●燕・弥彦地域定住自立圏共生ビジョン
出向での市役所勤務を始めてから業務で燕市内に出かけたりすると、まじまじと市民生活を見るようになったのだが、住民の生活支援施策の一つである広域バスやオンデマンドタクシーが、市のゆるキャラである「きららん」を描いた車両の外観も合わせて目にとまった。低く定額単価でのサービス提供はさぞ市の財政負担になっているのだろうなあと思ったのだ。
ところが、年間数千万円に及ぶこうした公共交通政策経費について、市では上手に国から財源を得る手法を活用していた。それは国が推進する「定住自立圏構想」という制度に基づく取組に対する地方交付税措置だ。
人口減少や主要都市への人口集中等により、地方の中小都市は行政サービスの維持や充実に向けた体力が減少しているが、各々が単体ではまかないきれないような行政サービスを、近隣の市町村どうし圏域として協働したり補い合ったりして対処していくことで、住民の定住を促進し、引いては自治体としての自立の維持と発展につなげていこうというのが定住自立圏構想の策定とその取組の考え方だ。
国を挙げて進めた平成の大合併により、協働や連携で対処すべき行政課題は概ね包含される体になったのではないかと思っていたが、考えてみれば、特殊な自主財源を持つなど個別事情により町や村の規模であっても独立を続けている自治体があり、行政課題によっては近隣と手を取り合って進めざるを得ない事情はありそうだ。
燕市は隣接する人口規模にして10分の1程度と小さい弥彦村と組んで定住自立圏構想を策定していた。3市町で合併した燕市も基本的には独自で切り盛りできる体力があるはずなので、そこまでするのかとも思ったが、工場主体の街としてコンパクトにまとまる燕市においては、弥彦村の持つ弥彦神社といった全国区の観光資源活用の相乗効果を高めたいし、通勤通学などでの弥彦村との人の流れの太さなどから、一体的な行政サービスの提供が効果的効率的になるなどの利点があった。そして、なによりもこの制度に乗ることで、国の財源を活用できるという誘因が強いのだ。
かくして、燕市・弥彦村定住自立圏構想においては、相乗効果を高めたり補完し合えたりする施策がズラリと並び、それらの年次的な進捗計画と予定事業費が記されている。くだんの市と村を巡回する広域バスや、高齢者など交通弱者にとって病院通いや買い物などに便利なオンデマンドタクシーのほか、広域的な波及効果をもくろむ観光施設の整備や上水道の共同整備といったものまで幅広く、巨額に及ぶのだ。
企画財政課長としては、市と村の長により取組状況等について協議する年に一度の会合の段取りなどの事務局が役どころとなる。計画に掲載された事業の進捗状況の確認が主な目的なのだが、前ぶりなしに双方の首長から事業の効果的展開やてこ入れのための議論も出たりして、企画財政の調整担当としては冷や汗の出る局面も。
私としては、競輪財源の囲い込み志向から合併から外れ独立を決め込んだという印象が弥彦村にはあった。こうした自治体にも手厚いものだという思うし、国が制度で世話焼きしなくとも、自治体各々が自主的に知恵を出して相互協働や補完に取り組めばいいだけではなかと思うところもあった。しかし、市町村というのは良くも悪くも首長が大将の独立国家的性格が強く、思うほどお互いにどう考えて何をやっているかは日常業務の中では分からないのが実態だ。協議や議論というと、とかく対局の立場に置き合って言い合いになりがちな日本の国民性からすれば、こうした"仲良しにさせて持続性を持たせる仕掛け"はすぐには廃れないとは思うが、過剰と指摘されるかも知れぬ財政措置による施策誘導はいつかは見直されると思うので、財源措置がある間に、それこそ自立的な財源での運営可能としたり、民間のビジネスへと誘導したりする仕込みが必要だと、国の財源は有り難いとする一方で思うのだ。
ところが、年間数千万円に及ぶこうした公共交通政策経費について、市では上手に国から財源を得る手法を活用していた。それは国が推進する「定住自立圏構想」という制度に基づく取組に対する地方交付税措置だ。
人口減少や主要都市への人口集中等により、地方の中小都市は行政サービスの維持や充実に向けた体力が減少しているが、各々が単体ではまかないきれないような行政サービスを、近隣の市町村どうし圏域として協働したり補い合ったりして対処していくことで、住民の定住を促進し、引いては自治体としての自立の維持と発展につなげていこうというのが定住自立圏構想の策定とその取組の考え方だ。
国を挙げて進めた平成の大合併により、協働や連携で対処すべき行政課題は概ね包含される体になったのではないかと思っていたが、考えてみれば、特殊な自主財源を持つなど個別事情により町や村の規模であっても独立を続けている自治体があり、行政課題によっては近隣と手を取り合って進めざるを得ない事情はありそうだ。
燕市は隣接する人口規模にして10分の1程度と小さい弥彦村と組んで定住自立圏構想を策定していた。3市町で合併した燕市も基本的には独自で切り盛りできる体力があるはずなので、そこまでするのかとも思ったが、工場主体の街としてコンパクトにまとまる燕市においては、弥彦村の持つ弥彦神社といった全国区の観光資源活用の相乗効果を高めたいし、通勤通学などでの弥彦村との人の流れの太さなどから、一体的な行政サービスの提供が効果的効率的になるなどの利点があった。そして、なによりもこの制度に乗ることで、国の財源を活用できるという誘因が強いのだ。
かくして、燕市・弥彦村定住自立圏構想においては、相乗効果を高めたり補完し合えたりする施策がズラリと並び、それらの年次的な進捗計画と予定事業費が記されている。くだんの市と村を巡回する広域バスや、高齢者など交通弱者にとって病院通いや買い物などに便利なオンデマンドタクシーのほか、広域的な波及効果をもくろむ観光施設の整備や上水道の共同整備といったものまで幅広く、巨額に及ぶのだ。
企画財政課長としては、市と村の長により取組状況等について協議する年に一度の会合の段取りなどの事務局が役どころとなる。計画に掲載された事業の進捗状況の確認が主な目的なのだが、前ぶりなしに双方の首長から事業の効果的展開やてこ入れのための議論も出たりして、企画財政の調整担当としては冷や汗の出る局面も。
私としては、競輪財源の囲い込み志向から合併から外れ独立を決め込んだという印象が弥彦村にはあった。こうした自治体にも手厚いものだという思うし、国が制度で世話焼きしなくとも、自治体各々が自主的に知恵を出して相互協働や補完に取り組めばいいだけではなかと思うところもあった。しかし、市町村というのは良くも悪くも首長が大将の独立国家的性格が強く、思うほどお互いにどう考えて何をやっているかは日常業務の中では分からないのが実態だ。協議や議論というと、とかく対局の立場に置き合って言い合いになりがちな日本の国民性からすれば、こうした"仲良しにさせて持続性を持たせる仕掛け"はすぐには廃れないとは思うが、過剰と指摘されるかも知れぬ財政措置による施策誘導はいつかは見直されると思うので、財源措置がある間に、それこそ自立的な財源での運営可能としたり、民間のビジネスへと誘導したりする仕込みが必要だと、国の財源は有り難いとする一方で思うのだ。
(「燕市企画財政課14「燕・弥彦地域定住自立圏共生ビジョン」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課15「新潟広域都市圏ビジョン・連携中枢都市構想で議会大もめ」編」に続きます。)
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