同じ出だしで違うジャンルを書けるのか?
という実験。
『彼が紡ぐ音の色』
【GS3 ver.】
彼が紡ぐ音の色が変わってきた気がする。
どう変わったかは、うまく言えないが。
「その曲、はじめて聞くな。なんていう曲だい?」
ある日の放課後、珍しく音楽室で設楽のピアノを聞いていた紺野が言った。設楽は聞こえていないのか、軽く目を閉じたまま鍵盤に指を滑らせている。
紺野は彼が弾き終わるまで待つことにした。
設楽が弾き終わると、紺野は軽く拍手をした。
「誰の曲だい?」
紺野が訊く。設楽は肩をすくめた。
「さあな」
「え、知らないのか?」
「知らない。あいつがときどき歌ってるから弾いてみただけだ」
「あいつ……ああ、彼女か」
一つ下の少女の顔を思い浮かべて、紺野は頷いた。そうだ、彼女に会ってから、設楽の奏でる音色が変わってきたんだ。紺野は音楽に造詣が深い方ではないが、そのくらいはわかった。
設楽がまたメロディーを弾く。
「良い曲だね」
「ああ。……あいつにぴったりだな」
「うん」
左手がすっと伸びて伴奏がつく。
「その伴奏は?」
「適当」
「適当?」
「ああ。さっきと違うだろ?」
そう言われても紺野にはどこが違うのかよくわからなかった。しかし設楽はそんな様子を気にも止めずに弾き続ける。
しばらくピアノの音が響いていた。
【Les Miserables ver.】
彼が紡ぐ音の色が変わってきた気がする。
どう変わったかは、うまく言えないが。
「その曲、はじめて聞くな。なんていう曲だい?」
プルヴェールが吹き終わるのを待ってコンブフェールは声をかけた。プルヴェールはフルートを置いて静かに微笑んだ。
「名前は、まだない」
「まだ?」
「うん」
そこでコンブフェールは気がついた。
「君が作った曲なのか」
「うん、まあね」
「……悪くないね」
「ありがとう」
「楽譜には起こしたのかい?」
「ううん」
「残さなくていいのか?」
「残すほどの曲でもないよ」
「そうかな」
「そうだよ」
プルヴェールが再びフルートを取って吹き始めた。その音を聞きながら、やっぱり以前と音が変わった気がするな、とコンブフェールは思う。そういえば、彼が書く詩も少し変わった気がする。何かあったのだろうか?
「プルヴェール」
プルヴェールはフルートを吹く手を止めずに視線をコンブフェールの方に向ける。コンブフェールは口を開きかけた。
「……」
だが、ふと思い直す。
「……なんでもない」
プルヴェールが軽く目を閉じた。
しばらくフルートの音が響いていた。
――――――――――――――
1つ目。音楽といえば聖司さん! ということで先輩コンビで。バンビに会ってから彼の音の色は変わった気がするのですよ。そんな変化を一番よくわかるのは玉緒さんじゃないかなあ、と。バンビがいつもどんな曲を歌っているかはご想像にお任せします。
2つ目。コンブフェールさん2回目の登場。プルヴェールはABC友の会のメンバー。原作では詩人でフルートも吹ける学生です。ミュージカルでは熱血キャラですね。今回は原作寄りにしてみました。ちなみにこの2人は親友……だったと思う……。ってかマリウスでもアンジョルラスでもなくてよかったのだろうか。
という実験。
『彼が紡ぐ音の色』
【GS3 ver.】
彼が紡ぐ音の色が変わってきた気がする。
どう変わったかは、うまく言えないが。
「その曲、はじめて聞くな。なんていう曲だい?」
ある日の放課後、珍しく音楽室で設楽のピアノを聞いていた紺野が言った。設楽は聞こえていないのか、軽く目を閉じたまま鍵盤に指を滑らせている。
紺野は彼が弾き終わるまで待つことにした。
設楽が弾き終わると、紺野は軽く拍手をした。
「誰の曲だい?」
紺野が訊く。設楽は肩をすくめた。
「さあな」
「え、知らないのか?」
「知らない。あいつがときどき歌ってるから弾いてみただけだ」
「あいつ……ああ、彼女か」
一つ下の少女の顔を思い浮かべて、紺野は頷いた。そうだ、彼女に会ってから、設楽の奏でる音色が変わってきたんだ。紺野は音楽に造詣が深い方ではないが、そのくらいはわかった。
設楽がまたメロディーを弾く。
「良い曲だね」
「ああ。……あいつにぴったりだな」
「うん」
左手がすっと伸びて伴奏がつく。
「その伴奏は?」
「適当」
「適当?」
「ああ。さっきと違うだろ?」
そう言われても紺野にはどこが違うのかよくわからなかった。しかし設楽はそんな様子を気にも止めずに弾き続ける。
しばらくピアノの音が響いていた。
【Les Miserables ver.】
彼が紡ぐ音の色が変わってきた気がする。
どう変わったかは、うまく言えないが。
「その曲、はじめて聞くな。なんていう曲だい?」
プルヴェールが吹き終わるのを待ってコンブフェールは声をかけた。プルヴェールはフルートを置いて静かに微笑んだ。
「名前は、まだない」
「まだ?」
「うん」
そこでコンブフェールは気がついた。
「君が作った曲なのか」
「うん、まあね」
「……悪くないね」
「ありがとう」
「楽譜には起こしたのかい?」
「ううん」
「残さなくていいのか?」
「残すほどの曲でもないよ」
「そうかな」
「そうだよ」
プルヴェールが再びフルートを取って吹き始めた。その音を聞きながら、やっぱり以前と音が変わった気がするな、とコンブフェールは思う。そういえば、彼が書く詩も少し変わった気がする。何かあったのだろうか?
「プルヴェール」
プルヴェールはフルートを吹く手を止めずに視線をコンブフェールの方に向ける。コンブフェールは口を開きかけた。
「……」
だが、ふと思い直す。
「……なんでもない」
プルヴェールが軽く目を閉じた。
しばらくフルートの音が響いていた。
――――――――――――――
1つ目。音楽といえば聖司さん! ということで先輩コンビで。バンビに会ってから彼の音の色は変わった気がするのですよ。そんな変化を一番よくわかるのは玉緒さんじゃないかなあ、と。バンビがいつもどんな曲を歌っているかはご想像にお任せします。
2つ目。コンブフェールさん2回目の登場。プルヴェールはABC友の会のメンバー。原作では詩人でフルートも吹ける学生です。ミュージカルでは熱血キャラですね。今回は原作寄りにしてみました。ちなみにこの2人は親友……だったと思う……。ってかマリウスでもアンジョルラスでもなくてよかったのだろうか。
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