゃるのですね。コメントありがとうございます。28日はタマラではなかったのですね。寄稿頂いたMさんもその場では記憶されていたのでしょうが多分色々見られている内に感想のメモが混乱されたのでしょう。失礼しました。

Nanaさん
コメント深謝。
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説明不足ですみません。 (まい)
2007-08-06 10:59:52
Nana様、管理人様、説明不足ですみません。補足させて頂きます。夏休みの旅行をしていた為、スカラは、6公演のうち、後半3公演しか見ていません。

■Saturday 28 July  2.00pm 
Princess Aurora:Sabrina Brazzo→Tamara Rojo(7月10日に変更発表)→Sophi Sarrote(当日変更発表)
Prince Florimund: Leonid Sarafanov
■Saturday 28 July  7.00pm 
Princess Aurora: Marta Romagna
Prince Florimund: Guillaume Cote
■Sunday 29 July   3.00pm 
Princess Aurora:Gilda Gelati→Sophi Sarrote(7月10日に変更発表)
Prince Florimund: Massimo Garon
の3公演です。

チケットを購入したのが、4月でしたので、まさかタマラが出演するとは思いもよりませんでした。

すべてのペアを見られるように3公演買ったのですが、結果的にタマラだけキャンセルで見られなくなりガッカリでした。

タマラのオーロラは、去年ロイヤルでCarlos(Acosta)王子とFederico(Bonelli)王子で4回か5回見ているのですが、ヌレエフ版でレオ二ードとどう踊るのか見たかったです。

同じロイヤルでもダンサーによって振付が所々違いますが、タマラだけものすごく?(やっぱり表現が下手です私)違うのです。


>主役の二人、連日来るお客様がいたから、
>「お粗末」から立ち直った所まで見てもらえてよか>ったですね。

翌日の最終公演は相方がレオニードではなかったので、立ち直った2人の姿は見られませんでした。

30日のボリショイ初日終わった後、会場の前に立っているレオニードは見ました。

特派員M様のご報告にあったセルゲイのお姿を拝見できなかったのは痛恨のミスでした。すぐ側に座っていらしたかも知れないのに・・・

2日目には、世界で1番好きなバレリーナ、お怪我でお休み中のAlina(Cojocaru)のお姿が。かわいい。

タマラはバヤデールの初日にストールズの私のずっと左の方で見ていました。
来期ロイヤルは10月6日、にタマラ&カルロスのバヤデールで開幕です。

毎日、有名人わんさかオンパレード状態で興奮中です。


話がだいぶそれてしまいました。もどします。

私は、Nana様の仰るとおり、急造ペアで合わせる時間が少なかったのだと思いますが、一緒に行った者は、キーロフでは以前フィッシュダイブがなかったので、(今のキーロフの「眠り」は知らないそうです。)レオニードが悪いのでは?などと言っておりました。
レオニードの名誉のためにどなたか教えてくださるとうれしいです。
タマラがダイブしないのは考えられないので26日はやったのでしょうね。

Sophi Sarroteは28日、フィッシュダイブのローズアダージョの時、ものすごく顔がこわばり、超ゆっくりな演奏にもかかわらず、プリンス3人分で音楽が終わってしまい、オケが演奏を引き伸ばしていました。
29日はそんな事も無く(顔はこわばっていましたし、スローな演奏でしたが)、フィッシュダイブもして、やはりスカラペアだと大分違うみたいですね。

30日からは毎日、こちらのブログに出会うきっかけになったボリショイ ロンドン公演に行っています。

それなのに、昨日風邪をひいてしまいピンチです。
土曜日のマチネの後、ネッリちゃんに、ソアレの後、マーシャに偶然会えて、お話して喜んでいたのに、
いい事ばかり続かず、神様あんまりです。助けて!!!



 
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間違えてしまいました。 (まい)
2007-08-06 11:05:26
「Sophi Sarroteは28日、フィッシュダイブのローズアダージョの時、ものすごく顔がこわばり、超ゆっくりな演奏にもかかわらず、プリンス3人分で音楽が終わってしまい、オケが演奏を引き伸ばしていました。」
の「フィッシュダイブの」を削除して下さい。
すみません。
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まい さま (Unknown)
2007-08-06 18:18:18
まい さま、

初めまして。レポートを提供したMです。
間違えのご指摘と追加情報に心より感謝いたします!

タマラは28日当日のキャスト表にも名前がそのまま挙がっていたので、ロイヤルのダンサーを良く知らない私はてっきりその日もタマラが踊ったと思っていました~。大変失礼致しました。当日は貼紙かアナウンスでキャスト変更が伝えられていたのかも知れませんね・・・それすら気がつきませんでした。
あいにく26日はオペラグラスを忘れ、28日はしっかりと観れたものの、「タマラはメイクするとこんなお顔なのね~」ぐらいしか思わず、それにしても両手を離してのバランスもなかったし、28日の方が調子が悪いのかな?と思ったぐらいでした。

オケの情報も勉強になりました。

と、こんな無知な私でもレポートを挙げておりますので、まい様も是非是非今後もレポや書き込みをなさって下さいませ。管理人様はしばらくバレエをご覧になれないので、私に出来る事なら・・・とレポを提供しておりますが、本当に間違えや主観だらけだと思いますので、今後もご指摘宜しくお願い致します!ボリショイの公演もご覧になっておられるのでしょうね。またご縁がありましたら劇場内でもお会いするかもしれませんが、宜しくお願い致します。

追伸:管理人様、この場をお借りしてまい様にメッセージを書き込ませていただきました。
また、私のミスへのフォローなど、気配りに感謝いたします。特派員失格ぎみですが・・・今後とも宜しくお願い致します!
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いろいろありがとうございます (管理人)
2007-08-07 02:00:35
まいさん
詳細に解説ありがとうございました。風邪とのこと是非復帰されボリショイのロンドン公演をごらんになれますように。

Mさん
連日寄稿まことにありがとうございます。当方も普段見慣れないバレエ団のダンサーは舞台で見分けるのは大変でした。遠くからは顔も良く判りませんからね。今度共寄稿頼みます。
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なるほど (Nana)
2007-08-07 03:20:51
管理人様、割り込み2乗で失礼します。

まい様。
ネッリ・コバヒゼ、マーシャ・アレクサンドロワとお話できたのですか?(お話はマーシャだけかしら)いいですね。
でも、お風邪が早く直りますように。

しかし、28日代役、壮絶なローズアダージョでしたね・・・。(フィッシュダイブでなく、ローズのシーンだったのですね。)

>タマラのオーロラ・・・ヌレエフ版でレオニードとどう踊るのか見たかった

なるほど。通ですね。

一方、まい様のご友人の言葉(レオニードの能力の問題)、「そうかもしれない??」とも思いますが。

自分、キーロフの昔の眠りも、ヌレエフ版の眠りも、ビデオなら持ってるのですが、確認する元気がなく。

フィッシュダイブ?キーロフのセルゲイエフ版はあったような気がするけど、(ザクリンスキーはやってたような。うろ覚え)その後一時期、大昔の版を復刻した版があって、それはあったかどうかわかりません。
あと、ダンサーによってはできないパを抜いたりもするし。ルジマトフはリフト系が印象薄い。ゼレンスキーは故障持ちでリフト系抜くことはあるのかも。(キーロフ詳しくないので間違ってたらごめんなさい)

サラファーノフは以前はキエフバレエの人でキーロフに移籍したけど、キエフ時代にリフトが少し弱い?と思った時はあったけど、素人目ですから自信なし。

ボリショイ、ロンドン公演でも面白いことがあったら、コメントくだされば幸いです。
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ども (管理人)
2007-08-08 09:50:16
NANAさん
いろいろ専門的なコメントありがとうございます。是非まいさんよりボリショイ公演のコメントもいただければ幸い。
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