__若者は、昭和レトロな 「たぬきケーキ」 とか探してきて、掘り起こしては新しい魅力を付与したりしてくれているが、
最近の美人とゆーものは、どんなものなのか…… あの、日本ならではの美感に触れておきたい
(wikiより) >歌川国芳から月岡芳年、水野年方、鏑木清方、伊東深水と続く流れを「玄冶店(げんやだな)派」という。深水の門人には、徳永春穂、志村立美、白鳥映雪、岩田専太郎、立石春美、浜田台児、八幡白帆、高木義夫、水戸童、大竹五洋がいる。
[※ 「玄冶店」は、お江戸日本橋界隈の古い地名、歌川国芳がここに住まいしていた]
‥‥ 歌川国芳は、最近 「スカイツリー」 を予見して浮世絵に描いていることで話題になったが、私の贔屓は 鏑木清方ー伊東深水ー岩田専太郎 である
伊東深水は、女優・朝丘雪路の父御である以外あんまり知る処はないのだが……
弟弟子の 川瀬巴水 (スティーブ・ジョブズが愛蔵した風景版画家) にもぞっこんである
巴水は、鏑木清方のすすめで岡田三郎助にも師事しているので、ハイブリッドの感はある
あれが、「江戸情緒」 ってえもんだよね
あのお江戸の風景や風情に触れたくて、きっとひとは時代劇をみるんだよね、心の原郷〜懐かしさなんだと思う
これは、文学の主題でもあるね
ーなにをおいても、本朝一番の美人画、鏑木清方 『築地明石町』 (昭和2年) から観ていきやしょーか
【画像=鏑木清方 『築地明石町』 】
実に、小股の切れ上がった艶っぽいお姐さんですな ♪
[※ 小股って、整体では「足の親指と人差し指の間」を指すそーですな、つまり下駄の鼻緒が白足袋を鋭く裂いたよーにみえる、足指がきつく鼻緒に喰い込んでいる、しっかり足裏全体で地面をつかめるほどに足腰の発達した女を指すらしいです]
この御仁の描く、江戸~東京の成熟して粋な情感…
世の中が移り変わっても変わらぬものへの澄んだ眼差しには、小気味よい江戸情緒が脈々と生きています
市井のひとこまを掌に掬い取った『朝夕安居』なども、日本ならではの潤いに充ちてます
> ‥‥ 今度の(『築地明石町』)はしみじみいいと感じました。
何よりも実に優婉(ゆうえん)、清淑(せいしゅく)、いき、人がらな姿です。
それに、 胸のあたりに籠(こも)った優しさ、袖の情(なさけ)、肩のいろけ ……
いろけと云っても所謂(いわゆる)性的でない、色情というのと違う。
このいろけは、意気、人がらなどという事だの、たそがれ、朝ぼらけなどという事と一所(いっしょ)に、忘れた人が多いでしょう。…… (略)……
朝霧とともに嘸(さ)ぞしっとりとして、
あれならば、焼あとを歩いても褄(つま)はきれいに捌(さば)けましょう。…… (略)……
明石町の婦(おんな)の褄には、水際が立って居ましょう。
[※ 『鏡花随筆集』吉田昌志・編 岩波文庫-より]
‥‥ あの鏡花が大変なお気に入り様ですね、随分と泉鏡花作品の挿絵も手掛けましたから、お二人は昵懇なんですね
「健ちゃん(鏑木清方の本名)、上出来!」とゆータイトルで、あの鏡花がわざわざ讃辞をこめたこのエッセイを捧げたのです
洋画家の 岡田三郎助 『ダイヤモンドの女』も貼りましょー
新しい美人画って感じがします、この美少女の視線や風情はいまの世には望めない雰囲気があります
ポーラ文化研究所が発行されている、幕末〜明治の女性肖像写真なんか観ると、その気品の高さに驚愕するんだよね
関東大震災後、そして敗戦後、幾度も焼け野原と化した日本はいや東京は何か最も大切なもの、お江戸の神髄を失ったんでしょーな、きっと……
その土地の精華の第一は、勿論住んでいる人間ですが、第二はその人びとが造り上げた街の風景なのです
この御二方(和の鏑木と洋の岡田)の薫陶をうけた川瀬巴水は、残念ながら美人画をものする事はありませんでしたが、抒情ただよう景色に溶け込んでいる女性はいかにも美人のよーな気はします
清方の孫弟子・岩田専太郎は、浅草生れで浮世絵の伝統を継ぐだけに、専太郎好みの着物まで作っておられる粋人で江戸っ子の嗜みも深く、時代小説の挿絵には閨房の香気ただようしどけない風情がよく滲み出ていました
どこか外国人ぽい顔立ちなのは、青森や秋田はユダヤ系やらロシア系の混血が多いよーに、意外にシルクロード経由でイラン系とか入って来ていて、帰化した渡来人が多いことを踏まえてのものなのか……
意外と西洋的とゆーか、アーリア人系の顔立ちも、本朝美人画には見受けられる、実際異国風の先祖返りした風貌もあらわれたものと見ゆる、平清盛の娘は天然パーマの髪だったし、皇室にもユダヤ系の血が入っておられた
【画像=岩田専太郎の木版画、しとどに滴る後れ襟の色氣とでも申しましょーか、溜め息が漏れる】
週刊新潮に、大ヒット連載された「眠狂四郎」シリーズの柴田錬三郎も、岩田の画力を高く尊敬されていました
柴錬のエッセイ集『どうでもいい事ばかり』では、実にシュールな冴えた眠狂四郎の挿絵を画いておられます
【画像=柴田錬三郎『どうでもいい事ばかり』の挿絵より、下絵は岩田専太郎の描く宮本武蔵】
侍や浪人って、佇まいを描くのは存外に難しいものです、「二本差し」 って重くて左半身が発達するんですね
岩田専太郎には、高雅な品格があるんですよ、色の匂いも自然と立ち昇ります
「和製ビアズリー」なんて云ってほしくはないけれど、隠しようがない妖艶さに悪魔的な筆力を感じます
谷崎潤一郎『痴人の愛』のナオミの、ドSなドッグスタイルの挿絵も刺激的だったが、三島由紀夫や吉川英治はじめ、数多の作家の挿絵を手掛けた凄腕の画家で、6万点くらいは画いておられるのだとか……
そんな、爛熟したお江戸の元禄文化を身につけて、入神の域に達する職人芸で、すぐれて風情のある浮世絵を画いた絵師たちが、精魂込めて描きたくなる日本人が実際にいたとゆーことに感動いたします
江戸情緒とは、すなわち江戸っ子に心揺さぶる魅力があったとゆーことに他なりませんから
ーさいごに、最近気になった和服美人をおひとかた……
ちょくちょく時代劇でもお見かけするのだが、楚々たる裾さばきで歩みをすすめる風情に、日本婦女子の品格が漂う女優・村岡希美さん……
【画像= auの CM で、 「意識高すぎ」 高杉くんのお母上を演じられた村岡希美女史、上品でメガネ美人でもありますなあ、いや〜お美しい ♪ シャキシャキした声音も心地よいです、「 au PAY で ⛩ 」】
_________玉の海草
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