Nさんから今年最後の寄稿を頂きました。
写真は劇場ホワイエで販売していた
クリスマス限定のくるみとチョコレートのケーキとのこと。
Nさん今年もたくさんの寄稿を頂き誠にありがとうございました。
Nさんはじめ皆様新しい年が幸せ一杯の一年でありますように。
新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』12月23日(金)
金平糖の精:川村真樹
王子:芳賀望
雪の女王:堀口純
クララ:井倉真未
ドロッセルマイヤー:森田健太郎
シュタルバウム:逸見智彦
シュタルバウム夫人:楠元郁子
フリッツ:高橋一輝
ハレーキン:奥村康祐
コロンビーヌ:高橋有里
トロル:八幡顕光
ねずみの王様:厚地康雄
くるみ割り人形:八幡顕光
スペイン:西川貴子 マイレン・トレウバエフ
アラビア:寺田亜沙子 輪島拓也
中国:長田佳世 吉本泰久
トレパック:八幡顕光 福田圭吾 奥村康祐
葦の精:寺島まゆみ 米沢 唯 細田千晶
花のワルツ:堀口 純 丸尾孝子 川口 藍 小村美沙
菅野英男 古川和則 貝川鐵夫 江本 拓
川村さんの金平糖は、
慈愛に満ち溢れた優しい女王であった。
たおやかな雰囲気が会場全体を包み込み、
観ているこちらまでが穏やかな気持ちになる。
心を込めて奏でているかのような
繊細で抑制の効いた丁寧な踊りもまた目に快かった。
芳賀さんは端正で落ち着きのある踊りであった。
グラン・パ・ド・ドゥ最後で
前回ではぐらついてしまったリフトも
着実に決まり、嬉しく思った次第である。
また、クララとの出会いでは、
クララ役の井倉さんと爽やかな愛情が通い合っていた。
井倉さんのクララはとにかく元気一杯、
観ているだけで心浮き立つ快活さがあり、
栄養ドリンクのコマーシャルに登場しそうなほど
晴れやかであった。
兵隊とねずみ達の戦争の場面で
時折椅子の上に乗ってクッションで応戦するところがあるが、
クッションを盾にする姿が機動隊員の如き力強く、
兵隊顔負けの頼もしさもあった。
混じっても違和感が無さそうである。
終始伸びやかに楽しそうに踊り、また華もあり、
舞台を盛り立てていた。
まだアーティストの階級だが、
先シーズン開幕公演ではペンギン・カフェの主役ペンギンを任されたり
ラ・バヤデールではジャンペの踊りの2名のソリストに抜擢されるなど
あらゆる主要な役柄を踊りこなしている。
今後の活躍が楽しみなダンサーの1人である。
雪の女王の堀口さんは
きらきらとした雰囲気と優しさを持ち合わせた
美しい女王であった。
穏やかな笑顔が光り、
細身の身体を音楽一杯に使って踊っていて
女王らしい堂々たる姿であった。
スペインの西川さんは
湯川さんと同様、様々な作品でスペインを担当しているが、
軽やかで晴れ晴れとした踊りに改めて魅せられた。
おとぎの国の踊りの披露の幕開けに相応しい
明るさがあり、適役で踊り込んでいることを窺わせた。
アラビアの寺田さんは、
元々の華やかな顔立ちに更に黒いアイメイクを施し、
妖艶なクレオパトラそのものであった。
長い四肢が映える色っぽさのある踊りも良かった。
それからコール・ドの美しさも忘れてはならない。
雪の精達の軽やかで締まりのある一糸乱れぬ踊りに
今回も大きな拍手を送りたいと思う。
上階から見ると、フォーメーションの変化の過程においても
統制が崩れず、見事というほか無い。
この日はクララと王子の出会いの前の場面で
下手前方に衣装らしき小物が落下し、
雪の場面まで置き去りにされてしまうというハプニングがあった。
冷や冷やしているうちに雪の精達が登場し始め
手に汗握りながら見守っていたのだが、
フォーメーションを変える移動の際
振付に溶け込ませつつ、舞台袖に向かって
左足バックシュートを決めてくださったダンサーがいて
その瞬間客席は安堵に包まれた。
(細田千晶さんだったそうである)
細田さんの瞬時の判断を称えたい。
終演後はねずみの王様も観客を見送る場所にいた。
前回初演時はあまりにグロテスクな衣装だからという理由らしく
見送りは子供ねずみだけであったが、
中に入っているダンサーの人柄が滲み出ているのだろう。
子供達の頭を優しく撫でてあげたり
誰とでも気さくに握手や写真撮影に応じ、
1人1人に丁寧にお辞儀や手を振るなどとても紳士らしい王様であった。
この演目ならではの嬉しいサービスである。
2011年は国内外問わず、
自然界も政界も、経済界も大きな事故や事件、変化が続いた。
特に3月の東日本大震災の被害は甚大で、
今も尚苦しみ続けている人々が大勢いることを忘れてはならない。
3月4月は東京近郊においても多くの公演が中止になり
寂しい思いでいたが、被災者のことを思うと心境は複雑であった。
12月末はくるみ割り人形という明るく親しみのあるバレエが予定通り上演され
ゲスト無しでも休日は満員になり劇場の盛況を心から喜んだ。
芸術の力の大きさを感じた次第である。
来年の新国立劇場バレエ団は、
ローラン・プティの『こうもり』で始まる。
洒脱で洗練されたプティの人気作品の1つである。
最後に全幕上演されたのは2006年で、久々の再演だ。
プティが描くお洒落な世界を堪能したい。
そして、Nさんの情感溢れる、それでいて、抑制のきいたいつもながらの素晴らしい描写と解説で、
目の前に様々なバレエ・シーンが浮かんできました。
Nさん、感謝です。
研修所時代から楽しみにしていました細田さんが、
ようやく花開いてきたようで嬉しいですし。
今回は、機転の効いた素晴らしいシュートを放つなど、
是非観たかったものよと、地団太を踏んでおります。
舞台は生きもの、とは言いますが、色々な事があるのですね。
さて、激動の一年、日本のみならず、私にとっても多難な日々でした。
ま、幸いにもその中で、いくつかの光が射してきました。
来年は、私のみならず、日本にとっても再生の年となりますよう、祈るのみです!!
管理人様、Nさん、皆様、良い年を!!
このたびもありがとうございます。
新年早々嬉しくなり、
こちらこそ深く感謝いたします。
コメントを拝読するたびに
元気をいただいております。
細田さんは今回特に大活躍でした。
葦笛を全日踊りこなすのは
ソリスト以上の方でも難しいはずですし、
舞台の進行を助けた23日の雪の場面は
最後カーテンコールで紹介されるに
値すると思いました。
2011年はaruyaranaiyara様にとっても
試練の年だったとのことですが、
昨年差し込んできた光が今年益々輝けるよう
祈っております。
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
何時もコメントありがとうございます。
今年も宜しくお願いします。
Nさん
早速返事頂きありがとうございます。
今年も宜しくお願いします。