ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

12月16日。レゴブロック

2020-12-16 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月16日。レゴブロックで作った人形で反政府デモ集会のようすを再現。人形たちがプラカードを持っています。これをミンスク市内の広場に置いて画像撮影。そのまま置いていると没収、廃棄されるので、別の場所に持って行って撮影。集めた画像をネット上に上げて反政府活動をしています。

 

 2008年ミス・ベラルーシに選ばれたヒジンコワさんがストッキングの包装使われているモデルになっていますが、そのストッキングをはいて、ストッキングの包装といっしょに自分の足を撮影。それをネット上に上げて、「早くヒジンコワさんを釈放せよ。」と多くの女性が訴えています。ストッキングをはいた足の画像だらけです。顔は写っていないので、逮捕するのは難しいでしょう。

 ヒジンコワさんをストッキングの宣伝モデルにしている会社「コンテ」は「もうすぐヒジンコワをモデルから外して他のモデル(政府支持派)にするらしい。」という巷の噂を否定しました。(今ヒジンコワさんの写真がついたストッキングは売れているし・・・。私の近所の店ではヒジンコワさんの顔部分に値札を貼る、といったひどいことはしていませんでした。)

 

 すでに拘留中の反政府ブロガーが刑期が延長されたのに反対してハンストを始めました。その人の妻は逮捕されているわけではないのですが、夫といっしょにハンストを始めました。

 

 ベラルーシ野党はベルギーのヨーロッパ議会からサハロフ賞を授与されました。

 

 ベラルーシ大統領は、「治安部隊員が最後の一人になっても反政府派と戦う。」と宣言しました。

 

 スイスの大学が情報工学を専門としているベラルーシ人の大学生か大学院生を学費無料で受け入れると発表しました。こうして優秀なベラルーシ人はどんどん外国へ移住してしまいます。

 

 新年に時刻が変わるときにミンスク各地で花火が打ち上げられます。例年通り打ち上げられる予定ですが、それを見ようと大勢の人が真夜中に広場に集まります。はっきり言って今年はコロナウイルス感染リスクがあるし、このように人が大勢集まって、そこで反政府デモ集会につながるおそれがあるので、中止にすればいいのに、と私は思います。

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者16万5897人。死者数1291人

2020-12-16 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月16日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は165897人になりました。1日の新規感染者数は1838人です。少し減りました。しかし毎日一喜一憂の日々です。

 死者数は1291人です。

 143393人が回復しました。

 365万件の検査数となりました。

 

 ベラルーシの小中高校はあと一週間ほどで冬休みです。学校閉鎖や遠隔学習などに移行せず、そのまま冬休みまで何とかもたそうとしています。 

 

 在ベラルーシ日本大使館勤務の職員1名がコロナウイルスに感染したことが今日明らかになりました。

 この職員が日本人なのかベラルーシ人なのか分かりませんが、日本人だとするとベラルーシに住んでいる日本人でコロナウイルス感染者第1号となりますね。

 大使館に来館する際には予約し、検温しなくてはいけなくなりました。(緊急を要する場合は予約は不要だそうです。)

 


12月15日。雪だるま

2020-12-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月15日、気温は上がり、雪や氷がとけかかっています。それでも雪だるまを作り、一部を赤く塗ってそれを撮影してネット上に画像を上げる形の反政府デモ活動が続いています。

 87歳の元射撃ソ連チャンピオン、ブラソワさんは自宅ベランダに白赤白の旗を吊るしていた罪により逮捕され、今日罰金刑が言い渡されました。

 ブラソワさんは第二次世界大戦中、ナチスドイツに殺されそうになった経験の持ち主です。

 しかし現在ベラルーシ政府は白赤白の旗はファシストの旗としています。1991年から1995年までベラルーシの国旗だったのですが。

 ファシストに殺されかかった人がファシストの旗を自宅のベランダに吊るすでしょうか?

 ちなみに国営テレビは白赤白の旗がファシストの旗であるという政府の主張が正しいことをテーマにしたドキュメント番組を制作し、それを放映しています。

 きちんとベラルーシの歴史を学校で学んでいない世代もいます。戦後生まれですが、そういう条件に当てはまっている人が国営テレビで「この旗はファシストの旗ですよ。その証拠をドキュメントタッチのテレビ番組にしました。」と言われて視聴してみたら、「ああ、そうなんだ。へえー。」と信じる人もいるんですよ。

 さらには公立の学校で教師が「これはファシストの旗です。」と小学校低学年の子どもに「お話」しています。

 こうして、過去の国の歴史が都合のいいように解釈され、新しい歴史が生み出されます。混乱する人も出てきます。新しく作られた歴史が正しいと信じてしまう人もいます。

 ベラルーシ人の分断がますます続くでしょう。

 

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者16万4059人。死者数1282人

2020-12-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月15日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は164059人になりました。1日の新規感染者数は1911人です。また1900人台に戻ってしまいました・・・。

 死者数は1282人です。

 141443人が回復しました。

 

 ミンスク言語学大学5年生の21歳男子学生がコロナウイルスのため亡くなったと報道がありました。この学生は夏に腫瘍が見つかっており、そこへコロナウイルスに感染したため、重症化したようです。


ベラルーシのコロナウイルス感染者16万2148人。死者数1273人

2020-12-14 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月14日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は162148人になりました。1日の新規感染者数は1853人です。少し減りました。このまま減り続けてほしいところです。

 死者数は1273人です。1日の新規死者数は10人で初めて二桁になりました。

 139785人が回復しました。

 362万件を超える検査数となりました。

 

 ベラルーシ保健省は今がベラルーシの第二波のピークであると発表しました。

 第1波と同じくこのピークの状態がしばらく続いて減少に転じるというパターンになると思います。一気に減少に転じてほしいのですが・・・。

 来年には第三波が来るという予想で、マスク着用義務(しかし罰則なし)は数ヶ月続くとも保健省は発表しています。

 他の病気も流行る季節なので、マスク着用を冬の間は続けるほうがいいと思いますが、あごマスク、鼻マスクなどちゃんと着用していないベラルーシ人が多いです。


12月14日、旗を持ってスケート

2020-12-14 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 凍結した川の上を白赤白の旗を持ってスケートで滑走する女性の動画が土曜日、ネット上に投稿されました。それを見た人たちの間で、同じように近くの川や池で旗を持ってスケートで滑る様子を動画に撮り、ネットに上げるのが流行り始めました。

 すると凍った水上に出ることが禁止されました。

 

 今日もミンスク市内では高齢者の反政府デモ行進が始まりました。そして再び身柄拘束が始まりました。

 

 ベラルーシでは人々の不満の声を鎮めるためでしょうか、年金の引き上げや、来月から公務員の給料引き上げ、コロナウイルス患者関連の医療従事者へのボーナス支給などの対策が次々と打ち出されています。

 しかし交通公共料金の値上げ、鉄道料金の値上げ、電話料金の値上げが決定し、インフレも続いています。また育児休暇の短縮が来年から実施されるそうで、3年も育児休暇など取らず、早く職場に復帰(人出不足解消と税収を上げるため)しなさい、ということになりそうです。

 ベラルーシはもともと専業主婦が非常に少ないです。仕事をしている女性の率は70%です。残りの30%の中に年金生活者と産休・育休中の女性が入るので、専業主婦がいかに少ないか分かります。さらに、日本でも有名になったベラルーシのニート禁止令(無職の人は生活保護を受けるのではなく、逆に罰金、つまり税金を払えという法律)に専業主婦も適用されるので、どうしても専業主婦がしたい(夫の収入だけで生活したいし、できる。絶対働きに出たくない)という女性は罰金を払わないといけません。

 というわけで働いている女性が大勢いるので、保育園や幼稚園を充実させないといけないのですが、もちろん国が主導。私立幼稚園はごく少数です。

 育休期間短縮が実施されると、保育園や幼稚園が不足して、結局問題になってしまうかもしれません。政府としては試算して大丈夫と思ったから、このような法律改定に踏み切るようですね。

 

 12月に入り、ミンスク市内の広場にはクリスマスツリーが立てられています。その周りに反政府デモ集会参加者が集まり、さらにその周りを治安部隊が包囲しています。

 


12月13日、地下鉄が閉鎖されなかった日曜日

2020-12-13 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月13日、毎週日曜日になると地下鉄の駅が部分的に閉鎖されるという事態が大統領選挙後ずっと続いていたのですが、今日やっと日曜日なのに地下鉄が全く閉鎖されませんでした。

 街の中心部を行進するデモがなくなり、最近は地区ごと団地ごとのデモ集会に分散されるようになったからです。

 やれやれ、これで日曜日の日本語の授業の出席率も上がるかと思って喜んでいたのですが、実際には欠席者が多かったです。理由は病欠が最近増えているから。(コロナだけでのせいではありませんが。)そしてやっぱり授業に行こうと思って、家から出たら、デモ行進の列とそこへやってくる治安部隊の群れがいるので、怖くて近寄ることすらためらわれ、家に引き返す人が多いのです。

 

 そして結局今日も300人が拘束されました。

 人気歌手のマックス・コルジュも自宅の前で拘束。10月にデモ参加者のようすを撮影し、新曲のPVを作成したのが、今になって身柄拘束の理由になったようです。

 今度はファンが、身柄解放を求めるデモ集会を繰り広げるでしょう。こうして拘束すればするほど、その関係者たちが抗議の声を上げるためにデモ集会を起こし、その中で誰かが拘束されると、またその人を解放するよう要求するデモが起こり・・・というふうにきりがありません。

 

 ベラルーシの治安部隊がやって来ない外国の各都市でベラルーシの反政府デモ活動を支持するデモが行われており、その様子がネットで閲覧できるようになっています。

 

 反政府デモ参加者を追いかける治安部隊員が、凍結した路上で滑って転んでも、そのようすが動画になってネット上にさらされます。

 外が寒くなってきたので、これからはネット上での動画や画像やスローガンの応酬になっていくでしょう。

 

 

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者16万295人。死者数1263人。

2020-12-13 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月13日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は160295人になりました。とうとう16万人台です・・・。1日の新規感染者数は1961人です。わずかに減りましたが、1900人台のままです。

 死者数は1263人です。

 138464人が回復しました。

 360万件を超える検査数となりました。

 

 


12月13日付毎日新聞の記事から

2020-12-13 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 毎日新聞がベラルーシ野党幹部に行ったインタビューを中心にした記事です。

 ベラルーシの反体制派が日本に対して怒るわけ

「あなたの新聞を通して日本社会に問いたいことがある」。ルカシェンコ大統領(66)の6選が発表された、8月9日の大統領選の結果に対する抗議活動が続く旧ソ連のベラルーシ。選挙から3カ月がたったのを機に、抗議を主導する反体制派幹部の一人、パベル・ラトゥシコ元文化相(47)にインタビューした時のことだ。日本政府の対応に話題が及ぶと、険しい口調でこう迫られた。「日本社会は独裁政権を支持するのか」と。

 なぜベラルーシの反体制派の目に、日本が独裁政権を支持しているように映るのか。後述するように、最大の理由は日本の新任大使がルカシェンコ氏に信任状を奉呈したことにあるのだが、この問題を通して、遠く離れた東欧の小国を揺るがす政治危機の意味を考えてみたい。

 ◇やまぬ抗議活動と「軍事独裁」化するルカシェンコ政権

 1994年からルカシェンコ氏が強権政治を続けてきたベラルーシでは8月の大統領選後、多くの市民が選挙の不正を訴え、ルカシェンコ氏の退陣を求める抗議デモが続いている。政権側は治安部隊を使って強硬に取り締まっており、拘束者は人口約940万人に対して延べ約3万人に上ると言われている。それでも人々はルカシェンコ政権への抵抗の象徴である白赤白の旧国旗を掲げ、抗議の声を上げるのをやめない。「抗議に賛同する人の数はむしろ増えている」(政治評論家のカルバレビッチ氏)と指摘する専門家もいる。

 この抗議活動を主導する反体制派の団体「調整評議会」で幹部を務めるのが、ラトゥシコ氏だ。元々はルカシェンコ政権で駐ポーランド大使や駐仏大使などを歴任した外交官だった。しかし、8月の大統領選直後に俳優たちが治安当局の暴力に抗議してストを始めたことを支持し、国立劇場の館長職を解任された。その後、ルカシェンコ氏の退陣を求める反体制派に転じると、当局から拘束の脅しを受け、9月に隣国ポーランドへ脱出。現在は国外から抗議活動を支える理念的支柱になっている。

 「軍事独裁政権ができあがった」。インターネット電話「スカイプ」で取材に応じたラトゥシコ氏は今のベラルーシの状況を強く非難する。

 ルカシェンコ氏は政敵を弾圧する強権的な統治手法により、国際社会から「欧州最後の独裁者」と批判されてきた。一方、ソ連崩壊直後の混乱の中から国を立て直し、国民生活を向上させたことで国内では安定的な支持を維持していた。ただ、近年は最大の貿易相手国であるロシアの経済が原油価格の低迷や欧米の制裁で停滞し、その影響はベラルーシにも波及した。インターネットの発達とともにルカシェンコ氏に否定的な情報が広まり、国民の不満が高まっていた。

 危機感を募らせたルカシェンコ氏は政府高官に「シロビキ」と呼ばれる軍や治安機関の出身者を重用した。大統領選後に抗議活動が広まると、その傾向はさらに強まった。治安部隊がデモ参加者を集団で暴行したり、拘束者に性的暴行を含む拷問を行ったりする事例が相次いで報告されている。ラトゥシコ氏は「当局の暴力に対し、市民からはすでに2000件以上の告訴が出されたが、治安機関の職員が刑事責任を問われた事例は一つもない。これは事実上のファシスト体制だ」と話す。

 ◇ルカシェンコ「大統領」と握手した日本大使

 インタビューの中で、ラトゥシコ氏が「あなたたち(日本の国民)は正しいと思っているのか」と語気を強めた場面があった。11月3日に首都ミンスクで行われた信任状奉呈式についてのことである。信任状とは、新任の大使が任命を証明するために母国から持参し、駐在する国の元首に提出する外交文書だ。ベラルーシでは元首である大統領に提出される。3日の式典では日本の徳永博基・駐ベラルーシ大使がルカシェンコ氏に信任状を渡し、握手する様子が国営メディアで報じられた。

 在ベラルーシ大使館によると、徳永氏は2019年9月に特命全権大使に任命され、翌10月に当時の安倍内閣が信任状を閣議決定している。信任状の宛先はルカシェンコ氏となっていた。

 その後、新型コロナウイルスの感染拡大などのため奉呈式は延期され、10月下旬になってやっと開催が決まった。「外交儀礼上の原則に従って、あらかじめ定められた宛先であるルカシェンコ大統領に奉呈された」と大使館側は説明する。

 だが、ベラルーシ大統領府によると、徳永氏と共に奉呈式に参加したのは、バチカン、トルコ、イラン、シリア、ベネズエラ、そして北朝鮮の6カ国の大使。バチカンを除けば、いずれも独裁体制や強権的な統治を欧米から批判されてきた国々ばかりだ。この中にG7(主要7カ国)の一国である日本が参加するのは確かに違和感を覚えずにはいられない。

 在ベラルーシ大使館の担当者は「式典への参加を断った国があるかは分からない」と話すが、外交官出身のラトゥシコ氏は「本国での協議を理由に、大使を一時召還することもできたはず」と日本政府の対応に疑問を投げかける。そしてこう続けた。「世界の主要国の多くは、不正な選挙に基づくルカシェンコ氏の6期目の大統領就任の正当性を認めていない。もはや大統領ではない人物に信任状を奉呈するとはどういうことなのか」

 ◇「暴力停止」や「民主主義の順守」は求めるが…

 日本政府もベラルーシで続く政治危機に何の対応もしてこなかったわけではない。外務省は大統領選直後から4度にわたり報道官談話を出し、ベラルーシの当局に市民への暴力を停止することや民主主義の原則を順守することを呼びかけてきた。ルカシェンコ氏が9月23日に6期目の大統領就任式を強行した直後には遺憾の意も表明、ベラルーシ当局に力による弾圧を停止し、国民との対話に取り組むことを改めて求めた。こうした立場は奉呈式で徳永氏からルカシェンコ氏に直接伝えられたという。

 ただ、日本政府は、現在のルカシェンコ氏に大統領としての正当性を認めるかどうかの判断は避けている。複数の日本の外交関係者に意見を聞いたが、そのうちの一人は「選挙に不正があったとは思うが、それが選挙結果をひっくり返すほどの規模だったのか、確証が得られないからだ」と苦しい胸の内を漏らした。

 過去のベラルーシ大統領選では、日本がオブザーバー国として参加する全欧安保協力機構(OSCE)の国際選挙監視団に日本人の選挙監視員を派遣してきた。だが、今回の大統領選ではベラルーシ政府が直前まで国外からの監視団へ招待状を出さなかった。OSCEは準備の時間が足りないことを理由に監視団の派遣を断念し、日本も監視員を送り込めなかった。外交関係者は「今回は選挙の不正を自分の『目』で確認できなかった」と振り返る。

 日本が判断を避ける背景には、ルカシェンコ政権に対する欧米諸国との温度差もありそうだ。ベラルーシと地理的に近い欧州ではこれまでもルカシェンコ政権による政敵の弾圧や人権侵害に神経をとがらせ、制裁などの措置をとってきた。今回もベラルーシと国境を接するリトアニアやポーランドが母国を脱出した反体制派の活動家を受け入れ、ルカシェンコ政権に対する圧力を強めるよう他の欧州連合(EU)加盟国に呼びかけている。米国も06年から選挙の不正などを理由にルカシェンコ政権への制裁措置を続けてきた。欧州とロシアの間に位置するベラルーシは欧米とロシアの角逐の場の一つであり、ルカシェンコ政権への圧力には後ろ盾となっているロシアへのけん制の意味も込められているだろう。

 一方、外務省によると、日本のベラルーシに対する貿易額は輸出額が18年で約30億円、輸入は約20億円程度にとどまる。在留邦人は6月時点でわずか53人しかおらず、徳永氏の就任まではベラルーシに常駐の大使もいなかった。

 ベラルーシが最大の被害国となった86年のチェルノブイリ原発事故では、日本が医療支援などに取り組んだ。11年の東京電力福島第1原発事故では、ベラルーシが廃炉や復興に向けた技術支援を行ったものの、日本とベラルーシの関係は欧米よりも薄い。

 また、日本はロシアと平和条約締結や領土問題解決のための交渉を続けている。対露けん制の意味を込めてベラルーシへの圧力を強める欧米諸国とは距離を取り、ルカシェンコ政権の正統性に関して判断を避けた方が日本の国益に沿うという判断もあったのかもしれない。

 ◇大統領選に不正はあったのか  

 ベラルーシの中央選挙管理委員会は、8月の大統領選でルカシェンコ氏が80・1%の得票率で圧勝したと発表した。だが、選挙戦では、逮捕された映像ブロガーの夫の代わりに出馬し、「当選から半年後に改めて公正な選挙を実施する」と訴えた主婦のチハノフスカヤ氏(38)が数万人規模の集会を開くほど熱狂的な支持を得ていた。

 チハノフスカヤ氏は独自に入手した一部の投票所の投票結果などを基に「6~7割の票を獲得した」と訴え、自身の当選を主張している。地元の独立系メディアも、選管幹部が選挙結果の改ざんを指示するような音声や、投票所で票数の総計を記載する報告書が書き換えられたという選管職員の証言などを報じ、大規模な不正が行われた可能性を指摘している。

 ルカシェンコ政権の後ろ盾となっているロシアの政権寄りのメディアの中には、ルカシェンコ氏が国営企業の職員らを動員して5割強の支持を得たと推計する報道もある。日本の外交関係者が指摘する通り、選挙結果の真相が「やぶの中」にあるのは確かだ。

 興味深いデータもある。英王立国際問題研究所(チャタムハウス)が9月下旬にベラルーシ国民約900人に行った世論調査結果では、ルカシェンコ氏を積極的に支持する集団は23・1%にとどまり、7割以上が選挙で不正があったと回答した。大統領選の投票先についてもルカシェンコ氏と答えた人は20・6%にとどまり、チハノフスカヤ氏と回答した人は52・2%と半数を超えた。同研究所は「誤差を考慮しても、チハノフスカヤ氏が最初の投票で過半数を得たか、上位2人による決選投票で勝利するのに必要な支持を得ていた可能性が高い」と結論づけている。

 ◇危機は長期化の様相、対応を問われる日本

 冒頭でも述べた通り、ベラルーシではルカシェンコ政権が抗議活動への弾圧を強化しているにもかかわらず、多くの国民が街頭でルカシェンコ氏の退陣を求め続けている。こうした声の高まりを受け、ルカシェンコ氏は大統領の権限の一部を他の政府機関や議会に移譲する憲法改正を行った後、改めて大統領選を行う考えを示している。

 ただ、肝心の改憲案は一向に明らかにされず、治安機関の忠誠を頼りとした強硬姿勢を変える兆しはない。10月に毎日新聞の取材に応じたベラルーシの政治評論家、シュライブマン氏は「ルカシェンコ氏は国民の大多数から支持を失っている。権力にとどまり続ける限り、危機と隣り合わせの状況が続くだろう」とみる。

 日本の外交関係者の中には「ルカシェンコ氏の正当性を否定して対話の道を閉ざすよりも、こちらの懸念を伝え続けるチャンネルを残した方が良い」という声もある。ただ、ルカシェンコ政権の市民への弾圧を批判してきた欧州諸国は、今後も制裁の拡大などで圧力を強化するとみられている。米国も人権や民主主義の原則を重視するバイデン次期大統領が就任すれば、ルカシェンコ政権に対して、より強硬な姿勢で臨む可能性が高い。同じ民主主義国として、日本の態度が問われる局面はこれからもやってくるだろう。

 ◇「自由を愛する」日本国民にベラルーシ反体制派が求めること

 ラトゥシコ氏はインタビューの中で、軍部の独走を許し、対米開戦に踏み切った日本が太平洋戦争で経験した敗北を「悲劇」と言及した。その上で、「我々は今の日本人が自由を愛し、人権や道徳的価値を評価する国民であることを知っている」と指摘し、こう訴えた。「それなのにあなたたちは、同じ価値観を求めているベラルーシの国民を支持するのではなく、小銃を片手にデモ参加者を脅かす軍事独裁者を支持するのだろうか」

 地理的にも文化的にも近い香港などの抗議活動に比べれば、ベラルーシへの注目度は日本ではどうしても低くなってしまう。しかし、この国では今、民主主義や人権といった戦後日本を支えてきた価値観を巡って、人々が闘い続けている。

 ラトゥシコ氏は「日本政府はもっと明確で、一貫した立場を取るべきだ」と呼びかけ、21年開催予定の東京オリンピックの開会式などにルカシェンコ氏が出席する可能性にも触れた。ルカシェンコ氏は、98年の長野五輪の際に日本を非公式で訪問している。ラトゥシコ氏は「五輪に出席したルカシェンコ氏に、日本の人々が頭を下げるところをベラルーシの国民に見せないでほしい」と述べ、東京五輪への出席を容認しないよう求めた。

 我々はどういう態度を取るべきだろうか。東欧の小国で問われている問題は決して日本の国民にとってもひとごとではない。【モスクワ支局長・前谷宏】

 


12月12日、氷上のデモ行進

2020-12-12 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月12日、ベラルーシ各地で溶けた雪が夜間、気温が下がって氷になり道路がつるつるに凍っています。

 スリップ事故や転倒事故が増えていますが、それでもデモ行進が続いています。

 政府支持派は車に国旗をつけて、車列でミンスクからジョージノまで行進しました。

 反政府派も足元が悪くても臆することなくデモ集会をしています。人が大勢集まらないようにするためなのか、滑り止めの砂がまかれていないところもあります。いつも反政府デモ集会がよく行われていたところです。

 

 家のベランダに白赤白の旗をぶら下げていた87歳の女性が、裁判にかけられることになりました。この女性、エリザベータ・ブルソワさんは第二次世界大戦中、ナチスにより命を落としかけるような危険な目にあったのですが、何とか生き延びることができました。その後射撃の選手にになり、当時のソ連最高記録を塗り替えたチャンピオンになりました。もう87歳の高齢なのに、犯罪者になってしまうのでしょうか。罰金刑だけですんでほしいです。

 

 個人所有の一軒家の屋根に家の持ち主が白赤白の旗を立てたため、裁判にかけられることになりました。

 

 広告掲示板はふつう、企業が商品の広告を出すものですが、それが国旗になっているところがあります。

 

 国境がほとんど封鎖されているため、輸入品がベラルーシになかなか入ってこない状況が続いています。商品によってはもう全く輸入されなくなったものもあります。

 

 とにかく寒かろうが足元が悪かろうが、反政府デモ活動は続いています。

 池や川に旗が流され、落書きを消してもまたその上に書かれ、「正義のジャーナリストを解放せよ」というポスターが人通りの多いところに貼られ、消しても剥がしても没収しても、きりがありません。文字どおりいたちごっこ、モグラ叩きがもう四ヶ月以上続いています。

 

12月7日に投稿した記事で書きましたが、スイス国籍の女性が反政府デモに参加し、治安部隊の覆面を破ったという罪で2年半の更生施設(刑務所の一種)入りの判決が出たことを受けて、中立的立場を取ることが多いスイスがベラルーシ大統領とその息子など高官合わせて15人に制裁を科しました。

 この15人がスイスの銀行に預けている隠し資産は全て凍結されました。当然スイスへの出入国はできません。

 スイスもEUの対ベラルーシ制裁の方針に協力する姿勢を明確に打ち出したということです。

 

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者15万8334人。死者数1254人。新規感染者数最多更新

2020-12-12 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月12日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は158334人になりました。1日の新規感染者数は1975人です。また新規感染者数の最多記録になりました・・・。

 死者数は1254人です。

 135922人が回復しました。

 

 ベラルーシは気温が下がったり上がったりしており、昨日は1日で166人が凍結した道などで転倒して病院に搬送されました。コロナウイルス感染者が増え、空いている病床も少なくなってきており、医療従事者の数も足りていないので、ますます病院など医療現場は大変です。急を要さないとみなされた外科手術はどんどん先送りになっています。

 

 


ベラルーシのコロナウイルス15万6359人。死者数1246人

2020-12-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月11日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は156359人になりました。1日の新規感染者数は、1967人です。また最多記録を更新しました・・・。

 死者数は1246人です。1日で8人増えました。これも多いほうです。

 133930人が回復しました。

 354万件を超える検査数となりました。

 

 今日ベラルーシ国営テレビBTは、

「大統領の的確な指示により、ベラルーシは世界で最初にコロナウイルス感染拡大に打ち勝った国となった。他の国はベラルーシを手本とし、追随しようとしている。」

と報道しました。


12月11日。民族大使館

2020-12-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月11日、民族大使館が発足しました。何ですかこれ?と思われた方が多いと思いますが、つまり、反現政権に対抗した「大使館」という名の組織で、実際には本当の大使館ではありません。

 世界中に散らばっているベラルーシ人で、現政権反対派の人が加入できる反政権組織です。

 今のところ14カ国が加盟しています。ウクライナ、リトアニア、スロベニア、チェコ、フィンランド、スウェーデン、アイルランド、スペイン、ドイツ、ポルトガル、フランス、イギリス、ブラジル、韓国です。

 これらの国に住んでいるベラルーシ人が民族大使館の「館員」になれて、さまざまな交流(反政権活動)ができるようになるということです。

 韓国は入っていますが、日本は入ってないので、日本に住んでいるベラルーシ人は民族大使館での活動に参加できません。

 ベラルーシ国内で反政府デモ活動をするだけではなく、国外に住んでいるベラルーシ人でも反政府活動を行なって、攻めていこうという戦略ですね。

 どれだけ効果があるのかは分かりません。

 一方、以下の状況を知ると驚く日本人が多いのではないでしょうか。ベラルーシの人口は950万人です。しかし、ベラルーシ以外の国に住んでいるベラルーシ人は400万人はいると言われているのです。「ベラルーシに住んでいないベラルーシ人の会」がちゃんと存在していて、その会の会長さんから聞いた話です。

 地球上のベラルーシ人のうち3人に1人はベラルーシに住んでいないということになります。さらに今年は特に若い世代のベラルーシ人が国外に大量流出が始まったので、ますますベラルーシに住んでいないベラルーシ人が増えていくでしょう。

 ちなみに日本に住んでいない日本人の数は約130万人です。東日本大震災前は100万人で、2011年に103万人に増えました。当時、3パーセント増えた数字に対して「急増したが震災や原発事故の影響か?」などと分析されていたのです。それが2020年の今は約130万人です。どうしてでしょうか?

 一方で日本に住んでいない日本人が増えたと言っても、人口が1億人以上いるのですから、日本に住んでいる日本人が圧倒的に多いです。それと比べると3人に1人が母国に住んでいないというベラルーシ人をめぐる状況は、日本人には想像しづらいのではないでしょうか。ですから前述の民族大使館創立は実は大きな意味があるかもしれません。

 

 今日、刑期を終えて、出所する予定だった2008年ミス。ベラルーシのヒジンコワさんがなぜか釈放されませんでした。刑務所の前で家族や支援者の人々が待ち構えていたのですが。

 

 


12月10日、旗の上の砂

2020-12-10 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月10日、白赤白の旗をマンションの屋上に上げる人、池や川に流して氷の中で固める人、白と赤の傘を持ってデモ行進する人がいなくなることは今日もありませんでした。

 氷の中の旗を取り出すために氷を割るのは、回収する人が水中に落ちる可能性があるので、旗の見えるあたりの氷の上に砂をまいて隠しています。

 消しても消しても反政府スローガンや白赤白の旗の絵が上から描かれます。

 

 ブレストの姉妹都市、オランダのクーバーデンの市長が白赤白の旗を掲揚し、ブレスト市長宛に心配をしているという手紙を書きました。

 日本の都市でベラルーシ国内の都市と姉妹都市提携をしている都市は仙台市だけです。仙台市はこのようなことはしないでしょうね。

 ベラルーシのアルファ銀行のロゴマークは赤地に白で「A」という文字だったのですが、今日赤字が紫色に変更されました。

 

 人権擁護団体が2020年のジャーナリスト賞受賞者3名を発表しました。3人とも現在服役中です。 

 

 12月20日からベラルーシ人は陸路での出国が禁止されます。外国人、つまり日本人はこれに当てはまりません。また空路による出入国はできます。コロナウイルス感染拡大対策の一つと発表しています。

 追記です。12月21日から外国人も陸路でのベラルーシ出国はできなくなります。日本人のほとんどが空路で出入国しているので、このような禁止措置はあまり関係がありませんが。

 また空路で入国する際も、6歳以上の場合、コロナウイルスに感染していないことを証明する書類(検査の陰性結果)を提出しなくてはいけません。今、ベラルーシに入国したいと思っている日本人もほとんどいないと思われますが、ここに書いておきます。

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者15万4392人。死者数1238人。新規感染者数1900人台

2020-12-10 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 12月10日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は154392人になりました。1日の新規感染者数は1939人です。最多記録を更新しました・・・。1900人台です。

 死者数は1238人です。

 132085人が回復しました。

 351万件を超える検査数となりました。

 

 やはりマスク着用が徹底していません。罰則もないから強制もできないです。いつ第二波が収束するのか分からなくなってきました。

 これから気温も下がってコロナ以外のインフルエンザも流行する時期に入るので、医療崩壊が起きないか心配です。