都道府県の知事の中で議論され、政府にも検討の要請がされている9月入学について、ネット上でもいろいろな議論や意見も出ていますが、基礎的な知識に差がありすぎて、理解できていないのに発言発信している内容が多く出ているのこと、現場は変化しないことが一番嬉しいという思考が働く背景をわかっておくこと、がそれらの情報に接する場合に前提として理解しておく必要があります。そして慎重な議論、つまり全員が納得出来る(有り得ない決定方法)や多数決(思考停止し良し悪しではなく決める)ではなく、これらはトップダウンで決めるべき内容でしかない。ちなみに文科省を含む役所は何も変えないのを前提とし、また責任を誰も取らないので、方針決定させるべきではない。
日本の仕組みがややこしいのは、実質のトップがいないこと。これは責任を取らないですむ仕組みになっているから。なので、それなりに指示されている人の発言で雰囲気を作り動かしてしまうのが効果的。今だと、政治家はものすごくやりがいもあるが、能力のない人にとってはしんどい状態。
意見を言ったり率先して動く人は、無理解な人や無知な人、単なる批評家(自分では動かない、できない、対案がない)からの的外れな批判や反論がでるけど、逆行の時こそ考えて対応していく人にのみ結果がついてくる。良い時は何をしてもしなくても問題なく進んでいくけど、期限のある判断を必要とする時はそうはいかないから。
さて、9月入学の是非についてこの後まとめます。
9月入学については、まずはメリットとデメリットで方針を決め、その後に変更の課題と対応について、の順番で分けて考えると整理されます。
●メリット:日本は世界と連携しており、人の行き来が起きている。そこをスムーズに出来るようにするためには、仕組みとして入学卒業のタイミングが同じであることが望ましい。国の強さは経済力と軍事力で決まり、経済力は作り出す付加価値の大きさで決まる。そしてこの付加価値を作り出すのは、質と量の積になります。量は人数であり、質は一人が作り出す付加価値の多さ。日本は人口がそうそう増やせるものではないので、質を上げるしかない。では、質を上げるのは頭脳でしかなく、世界は如何により良い頭脳を自国に集めるかを競っている。
●デメリットは、仕組みを変えることによるコスト負担がどれだけ増えるのかである。5ヶ月新しい100万人の労働力が投入されないことが一番大きいが、これは既存の定年制度などで対応可能である。
さて方針を決める時
●判断のポイントは、メリットとデメリットを比較して、よりメリットが多いとなれば進めるべきで、いかにデメリットを少なくするかや課題を無くすか影響を少なくするかの対応策を考えていくことになる。whatを検討し、そのあとhowを考えることである。whatの議論にhowを持ち出す人は多いが、これは議論が整理できておらず理解できていないか、そもそも物事を適切に決める能力がないのかである。
●ここでの結論は、10年先を考えた場合、より良い暮らしを実現するためにも9月入学に切り替えていくべきとなる。その理由は、付加価値の増加は毎年積み上がるが、コストは一過性であることと、今回の影響で不景気になるときには労働力の確保が容易になるから。
ここからは課題と対応について。howの話であり、課題があるからと9月入学の是非の議論に戻すものではない。また対応についても、どのようにすることが可能かという方法論の一つと考えると良い。
●学校教育施行規則:一番大変なのが法改正であり、同法は学年を4月1日に始まり翌年の3月31日に終わると規定している。なお大学は学長が始期と終期を決められる。ただこれは9月入学として法改正すると政治で決めて可決してしまえば良いだけでもある。そのためにも、このあとの課題対応が重要になる。
●小学生1年生が4割増える
4割増えるとは、現在入学対象の4月2日生まれから翌年の9月1日までを対象とした場合であるが、これはまずは現状の入学対象のままとすれば解決できる。その後に海外の入学と年齢を合わせるように入学対象範囲を数年かけて増やしていけば良い。そもそも対象人数が減る中、人数確保ができ、あとはどう入学対象を生まれで微調整するのかと考えれば良い。(世界の大学入学標準時期は、現在の高校三年生の9月からとなるので、それに合わせていくようにすれば良い)
●いつから9月開始にするのか
今年はすでに始まっているので、卒業を伸ばせば良いだけになる。開始できるところから開始するだけ。これによって学校関連の業者も仕事の継続が可能であるし、4〜6月の勉強機会の減少有無に対する不公平への一般的な対応も可能。
●卒業式と受験
9月入学となる場合、いつ卒業とし、受験をいつにするべきかの議論が起きるであろうが、卒業は6月末年、受験は7月〜8月とすれば良い。現行では受験のために学校を休むことが必要であるが、このような運用でのカバーも不要となり、また成績表も完全な形で提出可能になる。
●期間延長の学費
これは先の一過性の費用として、財政支出すれば良いだけ。学校による生徒への負担追加を禁止することも併せて。
●入社時期
6月に卒業となれば、7月に入社も可能である。そもそも一斉入社は定められたものではないので、会社がそれぞれ決めれば良い。すでに大手は通年採用しており、学卒一括採用も企業に採用義務があるわけではないので、企業に任せるべきこと。
●会計年度の変更
日本の多くの企業は4月〜3月を会計年度としているが、これは企業で自由に変更可能。
●確定申告等税制関係
個人の課税は1月〜12月を対象としており、企業は会計年度を基準にしている。そもそも一致しているものでもなく、入学と一致させる必要はないので、議論の対象としていること自体がおかしい。
◆他にも色々あるが、そもそも9月入学と因果関係の無い事項も9月入学の課題として話に上がっている。不公平とか子供の気持ちとかはコロナによる問題で9月入学の課題ではない。