一弦入魂
2016-11-21 | 音
一昨日はイベントPR用のポスター制作を
依頼されていた、都内のとあるカフェの
イベントに店舗の客として参加してきま
した。
(向かう途中、都電荒川線に、物心ついて
以来の初乗車を果たせました
)
早稲田大学出身の津軽三味線の名取・
澤田響紀さんと現役大学生3人が共演
する津軽三味線の、アットホームながら
も、熱いライブでした。
フード3品にドリンクを付けて、妹夫婦
と私と3人で伺いました。
(お店のオーナーが妹のかつての職場の
お仲間という繋がりがありまして、
ご挨拶する良いきっかけでした。)

私達の他には地元のご年配の方々も、
座席が足りなくなりそうなぐらい沢山
観に来られていました。
今回参加してみたことによって、津軽
三味線とは普通の三味線と少し違う
特徴があることも知ることができまし
た。
質問も受け付けていたので、演奏終了後
あれこれお話を伺ってみました。
中国から琉球に渡ってできたのが三線。
ハブの皮を貼ってる、沖縄の音楽に
欠かせない楽器ですね。
それが更に西へ伝わって三味線ができ、
更に京都辺りで琵琶の構造を取り入れて
津軽へ伝わってできたのが津軽三味線
なのだそうです。
演奏にも違いがあり、京都の芸妓さんが
弾くような、チントンシャンと表現され
るようなゆっくりした曲調だったものが
津軽では皮を叩いて大きな音を出しなが
ら速弾きするような、派手な演奏形態
へと変貌したといいます。
これは、津軽での社会情勢にも関係して
いるそうで、目が不自由な人がお金を
稼ぐ生業の道具であり、惹きつける為に
より激しく難易度の高い演奏をする、
ある種曲芸的な要素があったということ
です。
障害を持っている為に差別を受け、酷い
仕打ちをされることもある中で、流しの
ミュージシャンみたいに家々を回った
のです。
日本にもニューオリンズみたいな場所が
あったんだ!と思いました。
津軽は悲しくも燃えたぎる魂の尽きない
場所のようですね。
それから基本三味線は単音で弾く楽器
だそうです。
でもやろうと思えばギターのパワー
コードみたいな弾き方もできるらしい。
また、ある程度曲目によって、ギターで
いうところのスケールが決まっている
ので、その感覚さえ身につければ、
フレットなどの目印がなくても、困ら
ないのだそうです。
但し例外があって、ジャズに良くある
ような転調する曲は、アドリブ的な対応
は熟練者でもない限り、瞬時の対応は
なかなか難しいとのこと。
津軽三味線の持った時の重さは、印象と
してはエレキギターを持った時と同じ
ぐらいに感じました。
案外棹(さお)と呼ばれる、ギターでいう
ところのネックに使われている、紅木
(こうき)という木が重いそうです。
またギターでいうところのペグにあたる
糸巻きというところを回して音量を調整
できるのですが、これはチューニングを
する部分でもあるので、回し過ぎると
音が変わってしまいます。
材質は黒檀や練り物(プラスチックなど)、
高級なものでは象牙製のもあるようです。
撥(バチ)は通常のより少し小さめに作ら
れていて、激しい早弾きみたいな曲が
多いので、弾きやすいように作られた
結果だそうです。
ギターでいうと、おにぎり型よりティア
ドロップ型の方が弾きやすいのと同じ
ですね。
ギターみたいに、ハーフダウンチュー
ニングをするようなこともあるそうで、
調弦といい、基本的に本調子、二上り、
三下りの3つだそうです。
ギターの弦のカウントが、胸側から6・
5・4・3・2・1なのに対し、三味線では
1・2・3と数えます。
本調子はノーマルなチューニング。
二上りは2の弦の音を半音上げ、三下りは
3の弦の音を半音下げることを指します。
調弦は曲目の冒頭から音を出しながら
行い、そこから繋げて曲に入るのが通常
だそうです。
どうしても糸巻きは緩むので、曲中に
音が狂ってきたと感じた時は、慣れた人
ならさり気なく演奏中に小まめに直して
しまうんですって!神業ですね。
ギターでいうところのブリッジの役目を
果たすパーツとして、駒と呼ばれるもの
があるんですが、ギターと違うのは、
ボディに元々固定されてるのではなく、
弦と皮の間に挟むクリップのようなもの
で、取り外し可能なものということ。
ヘアピンぐらいの大きさですが、数万円
するものもあるようです。
そして棹にはギターと違ってフレットや
指板がありません。
それは何故か。
津軽三味線を弾く人には目が不自由な方
が多かったので、基本的に手探り、耳で
覚える楽器だったからです。
最近ではフレット付きのもあるそうです
よ。
音が劣化しないか聞いたら、意外にも
かえって音が良くなるらしい(笑)
通常は指板やフレットがなく、棹を直に
押さえて弾くので徐々に磨耗してしまう
為、メンテの際はカンナで削って使うの
だそうです。
でも最終的にはそれ以上削れなくなり、
消耗してしまうので、三味線はヴィン
テージ物として出回ることは殆どない
そうです。
出回ったところで使い物にならないよう
なものだったり…。
もし状態が良く、殆ど使用していない
ような、歴史ある一品が出土したりでも
したら、ビッグニュースなのかも。
それと皮も様々で、基本的には赤犬の
皮らしいですが、最近は動物愛護団体
などもあり、取引が禁止されていたり
もして入手困難な為、人工的に作った
化学繊維でできた布を貼ったものもある
ようです。
また通常両面に皮を貼るところ、裏面
は貼らない代わりにそもそもドラムの
スネアのヘッドと同じ材質の皮(フィル
ム?)と胴が一体化したタイプのものも
ある。
本革でないタイプのものは、音への影響
も懸念されましたが、音は皮よりも木で
決まる部分もあり、むしろ丈夫で長持ち
(湿気などの環境に左右されにくい)と
いう利点もあるみたいです。
それらを伝統と反する邪道のものと
捉えるか、理にかなった新しいものを
良いこととして受け入れるかは、価値観
の問題かもしれません。
私としてはどちらもありだと思います。
メンテナンスに苦労してでも伝統を貫き
たい、という人の気持ちも分かりますし。
またコストの面で選択が狭まる場合も
あるかもしれません。
あと、ギターと違うところでは、胸側の
胴の側面に付ける、胴掛けと呼ばれる
パーツがあること。
武具の胸当てみたいな感じでカッコイイ
です。
ギターには時々ボディをピックによる
引っ掻き傷から守るためのピックガード
というパーツが付いたものが存在します
が、それとも少し違って、胴掛けは
ストロークする方の腕が触れた時に付く
汗から皮を守る為に付けるものだそう
です。なるほどね〜。
そしてこの胴掛けがまた色んなデザイン
のものがあり、ギターと同様、模様や
色で個性の主張をするポイントでもある
そうです。おシャンティ!
男子学生二人のを比べてみてもそれぞれ
津軽塗りの胴掛けとはいえ、柄も全然
違い、面白かったです。
伝統工芸品でもあり、津軽塗りといえば
お箸にもよく使われています。
ギターのインレイ(指板やヘッドに埋め
込まれる貝殻などの装飾)のように、
貝殻の細かいチップが埋め込まれたもの
もありました。
出身は様々なのに、皆さんが津軽を愛し
ているのがよく分かりました。
スマホケースまで津軽塗りのを選んで
いる方もいらっしゃり、感心しました。
メモしてこなかったのでうろ覚えです
が、ぼちぼち曲目を挙げてみます。
(順不同。間違っていたらすみません、
判明したら後日訂正・追記しておきま
す。)
*津軽音頭(澤田響紀さんによる独奏)
<以下、合奏。>
*民謡メドレー:
津軽りんご節〜黒石よされ〜津軽甚句
他。
三味線と聴いてイメージされるような
有名な曲で津軽三味線の音を聴いて
もらうというコンセプトで紹介された
曲は以下の三曲。
*花笠音頭(山形)
*炭坑節(九州)
*ソーラン節(北海道)
*津軽あいや節(各演奏者が順番に演奏
しての聴き比べなど)
*荒城の月〜華降り焔(オリジナル曲)
*津軽じょんがら節
*朧月夜〜暁(オリジナル曲)
学生さん達は早稲田大学の津軽三味線の
サークル・三津巴のメンバーさんで、
津軽三味線の全国大会や世界大会でも
優勝を果たしたという実力派揃い。
他大学からのインターンで所属している
学生さんもいて、注目度も高い団体で
あることも知りました。
撮影OKか分からなかったので、特に撮っ
てきませんでしたが、確認してみれば
良かったと今更後悔(笑)。
彼らの演奏の動画を下記にてご紹介して
おきます。
かっこいいので、音楽ファンは是非!
依頼されていた、都内のとあるカフェの
イベントに店舗の客として参加してきま
した。
(向かう途中、都電荒川線に、物心ついて
以来の初乗車を果たせました

早稲田大学出身の津軽三味線の名取・
澤田響紀さんと現役大学生3人が共演
する津軽三味線の、アットホームながら
も、熱いライブでした。
フード3品にドリンクを付けて、妹夫婦
と私と3人で伺いました。
(お店のオーナーが妹のかつての職場の
お仲間という繋がりがありまして、
ご挨拶する良いきっかけでした。)

私達の他には地元のご年配の方々も、
座席が足りなくなりそうなぐらい沢山
観に来られていました。
今回参加してみたことによって、津軽
三味線とは普通の三味線と少し違う
特徴があることも知ることができまし
た。
質問も受け付けていたので、演奏終了後
あれこれお話を伺ってみました。
中国から琉球に渡ってできたのが三線。
ハブの皮を貼ってる、沖縄の音楽に
欠かせない楽器ですね。
それが更に西へ伝わって三味線ができ、
更に京都辺りで琵琶の構造を取り入れて
津軽へ伝わってできたのが津軽三味線
なのだそうです。
演奏にも違いがあり、京都の芸妓さんが
弾くような、チントンシャンと表現され
るようなゆっくりした曲調だったものが
津軽では皮を叩いて大きな音を出しなが
ら速弾きするような、派手な演奏形態
へと変貌したといいます。
これは、津軽での社会情勢にも関係して
いるそうで、目が不自由な人がお金を
稼ぐ生業の道具であり、惹きつける為に
より激しく難易度の高い演奏をする、
ある種曲芸的な要素があったということ
です。
障害を持っている為に差別を受け、酷い
仕打ちをされることもある中で、流しの
ミュージシャンみたいに家々を回った
のです。
日本にもニューオリンズみたいな場所が
あったんだ!と思いました。
津軽は悲しくも燃えたぎる魂の尽きない
場所のようですね。
それから基本三味線は単音で弾く楽器
だそうです。
でもやろうと思えばギターのパワー
コードみたいな弾き方もできるらしい。
また、ある程度曲目によって、ギターで
いうところのスケールが決まっている
ので、その感覚さえ身につければ、
フレットなどの目印がなくても、困ら
ないのだそうです。
但し例外があって、ジャズに良くある
ような転調する曲は、アドリブ的な対応
は熟練者でもない限り、瞬時の対応は
なかなか難しいとのこと。
津軽三味線の持った時の重さは、印象と
してはエレキギターを持った時と同じ
ぐらいに感じました。
案外棹(さお)と呼ばれる、ギターでいう
ところのネックに使われている、紅木
(こうき)という木が重いそうです。
またギターでいうところのペグにあたる
糸巻きというところを回して音量を調整
できるのですが、これはチューニングを
する部分でもあるので、回し過ぎると
音が変わってしまいます。
材質は黒檀や練り物(プラスチックなど)、
高級なものでは象牙製のもあるようです。
撥(バチ)は通常のより少し小さめに作ら
れていて、激しい早弾きみたいな曲が
多いので、弾きやすいように作られた
結果だそうです。
ギターでいうと、おにぎり型よりティア
ドロップ型の方が弾きやすいのと同じ
ですね。
ギターみたいに、ハーフダウンチュー
ニングをするようなこともあるそうで、
調弦といい、基本的に本調子、二上り、
三下りの3つだそうです。
ギターの弦のカウントが、胸側から6・
5・4・3・2・1なのに対し、三味線では
1・2・3と数えます。
本調子はノーマルなチューニング。
二上りは2の弦の音を半音上げ、三下りは
3の弦の音を半音下げることを指します。
調弦は曲目の冒頭から音を出しながら
行い、そこから繋げて曲に入るのが通常
だそうです。
どうしても糸巻きは緩むので、曲中に
音が狂ってきたと感じた時は、慣れた人
ならさり気なく演奏中に小まめに直して
しまうんですって!神業ですね。
ギターでいうところのブリッジの役目を
果たすパーツとして、駒と呼ばれるもの
があるんですが、ギターと違うのは、
ボディに元々固定されてるのではなく、
弦と皮の間に挟むクリップのようなもの
で、取り外し可能なものということ。
ヘアピンぐらいの大きさですが、数万円
するものもあるようです。
そして棹にはギターと違ってフレットや
指板がありません。
それは何故か。
津軽三味線を弾く人には目が不自由な方
が多かったので、基本的に手探り、耳で
覚える楽器だったからです。
最近ではフレット付きのもあるそうです
よ。
音が劣化しないか聞いたら、意外にも
かえって音が良くなるらしい(笑)
通常は指板やフレットがなく、棹を直に
押さえて弾くので徐々に磨耗してしまう
為、メンテの際はカンナで削って使うの
だそうです。
でも最終的にはそれ以上削れなくなり、
消耗してしまうので、三味線はヴィン
テージ物として出回ることは殆どない
そうです。
出回ったところで使い物にならないよう
なものだったり…。
もし状態が良く、殆ど使用していない
ような、歴史ある一品が出土したりでも
したら、ビッグニュースなのかも。
それと皮も様々で、基本的には赤犬の
皮らしいですが、最近は動物愛護団体
などもあり、取引が禁止されていたり
もして入手困難な為、人工的に作った
化学繊維でできた布を貼ったものもある
ようです。
また通常両面に皮を貼るところ、裏面
は貼らない代わりにそもそもドラムの
スネアのヘッドと同じ材質の皮(フィル
ム?)と胴が一体化したタイプのものも
ある。
本革でないタイプのものは、音への影響
も懸念されましたが、音は皮よりも木で
決まる部分もあり、むしろ丈夫で長持ち
(湿気などの環境に左右されにくい)と
いう利点もあるみたいです。
それらを伝統と反する邪道のものと
捉えるか、理にかなった新しいものを
良いこととして受け入れるかは、価値観
の問題かもしれません。
私としてはどちらもありだと思います。
メンテナンスに苦労してでも伝統を貫き
たい、という人の気持ちも分かりますし。
またコストの面で選択が狭まる場合も
あるかもしれません。
あと、ギターと違うところでは、胸側の
胴の側面に付ける、胴掛けと呼ばれる
パーツがあること。
武具の胸当てみたいな感じでカッコイイ
です。
ギターには時々ボディをピックによる
引っ掻き傷から守るためのピックガード
というパーツが付いたものが存在します
が、それとも少し違って、胴掛けは
ストロークする方の腕が触れた時に付く
汗から皮を守る為に付けるものだそう
です。なるほどね〜。
そしてこの胴掛けがまた色んなデザイン
のものがあり、ギターと同様、模様や
色で個性の主張をするポイントでもある
そうです。おシャンティ!
男子学生二人のを比べてみてもそれぞれ
津軽塗りの胴掛けとはいえ、柄も全然
違い、面白かったです。
伝統工芸品でもあり、津軽塗りといえば
お箸にもよく使われています。
ギターのインレイ(指板やヘッドに埋め
込まれる貝殻などの装飾)のように、
貝殻の細かいチップが埋め込まれたもの
もありました。
出身は様々なのに、皆さんが津軽を愛し
ているのがよく分かりました。
スマホケースまで津軽塗りのを選んで
いる方もいらっしゃり、感心しました。
メモしてこなかったのでうろ覚えです
が、ぼちぼち曲目を挙げてみます。
(順不同。間違っていたらすみません、
判明したら後日訂正・追記しておきま
す。)
*津軽音頭(澤田響紀さんによる独奏)
<以下、合奏。>
*民謡メドレー:
津軽りんご節〜黒石よされ〜津軽甚句
他。
三味線と聴いてイメージされるような
有名な曲で津軽三味線の音を聴いて
もらうというコンセプトで紹介された
曲は以下の三曲。
*花笠音頭(山形)
*炭坑節(九州)
*ソーラン節(北海道)
*津軽あいや節(各演奏者が順番に演奏
しての聴き比べなど)
*荒城の月〜華降り焔(オリジナル曲)
*津軽じょんがら節
*朧月夜〜暁(オリジナル曲)
学生さん達は早稲田大学の津軽三味線の
サークル・三津巴のメンバーさんで、
津軽三味線の全国大会や世界大会でも
優勝を果たしたという実力派揃い。
他大学からのインターンで所属している
学生さんもいて、注目度も高い団体で
あることも知りました。
撮影OKか分からなかったので、特に撮っ
てきませんでしたが、確認してみれば
良かったと今更後悔(笑)。
彼らの演奏の動画を下記にてご紹介して
おきます。
かっこいいので、音楽ファンは是非!