M特派員からの寄稿です。写真はこの日の主役ボリショイの若手のホープオシポワとBFのUspenski(Royal Balletのダンサー)のTwo Shot.
ボリショイ ロンドン公演(at London Coliseum)
9 Aug 2007
「Don Quihote」アレクセイ・ファジェーチェフ改訂版
キトリ:ナタリア・オシポワ
バジル:イワン・ワシリーエフ
ストリート・ダンサー:アナスターシア・ヤッツェンコ
エスパーダ:アルチョム・シュピレフスキー
待ちに待ったオシポワ&ワシリーエフのドンキ!
ワシリーエフ君はロンドンでこの役のデビュー。オシポワは昨年夏オペラハウスでマトヴィエンコと一公演踊って旋風を巻き起こし、以来UKメディアに華々しく取り上げられている。私もその公演を見たが、あまりにも感動したのでその良い想い出で夏を終えようと、翌日のザハロアのドンキのチケットを友人に譲ってしまったほどであった(管理人様、ごめんなさい!)。
二人がペアーを組んでからもう一年ほどになると思うのだが、若い二人がここまで見せてくれるとは!元気一杯の力任せの踊りではなく、表現も豊かであるし、2人のコミュニケーションもよく取れているし、一つ一つの技、サポート、どれをとっても秀でている。完成度が非常に高い。気にしていたワシリーエフ君の身長の低さも、舞台では全く気にならず、オシポワに負けない存在感と、素顔からは想像できなかった大人の表情。演技力もここまであるとは予想もしなかった。オシポワはテクニックは去年の時点で完成していたが、今年は表現力や演技がさらに充実していた。また、ワシリーエフ君とは本当に楽しそうに踊る。
オシポワは一幕で、今回はカスタネットは使わずに踊っていた。
長~く音をとって引き伸ばした一本リフトも、2回ともキマる。
ソロのパートでは、まるでゴム鞠のように弾ける彼女と、コールドの頭の高さほど飛ぶワシリーエフに、観客は何度もどよめく。これほどのバレエは観たことがない。二人とも自身の体をいかなるポーズでもコントロールできる、優れた身体能力。かつ、一つ一つのムーブメントが決して雑にはならないし、音楽も非常に良く理解している。
どちらも対等に素晴らしかった。
今回のロンドン公演では先週の小さな役でポーズが決められなかったワシリーエフだが、この日はどのポーズも、技も、定位置でキメる。他のダンサーでは見たことの無いような開脚ジャンプや、体を並外れて大きく傾けて脚を打つジャンプ。また、様々に形やペースを変えながらのピルエット。これでもかというほど持ち味を見せてくれた。また、彼はその大きな目とチャーミングな顔立ちからファンを魅了する。メイクはやや大人びた感じで、髪の毛もかなりまとめて固めていた。
オシポワのグラン・フェッテは最初「ダブル&トリプル」交互! 後半の音楽からは「シングル&シングル&トリプル」! 本来ならバレリーナを懸念して最後の方息を呑むが、彼女の場合は「あれ?もう音楽が終わった?」というぐらいあっさりと終わってしまった。ポーズも一度でキメる。
観ていて気持ちが良かったのは、主役の二人が技の競い合いというライバル状態には決してならない事。二人ともお互いを尊重して立てているのが見えた。
2人とも観客とのアイ・コンタクトも良く出来、アピールする表情も非常に可愛い!
ソリストでは、ストリート・ダンサーのヤッツェンコがチャーミングに元気に踊ってくれ、ジプシーの舞いは超ベテランのユリアナ・マルハシャンツがその貫禄を見せた。彼女はカーテンコールでも哀愁のジプシーを演じ切っていた。中だるみしそうな2幕目を引き締めてくれた。キューピッド役のカプツォワも個人的には好きで、愛らしい踊りを見せてくれた。
エスパーダのシュピレフスキーは、去年より上達したとは思うが、まだまだ布を振り回すというよりも布に振り回されている。スパニッシュの熱さが全く身についていない・・・元々容姿に恵まれているのに、演技や踊りが付いていかないのは残念である。もう少し役作りを研究してもらいたい。
この日はいつになくカーテンコールもも長かった。オシポワもワシリーエフも、ロンドンのバレエ・ファンやメディアの期待以上のものを発揮してくれた。人間離れしたダイナミックなエンターティメントを繰り広げた若者2人に感謝。どこで揚げ足を取ろうかと待ち構えていた批評家達も、何の文句も付けられない出来栄え。
2人はとても嬉しそうで、観客にも感謝しているしぐさを何度も見せてくれた。
楽屋口でファンへのサービスを終えてから、少しはなれたところでワシリーエフや友人のいる所へ、オシポワと彼女のBFが合流する場面に出くわしたが、ワシリーエフにオシポワが飛びついて、皆でこの日の出来栄えを喜んでいた。何とも、見ていて可愛く感動した光景。
ワシーリエフ君はお怪我でお休みだったのですが、
彼女の舞台は本当に感激しました。
自分を全部出して踊ってくれている感じが
こちらに伝わってきて、涙が出そうな程。
元気をもらうとともに、若いってよいなぁ、
と思いました。
3月末にワーニャ君のドンキを見たときも
やはり若い、思い切りの良さに感激したものです。
もちろんベテランの完成された踊りも大好きですが、
こういう思いっきりの良い二人が主役をやる際は
絶対に見逃せないな、と。
今日のお昼も、オシポワ&ワシリーエフ素晴らしかったです!
夜のザハロワ、私の中ではちょっとかすんじゃいました。
これでドンキは終わり・・・淋しいです。。
Yummyさん
コメントありがとうございます。
オシポワのドンキは是非みたいものです。
ボリショイで見損ねています。
ザハロワも16歳で踊って拍手喝采だったとのDVDのコメントがありましたが若々しいキトリも良いですよね。