日曜絵かきの散歩道 “doucement,doucement”

日曜絵かきは楽しくて孤独 青空に誘われてつい散歩に
“ドゥスモン、ドゥスモン(ゆっくり、ゆっくり)”

カミーユ その4

2020年01月22日 | 
最初にこのタイトルで書いたから
最後までこれで…

そもそも
ヴェルーヴェン警部の名前が
"カミーユ"でなかったら
きっとこの一連の小説を
読むこともなかったと思うし

ピエール・ルメートル著
カミーユ警部シリーズの番外編
最新作にして最終作
『わが母なるロージー』を読んだ


カミーユ警部3部作に
この番外編を挟み込むと
こうなる

『悲しみのイレーヌ』
『その女アレックス』
『わが母なるロージー』
『傷だらけのカミーユ』

『傷だらけ…』で
カミーユの恋人アンヌは
えらい目に遭い
その正体も明かされるわけだけど
『わが母…』では
カミーユとアンヌは
まだただアツアツのカップル

カミーユが
爆破事件に対処しながら
合間にやり取りするメールが
またアツくて
こっちがこっぱずかしくなる



いやそんなことは
どうでもよくて
"母"と言えば真っ先に
画家だったカミーユの母親
モー・ヴェルーヴェンが
思い浮かんだ

自分を身長145cmの大人にした
ヘビースモーカーの母親に対して
複雑な思いを抱き続けてきた
カミーユ

だから今回
その思いに決着をつけるものと思ったら
別の男が
母親との関係に決着をつけた

原題にもあるジョン(自称ジャン)
そしてその母親が
ロージー



思えばカミーユは
『傷だらけ…』の最後に
母への思いに答えを出してた

森の中の
かつての母のアトリエは
最愛の妻が殺された場所でもあるが
今は住居として改築され
カミーユの別宅となってる

その家を
カミーユは好きだと言った
母を許し
愛してるってことだなと思った

モー&カミーユ



『わが母なるロージー』の序文によると
この小説は
第一次世界大戦を舞台とした
『天国でまた会おう』から
派生して出来たような作品らしい



そして本編後の解説によると
ルメートル氏は
カミーユ警部シリーズは
もう書かないと言っているらしい

そのせいかどうか
いつもの残虐な描写は
なりをひそめ
ある意味静かに
でもサスペンスフルに
物語は進んだ

母と息子
一蓮托生のような関係が
明らかになる時
事件は意外な結末を迎える


ルイあってのカミーユ
と言ってもいいくらい
カミーユが信頼してる
若くて優秀
しかも男前な部下
ルイ・マリアーニ主役のスピンオフ
書いてほしいわぁ