会社組織のトップと異なり、公職のトップの一つである知事のスタンスは難しいものがあります。それは、有権者を向いて仕事をするか、議会や役所を向いて仕事をするかというものです。営利企業である会社であれば、例えば良い商品を開発して販売し、世の中を便利にして利益を上げることで、お客様、株主、社員の全てを満足させることが出来ます。しかし、行政組織は守り主体の組織となるため、ゼロサムゲームとなります。会社で言えば、総務部しかないと考えるとわかりやすいかもしれません。
わかりやすい例として、衆院選で躍進した国民民主党が良い例でしょう。完全に国民を向いたスタンスに舵を切ったので、有権者から多くの支持を得ましたが、行政側は多大な反発をしています。財務省や総務省などを含む役所は全般的に手段が目的化してしまう傾向があるので、結果的に自分の組織を守ることや権限を強化することが組織的な目的になってい区ため、国民目線に立つと対立していくのは当然のことです。役所が個別の仕事に真面目に仕事に取り組めば取り組むほど、視点が低くなって、国や国民目線を軽視してしまいます。また、議員も選挙に強ければ、国民目線に立つ必要もなく、役所の言われ望まれるままに対応すれば、役所側に立つ都合の良い人とされ持ち上げてもらえますし、ご本人も仕事をした気になります。
話を戻して知事のスタンスを兵庫県に戻すと、斎藤知事の前の井戸氏は、役所を向いたスタンスであり、県議や市長にとって都合が良いから組織票の支援得られて当選してきた。このスタンスの政治家は、有権者が選挙に興味を持たず選挙に行かないと組織票で自動的に当選できる。小さな既得権益の中で、政治家も役所も、お互いに庇いあって税金を無駄に使えば、誰も困らないし、一部の有権者から補助金や政策を求められたら、特定の利益誘導であってもハレーションを起こさずに対処するのが優秀とされる。つまり、税金を払う有権者に全ての負担を強いるようにしているだけである。
井戸知事は、コロナの期間にテレビに出たりして失態を繰り返したため、任期満了後に再選を目指しても絶対に当選は難しいぐらい評価を落とした。県民が知事選に興味を持ったため、国民目線で改革してくれる知事を選ぼうとして斎藤知事が前回選ばれた。そして、改革を始めるから役所や県議らと衝突するし、彼らは楽して怠けて仕事できなくなる。本人たちは一生懸命仕事しているつもりだが、大多数は残念ながら一般のまともな会社の中では通用しないレベルです。
今回の兵庫県知事選挙は、全国的なニュースになったし、全国の人がネットでコメントしたりしているし、芸能人なども好き勝手にコメントしているみたいだ。彼らの一部は、テレビや新聞は、色々と規制されており、裏取りもするから嘘は言わないので信用できるが、ネットは好き勝手に発信できるから信用できない。インターネットを信じて投票する兵庫県民はパワハラ容認者はかりですかとか、県民は情弱ばかりとか、これが民意ですかwwwとか、自分の望んだ結果や特定の情報から信じていることが否定されると発狂している人がたくさんいるように見える。ちなみに私は兵庫県民ではないです。日本で暮らす我々は、選挙で直接的に選んだ当選者は民主主義の結果であり、よくも悪くも民意として受け止める必要がある。この大前提を否定している意見は、残念ながら何を言っても価値はないのです。それと、投票率が大幅に上がるということは、多くの県民が選挙に興味を持ち、ものすごくよく調べるし、既得権益を守ろうとする人より、県民側に立ってくれる人を選ぶ傾向が強まります。調べればわかることばかりですが、既存メディアのテレビや自分が伝えていない斎藤知事の実績や、特定の切り取りによってイメージさせること、また県議側のストーリーに沿って争点をパワハラを許さずまともな対話のできる知事を選ぶことみたいにしていたこと。しかし、多くの県民が感じたのは県議と県庁への不信感と、付け加えるなら高圧的な市長団の稲村候補応援など、既得権益を持つ人たちへのノーである。これらはテレビでは放映されないし、テレビのいう公平性であり、放送しない自由らしい。来年春に選挙を迎える、伊丹市長と宝塚市長は、早速斎藤知事に取り入ろうと動いていた。
私はこれまで必ず投票していたし、テレビからもネットからも、そしてそれら以外からも情報を取り、しっかり考えて投票してきた。私は、多くの県民が投票した兵庫県は民主主義が機能しており、県議や各市長、そして県庁などは国民が選挙を終わっても引き続き関心を持って見ていることを理解すべでしょう。テレビや新聞はニュースバリューが無いと報道しないでしょうが、現場にいてファクトを確認され、それが判断の材料にされていくでしょう。
稲村候補が、何と戦っているのか、なぜ敗れたのか理解できないまま負けたとコメントしていましたが、組織票に頼り斎藤候補を批判すれば勝てると思っていたようですので、それでは永遠に敗れた根本原因には辿りつかないでしょう。
斎藤知事には、改革を進めてもらうことも重要であるが、よりバランスよく考えて対応することができればよりよくなると思います。県議の中でも次の選挙を見据えて意見が割れるでしょうし、再度不信任案を出す可能性も色々な理由からあるでしょう。その時には県議会解散になると思われますので、引き続き兵庫県には注目しておきたいと思ってます。