新潟久紀ブログ版retrospective

ほのぼの愛車遍歴6「三菱・ランサーEX1400GL」(その1)

●三菱ランサーEX1400GL(その1)
◇◇◇三菱ランサーEX1400GL
 [昭和60年の春から平成元年春まで愛用し天寿を全うして廃車]◇◇◇

 昭和59年の初冬に最初の愛車を僅か半年たらずで非業の事故で廃車にして以来、私は冬の間中完全に塞ぎ込んでいた。深夜のMTVでドン・ヘンリー「Boys Of Summer」が流れた。ビーチリゾートで一夏限りで別れた女性を振っ切れない男の想いを綴るメランコリックな叙情詩が、深く積もる雪の中に引き籠もり、夏に愛車を駆って活き活きとしていた頃の事を思い返すばかりの自分に重なったものだ。
 それでも、車持ちの生活というのは、特に新潟のように間延びした田舎に暮らす中で一度味わってしまうと、どうしても戻りたくて仕方がなくなるものだ。なので、友人との遊興からは一切手を引いていた一方で、再び愛車を手に入れるためのバイトは、むしろスケジュールを詰めに詰めたものだ。
 中古車の出物というのは買い換えの多くなる年度末前後の春先に見つかるようで、流通量も多くなるので値頃感のあるものも出てくる。その期を逃すまいと2月早々になると、初代愛車と同様に中古車を含む自動車販売も手掛ける中小企業に勤めていた父親に中古車の調達をお願いした。
 前回同様に、預けた頭金は少額でしかなかったので、車種や形式などの希望は言える由も無い。それに、私はクーペとかスポーツタイプとかにこだわりが無かったし、最初の愛車であったトヨタ・カリーナを通じて使い勝手の良さを知った"おじさんくさいセダンタイプの車"にも好感を持っていたので、アシになりさえすれば何でも来いという気持ちだった。
 果たして、またも春休みに柏崎市の実家に帰省すると、母親から車が来ているとの声掛けを受けて車庫へ。錆びたシャッターのきしみ音を抑えるように少しずつ"ご開帳"すると、眼下になにやらのっぺりした明るい色の車体が。
 それが、二台目の愛車となる三菱ランサーEX1400GLとの初対面だった。シャッターが開ききると、明るい色はクリーム色というより肌色という感じて、決して20歳男子から見てカッコのいいものではない。
 それでもそんなことは二の次にさせるように息をのませたのが外形のデザインだ。全てを定規で線引きしたような直線で構成されたエクステリア。ヘッドライトも角形2灯。テールランプもヘッドライトとウインカーのコンビネーションとほぼ同じような形でブレーキランプとウインカーが配されている。前と後ろが対称的なのだ。丸形4灯で表情を持つようなフロントマスクと流れるようなテールラインを持っていた初代愛車のトヨタ・カリーナとは対極的なデザインで、正に無駄を排しきったといわんばかりの究極の直線美に私は度肝を抜かれた。
 丸や曲線の温かみや親しみではなく、そういったものを突き放したかのような直線によるドライでクールなデザインは、社会に揉まれる前の大学生として、気ままで身勝手な一人暮らしを謳歌する中で、次第に粋がって尖って見せたり表現しがちになっていた当時の自分の感性に何かマッチしたようだった。親を介してくじ引きのように偶然に得た車ではあったが即時に気に入ったのだ。
 初見でダサく見えた車体の"肌色"でさえ、「言いようによってはキャメルだな」と思わせるほどに…。



(「ほのぼの愛車遍歴6「三菱・ランサーEX1400GL」(その1)」終わり。「ほのぼの愛車遍歴7「三菱・ランサーEX1400GL」(その2)」に続きます。)
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コメント一覧

niigatahisanori
コメントありがとうございます。
直線的なデザインでも古びず魅力的なものってありますよね。
dankainogenki
古くなっても、新品同様ネ。
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