Myselves

言葉と音楽に隠された魔法を探して放浪中。
そんな『自分自身』たちの旅の様子は?

実験的SS

2012-04-14 01:51:59 | ゲーム
同じ出だしで違うジャンルを書けるのか?
という実験。







『眠る天使のそばで』

【GS3 ver.】

長めの金髪に顔の半分が隠れていた。長い睫毛に縁取られた瞼は閉じられている。

――天使――

そんな言葉が頭をよぎった。

琥一が買い出しから帰ってきたとき、琉夏は1階のソファで眠っていた。琥一は彼を起こさないように厨房に入ろうとした。

「――」

呼ばれたような気がして振り返った。

「――あ?」

買ってきた荷物を置いて、眠っている琉夏の方に近づいた。琉夏は目を覚まさない。
琥一は琉夏の顔にかかっている髪の毛をそっとかきあげてやった。一瞬、天使、と思う。

と、琉夏の頬をすうっと涙が一筋伝った。

綺麗だ――と琥一は思う。

その頬に唇を寄せて涙を拭った。
胸に愛しさが込み上げてくる。
髪を撫で、そっと唇に口づけする。柔らかいその唇はかすかに涙の味がした。
吐息が混ざる距離で囁いた。

――ルカ、……。

再び、起こさないように気をつけながら、角度を変えて唇を味わう。
ゆっくり唇を離した。

「そうやって寝てろ、天使さまは」

琥一はそう呟いてから琉夏に背を向け、厨房に入る。

外はもう暗くなっていた。






【Les Miserables ver.】

長めの金髪に顔の半分が隠れていた。長い睫毛に縁取られた瞼は閉じられている。

――天使――

そんな言葉が頭をよぎった。

グランテールが珍しく会合の時間の1時間以上前にカフェ=ミュザンの奥の席に入ってきたとき、アンジョルラスはソファに腰かけて眠っていた。
グランテールは立ち止まってその寝顔をしばし眺める。アンジョルラスはピクリとも動かない。
グランテールは彼を起こさないように気をつけながら、いつもの自分の席に座った。

寝顔だけ見ると天使なんだけどな、とグランテールは思った。いや起きているときも天使だが。
そこでグランテールははたと考え込む。
アンジョルラスを例えるとしたら、天使以外の何が相応しいだろう? やはり掟の女神・テミスだろうか。よく研がれた真剣のように鋭くもあるな、と彼は思った。それとも、冷たくて、儚くて、美しい雪だろうか。
いや――やはり天使だな、とグランテールはひとり納得した。

再びアンジョルラスの方を見る。彼の長めの金髪は顔の半分を隠していた。
グランテールはあらかじめ注文しておいたワインとグラスを受け取ると、静かに飲み始めた。時折視線をアンジョルラスの方に向けるが、彼は起きる気配がない。
不思議と満たされた気持ちだった。
今だけは、アンジョルラスはグランテールのものだった。

それから、他の仲間たちが来るまでのわずかな時間、グランテールは、彼の天使のそばで静かにワインを飲んでいた。






――――――――――――――
1つ目、コウちゃんがなんと囁いたかはご想像にお任せします。もっとエロい方がよかったかな。
2つ目、グランテールはABC友の会で唯一の懐疑派です。でもリーダーのアンジョルラスが好きで愛して崇拝している。そんな彼がアンジョルラスと二人きりになったら……?

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