ちょっと前の作品ですが、村上もとかさんの漫画で
JIN-仁- という作品があります。
現代の脳外科医が、江戸時代(末期)にタイムスリップするというものです。
一つ忘れられないシーンが有って、
瘡毒(梅毒)に罹患していて死に瀕している女郎さんが、
菰にくるまれて船で流されている。
それを見た、主人公は手を差し伸べようとします。
女性は、どなた様存じませんが、堪忍してくださいましと言って、
主人公の手を拒絶するのです。そして船は流れてゆくのです。
私には、この女性の哀しみと手を拒絶した気持ちがわかるような気がします。
手を掴んでくださいと言ってくれる人がいるのは幸せです。
毎日、ピアノを練習するのですが、見えないものを。と思っています。
見えているものは消えてしまうでしょう。
本当に価値のあるものは見えないものだとよく思います。
私は写真とか、自分の写真は撮らないです。
(強く請われば別ですが)。
他人の写真、人物画像を見ても、その写真にあまり愛着はありません。
私はその人の心を思い出すのに、その人の愛を思い出すだけです。
例えば私が眼が見えなくなったとしても、その写真が無くなったとしても、
その人が亡くなったとしても、亡くなっていたとしても、
その人の心や行いが私の心に残っていれば良いと思っています。
仏像や聖像やそれに準ずるような絵画もありますが、
像や絵に対して願うのではなく、
描かれている心に対して願うのが良いのかもしれません。
ただ、時々思い出してほしいといって、写真をくださる方がいれば
心からありがたく頂こうとは思います。