失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「赤い華」 錦城薫 1988年

2014-01-21 | 
錦城薫(きんじょうかおる)のたぶんコンプリート8㎝ディスコグラフィー。

沖縄出身ということ以外にWEB上にろくな情報がない、謎に包まれた女性SSW。

それぞれのシングルを収録したアルバム『avena』(1988)、『ES』(1989)が存在する。


左、おそらくデビューシングル「赤い華」。

①赤い華 テレビ朝日系木曜ドラマ「避暑地の猫」エンディング・テーマ
作詞・作曲:錦城薫、編曲:木村守、山際築
戸川純「諦念プシガンガ」(1984)ぽい呪術系リズムが印象的な傑作。抒情性とほどよい緊張が融合したメロディが美しく、錦城さんの硬質なハイトーンヴォイスが曲の世界観にぴったり。自作だからってなかなかこのレベルでフィットはしないよ。「ごめんね 遠い瞳をして 次の風を 待つあなたを このまま 闇に堕として ニ度と帰さない」ドラマのコンセプトに沿ったものだったのか知らないが、歌詞はひんやりサイコホラー系。「GONSHAN GONSHAN」のリフレインが耳に残るサビも秀逸。ちなみにGONSHANは、北原白秋の「曼珠沙華」に出てくる。柳川の方言で「良家のお嬢さん」という意味らしい。歌詞では直接は触れられていないが、赤い華=曼珠沙華(彼岸花)であることを示している。

②Baroque
作詞・作曲:錦城薫、編曲:木村守、山際築
こちらもハイレベル。間奏のスパニッシュなギター&弦が効いてる。錦城さんこの時点で二十歳そこそこだったはず。早熟のSSWとして業界期待の新人だったに違いない。

定価1000円、中古で100円。
ジャケはアルバム『avena』とほとんど同じ構図の別テイク。前景の波打つオブジェは葉っぱ?


右、きっと2ndシングル「CRONUS・CRONUS」。

①CRONUS・CRONUS クローノス クローノス
作詞・作曲:錦城薫、編曲:木村マモル
メタルなギターとドカドカうるさいドラム。「地球は何だと 宇宙はどうかと」なんて大づかみな歌詞は、だいぶ道に迷いこんだ雰囲気だな。デビューシングルより音域高めの設定で、ちょっと初期コシミハルみたいなテイストも感じられるが、攻撃的すぎるアレンジは錦城さんの個性と明らかにミスマッチ。うーんどうしちゃった錦城?

②My doll
作詞・作曲:錦城薫、編曲:木村マモル・錦城薫
こちらはゆったりダークなワルツ曲。

定価937円、中古で100円。
アルバム『ES』と同じ写真。ブルーバックで髪はカーリー。相変わらず美しいのだけど、イメチェン失敗ぽい。


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2 コメント

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錦城薫さんって・・ (よんよんっ)
2014-08-14 05:09:45
やっぱ謎に包まれているままなんですね?
2ndアルバムはコーラスでゲスト参加していた、平沢進、遠藤ミチロウのソロに携わっていた有名バンドどころのミュージシャンが参加して作成されました。
(といっても、当時ルースターズの下山淳しか知らなかったけど)
とあるサイトで、急に「赤い華」を思い出して、検索したけど何の情報もなし・・・

はぁ~
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Unknown (nakamura8cm)
2014-08-16 01:55:24
謎ですね~
一応Wikiありますが、「~という説もあるが定かではない。」なんて文章が載っている始末。

平沢進、遠藤ミチロウ…なるほどそういう人脈で「CRONUS・CRONUS」みたいな感じになっちゃったんですね。
情報ありがとうございます!
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