新潟久紀ブログ版retrospective

新潟独り暮らし時代33「学業は燃えていたか(その4)」

●学業は燃えていたか(その4)

 学業といえばそんな調子(詳しくは前回を)で、とにかく単位の数を稼げれば講義なんか出なくても良いというくらいの考えだった。3年生の時に簿記学という講義を取ったのだが、毎度出席を取るにもかかわらず、バイトか何かの都合で最初の頃から欠席数が嵩んでしまった。もうこの単位は捨てるかと思いかけていて、この日が最後かもと出席してみたら、教授は「日商簿記の2級を取れるくらいなら「良」をくれてやる」という。
 就職活動を前に、何か資格でも持っておいた方が良いかも、しかも、会社勤務に役立つ実益的なものが良いかも、などと考えていた私には好都合だった。経済学部を出たというなら、学術的で哲学的な経済論を習得したというだけでなく、仕事の実務にも活かせる知見を、しかも客観的な資格として得たとできれば、就活にもプラスになるだろう。
 ハッとして日商簿記の試験スケジュールを調べると11月の試験日の申し込み期限はもう明日明日というところ。慌てて商工会議所で申し込んで、試験対策の問題集を買い込み、大学の試験勉強よりも真面目に勉強を始めた。夜のカラオケスナックのバイトのローテなどもあり、正味2週刊程度の突貫工事的な詰め込み学習であったが、結果はなんとか合格。その後、簿記学の定期試験では回答の論述の中で日商簿記2級を取得したことをわざとらしく記載。殆ど出席したことのなかった簿記学も「良」をいただけたのだ。
 それにしても、大学3年生までの講義形式中心の学業においては、殆どが「付け焼き刃」とか「突貫工事」とかそんな形容で語られるような取り組み姿勢だったので、今も頭にしっかりと残って活かせている知見というものが殆どない。そして、単位の数という「量」では卒業要件まで積み上げられても「質」の面では惨憺たるものとなった。
 とにかく「優」評価が数えるほどしか無いのだ。のんきで学業を嘗めていた私は、その事の深刻さを就活を考え始める3年生の後半になってから思い知ることになる。つまり、有名どころの全国区の大手や学生に人気が高いなど"買い手市場"と呼ばれる企業においては、「優」の数が8割以上くらいでないと相手にしてもらえないということが、まことしやかに流布されている時代だったのだ。
 後悔先にたたず。大学生活も大半を終えたこの期に及んで自分の成績に取り返しはつかない。学業の成績不問でやりがいがありそうな仕事はあるまいかと考えるようになった。そんな中で、公務員というのが、学生時代の成績評定の結果とは無関係に、採用のための競争試験の成績と面接による評価で採否が純粋に決められると知った。県職員を目指すにあたっては、本当に真面目に考えたプロセスがあったのであるが(詳しくはこちら)、加えて、こうした採用の方法が私をなびかせた一因になったことは否定できないのだ。

(「新潟独り暮らし時代33「学業は燃えていたか(その4)」」終わり。仕事遍歴を少し離れた独り暮らし時代の思い出話「新潟独り暮らし時代34「大学生の中古車乗り始めの頃(その1)」」に続きます。)
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コメント一覧

niigatahisanori
コメントありがとうございます。
本当に真剣に臨みたい時に周囲の環境がそうでないのは辛いですよね。
以前ブログにも書いたのですが、昭和の大学生時代の私のアパートの住人は騒がしいのが大半で、騒音苦情を申し出る者に不動産屋が逆に転居を勧める有様。
そんな住まいに慣れたので騒音の中でも短期集中でゾーンに入れる精神が身についたのかもしれません。
コーヒーは集中の重要なアイテム。
私は、マンデリン派でした。
ammonite2004
こんにちは。
大学3年次に一週間の勉強で簿記二級を取得されたとのこと、
すごいですね。たった一週間で合格できる人なんてそうはいないと思います。
わたしの学校では心理学の講義がひどいものでした。
先生が書いた本をただ朗読するだけで、教室の後ろの方では、
学生たちが大声で談笑しているのが放置されていたりと、
まるで幼稚園のようでした。
そんな講義ばかりではなかったのは幸いですが、いまでもあのひどさは覚えています。
学生のやる気を削ぐ講義というのはどこの学校にもあるのでしょう。
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