嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ『Snowflake』 (1)

2009年09月20日 | 妄想ドラマ『Snowflake』
妄想ドラマ第4弾を始めます

今回は最初にやった妄想ドラマ『トビラ』の<エピソード1>ってことで。

トビラで智が雅紀と出会う以前の話をやりたいと思います。

そう!センゴクプーとアマツカゼみたいにね。

なので智くんしか出てきません

しかも暗~いお話になりそう・・・だってねぇ・・・

トビラを読んでいただいた方はご存知のとおりですので。


そこで今回の主役には“大町悟”という役名をつけました。

大野智という名前でやるのは忍びない。

私の妄想の中では悟を演じているのは智くんですが、みなさんは5名様のうちの

誰かをご自由にキャスティングしてください。

高校生から始まりますのでビジュアル的にはちょっと前の嵐くんたちで


では主題歌は嵐の『Snowflake』で

できれば2,3回聴いて気分を盛り上げてからどうぞ




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

      


       妄想ドラマ 『 Snowflake 』 (1)




高校2年の晩秋、大町悟は栗原美冬と出会った。


金曜の午後、仮病を使って学校を早退した悟は、自宅とは反対方向の電車に乗った。

前から観たかった映画がきょうで終わってしまうのに、アルバイトが忙しくて

まだ観ることが出来ずにいた。

悟のアルバイト先はチェーン展開しているコーヒーショップ。

スタッフが三人も急に辞めてしまったのに、代わりのアルバイトがなかなか決まらず、

悟は土日もフルタイムで出勤していた。

きょう、学校を早退することは3日前から決めていた。

頭が痛くて熱っぽいので早退したいと担任の女性教師に言うと、

少しも疑わずに

「気をつけてね」

と心配そうに顔を覗き込んだので、ほんの少し後ろめたかった。

隣のクラスの佐々木夏葉には早退すると一言だけのメールを送った。

付き合い出して半年、最近の夏葉は悟の行動をいつも把握しておきたがるようになった。

映画に行くと告げれば夏葉も早退するに決まっている。

でもこの映画だけは一人で観たかった。



映画館の最寄駅で降りると、コインロッカーにカバンと

制服のジャケットを入れ、変わりに私服のフードつきのコートを着た。


映画館はまばらにしか客が入っていなかった。

映画は一人の画家の生涯を描いたもので、不器用なその生き様にあきれながらも

最後は引き込まれて涙が流れた。

自分が映画を観て泣くような奴だなんて誰も知らないと悟は思う。

夏葉も、もちろん知らない。

悟は自分の心の中に誰も入れない領域があることを、小さい頃から漠然と感じていた。

それは成長するにつれ、徐々にはっきりとしてきた。

周りの人間が思っている自分と本当の自分とは違うと思うが、だからといってそれを修正しようとも思わない。

何がどう違うのかそんなことは他人にはどうでもいいことだろう。



館内の明かりがついて少ない客が出口に向かって動き出した。

悟も映画の余韻に浸ったまま、後方の出口に向かって階段状になった通路を歩いていた。

前を歩いていた女性が突然振り返り、低い段差を踏み外してつんのめった。

次の瞬間、その人は悟の腕の中にいた。


突然の出来事に、悟は彼女を抱きとめたまま体が固まったかのように動けなかった。

同級生の夏葉とは違う香りがした。

「ごめんなさい」

女性は慌てて悟から離れると、一言謝って横を通り過ぎようとした。

「痛っ!」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫・・・かな」

そう言って女性は恐る恐る一歩足を踏み出したけれど眉間に皺をよせた。

ヒールの細いパンプスを履いている。

捻挫したのかもしれないと悟は思った。


「あの、すみませんけど、少し下の真ん中あたりの席に紙袋忘れてしまって。

 足痛めたみたいなので取ってきてもらえませんか?」

女性が指差した方を見ると紙袋の赤い持ち手が見えた。

悟が座っていた席の近くだった。

悟は何も言わずに2段跳びで階段を駆け下り、紙袋を取ると、また2段跳びで戻って

女性に差し出した。

「ありがとう。助かりました。どうぞ先に行って」

紙袋を受け取ると、悟のために通路を空けたので悟は出口に向かった。

振り返るとその人は並んだ座席の背につかまりながら、痛めた足をかばい、

一歩進んでは立ち止まることを繰り返していた。

あたりにはもう誰もいない。



「荷物持つよ。俺に摑まって」

引き返した悟が手を差し出すと、その人は素直に紙袋とバッグを渡した。

それから前からの知り合いのように、ためらうことなく悟の腕に摑まった。

またいい香りがした。

香水をつけているのだろうか。

ロビーの椅子に腰を下ろすと女性は苦笑して言った。

「ありがとう。ほんとにドジなんだから恥ずかしい」

黒いスーツが彼女を大人っぽく見せていたが、

明るいところで見るとまだ二十歳くらいにも見える。

手入れの行き届いた髪を触る華奢な白い手が綺麗だと思った。


「これからどうするの?一人で歩けないでしょ」

「友達に車で迎えに来てもらおうかな。電話してみるから待っててもらってもいい?もし時間があるならだけど」

「いいよ。友達が都合悪かったら、通りまで一緒に行ってタクシー拾ってやるよ」

女性はクスッと笑って悟に聞いた。

「君、いくつ?」

「なんで?」

「親切にしてもらっててなんだけど、大人に対して生意気な口きくなと思って」

「たいして変わんないだろ」

「私は23、これでも社会人。君はまだ高校生でしょ?」

大人ぶったつもりなのに高校生だと言われて、悟はわざとぶっきらぼうに答えた。

「17」

「17か・・・純粋なんだね」

純粋という今まで言われたことのない言葉に悟は動揺した。

「若けりゃ純粋だなんて単純だな」

「そうじゃなくて、泣いてたでしょ?映画観て。私は感動したけど泣けなかった。

 大体こんな地味な映画を、高校生の男の子が一人で観にきてることが不思議だもの」

「バイトまで時間あるから暇つぶしだよ」

「そう。主人公みたいに絵を描いているのかなと思ったのに違ったみたいね」

悟は泣いていたのを見られたのに不思議と嫌ではなかった。


女性は誰かに電話をかけ終わると、バッグから名刺を取り出して悟に渡した。

名刺にはギャラリーFREESTYLE 栗原美冬と印刷されていた。

「迎えに来てくれるって。でもここまで30分くらいかかるからもう少し話しをしない?私は栗原美冬。君の名前は?」


それから、二人は今観たばかりの映画についてあれこれと話した。

同じ映画に感動したということが親近感を生み、心地よい時間が流れた。

やがて美冬の友人という男性が現れて、悟は映画館を後にした。

親切にしてもらったお礼がしたいからいつでもギャラリーに遊びに来てと言われ、頷いたものの

この人と会うことは二度と無いだろうと悟は思った。

 

       --------------つづく------------



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちょっと長くなってしまいましたね

Snowflakeは嵐のシングル『Happiness』に入っている曲です。

そうStillと一緒にね。

さてあなたの中で悟は誰になりましたか?

私は智くんが美冬さんを抱きとめたシーンを妄想してうっとり!でした


では


拍手ありがとうございます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする