『採用されるためには、身体が頑強であること・定年まで勤めあげるという意志力、性格が陽性で先輩から可愛がられるという人間性が肝要だ。』と断定した後で担当者は、男女を問わず日本男児の性根をもった若者を採用したい。数か月・数年で辞めるような生徒は応募しないで欲しいとつけ加えた。
・なせば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり 上杉鷹山
・かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂 吉田松陰
40年前に『自動車絶望工場』という著名なルポによって物議をかもした自動車メーカーの経営指針に揺らぎはないようだ。期間労働者からみれば絶望工場なのかも知れない。しかしこのメーカーの「カイゼン」を標榜する徹底した現場主義と合理主義は、既に世界のメーカーのお手本になっている。
疎外とか搾取とかいう種類の言葉を弄んでわが身の不遇を恨むのは易しい。ところが、残念なことに徹底した労務管理なしに世界を相手の生存競争で生き残ることはできない。乱暴を承知でいうならば、この求人難の時代に資本主義の厳しさを受容できないのなら、儲かる期間工をやめてもっと楽で賃金が低い仕事に就けばよい。あらゆる選択肢が許されているのが自由主義経済体制なのだ。
もっとも、私の持論は求人難が続いたらという「タラとニシンは北海道」の話であることをお断りしておかなければならない。「自動車絶望工場」は随分売れて何年か前には何十年かぶりに改定新版まででたというから、鎌田慧さんは随分儲かったのだろうと、正直、かなり羨ましく思う。