目の前の海に浮かぶ島々に、帳の降り来るとき、辺り一面をオレンジ色に染めて、明日の天気を約束してくれるように。
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外灯が灯るのを確かめて、胴長靴とアノラックで身を固めて、静かに海に立つ。肩に背負った二ひろ半の網に、気持を込める。 薄暗くなった海面に話しかけ、
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1*2*3*… …300と数えてのち、ぇい!ッやっ!と。沈む鉛を追いかけて、ゆっくりと張り、弛める。五つ数えて二つ引く。弛めては曳く、右と左に煽りながら、
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ゆっくりとたくる、下に抑えながら。時折、ゴツンごつんと当たりを確かめても、ニンマリしない。逸る心は、悪魔の誘いだから、最後のスカートに手を入れるまでは、安心できない。
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狙いはこれ!掌で小さかったが。30オーバーも捕れるから、油断禁物なのだ!
今日は、2度投網、試投満足で帰足軽やかであったのは、言うまでもない。