失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「人魚」 NOKKO 1994年

2012-05-31 | 
NOKKOソロとしての5thシングル。

①人魚 フジテレビ系 ボクたちのドラマシリーズ「時をかける少女」主題歌
作詞:NOKKO、作曲:筒美京平、編曲:鄭東和・清水信之
筒美京平、90年代の代表作。テイ・トウワ、清水信之とテクノ人脈のアレンジャーを迎え、シンセサイザー主体で作り上げられたドリーミーな世界。NOKKOの激情を秘めつつ抑制された歌唱は非の打ちどころがないし、筒美さんの曲はシンプル&ドラマチックで格調高い。ハープ音もストリングス音もすべてシンセなの?音響派的な味付けも効果的。昭和歌謡のテイストを意識しつつ90年代スタイルで、みたいな企画だったのかもしれない。しかし、シンガーを含めた作家陣があまりにも高い完成度で仕事をしてしまったので、軽く時代を超越しちゃった印象。そんな異様なテンションを感じる傑作だ。いい曲だからカヴァーしようとか、軽い気持ちで近づくのはやめといたほうがいい。プロデュースはテイ・トウワ。

②CRYING ON MONDAY フジテレビ系「ウゴウゴルーガ」はじめのうた
作詞・作曲:NOKKO、編曲:久米大作
しかし、カップリングも負けず劣らず力の入った名作なのだ。久米大作のチェンバロ+生の弦(金子飛鳥ストリングス)が奏でる前奏は、クラシカルな宮廷舞踏音楽風。勇壮でいて哀しみを感じさせるアレンジの緊張感は最後まで途切れない。後半、トランペット、バンドネオンが活躍する展開がスリリング。カスタネットも効いてるなあ。NOKKOは、何かに苛立つように、祈りのように叫ぶ。ブームタウン・ラッツ「哀愁のマンデイ」(1979)、ニュー・オーダー「ブルー・マンデー」(1983)、バングルス「マニック・マンデー」(1986)と、月曜の憂鬱を歌った名曲たちへの日本からの回答と言ってしまおう。
プロデュースはNOKKO、共同プロデュース:小西康陽。

③①のカラオケ

定価1000円、中古で100円。
改めて、90年代屈指の名作シングル。2曲とも凄まじいまでの密度なのだ。

関連のっこ&京平
花・月・人」守屋里衣奈 編曲は高橋幸宏


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2 コメント

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こんにちは。 (まばたき)
2012-06-03 19:52:45
いつも楽しく拝見しております。「CRYING ON MONDAY 」、良い曲です。 初めて聴いたとき、 終盤の畳みかけるような絶叫歌唱に、驚きを通り越して笑ってしまった記憶が。大好きですけどね、いまでも。のっこさんはNOKKO表記時代がいちばん良い仕事をしてたような気がします。
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Unknown (nakamura8cm)
2012-06-04 17:58:18
この8㎝、今回改めて聴いてテンションの高さに圧倒されました。結構売れたシングルだから「CRYING ON MONDAY」もみんな聴いてるかな?うん、確かにこの絶叫は笑いますね。ウゴルーで見た記憶がないのですが。
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