旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

電車女 ①

2005年10月13日 22時45分20秒 | Weblog

何年ぶりかで広電の路面電車に乗った。袋町から県病院前まで電車に揺られたのである。午後3時に行きが宇品方面で帰りが紙屋町方面だから、まさか混むとは思わなかった。そして、行きは予想通り混まなかった。ところがである。30分ほどで所用を済ませて、やはり県病院前で己斐方面行きの帰りの電車に乗ったところ、紙屋町に近づくに従って混むは混むわ。鷹の橋あたりで気がつけば電車の中はそこいらじゅう女子高生だらけ。黄色い声が飛び交う。
わたしはここまで混むとは思わなかったからのんびりと最後部の座席に座っていた。出口は最前にあるから下車しようとすれば混みあう女子高生たちの間をすり抜けなければならない。電車は下車を予定していた袋町に近づく。小心者のわたしはここで怖気づいた。「あのおじさん、わざと最後部に座ったのよ、やーね。」という声が心のうちのどこからともなく聞こえてくるのである。下車予定の袋町では乗客がいたが下車するひとはいなかった。わたしには女子高生を掻き分けて下車するほどの度胸がない。電車は本通に着く。やはり下車するひとはいない。下りる勇気が湧いてこない。