嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ 『Snowflake』 (3)

2009年09月26日 | 妄想ドラマ『Snowflake』
いつものように主題歌は嵐の『Snowflake』でどうぞ



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    妄想ドラマ 『Snowflake』 (3)




悟の部屋の灯りが消えた。

薄いカーテンの隙間からわずかに街灯の光が漏れる。

「怖い?」

と悟が聞くと夏葉は首を振って

「平気」

と答えた。

言葉とは裏腹に、悟の背中に回した夏葉の手はTシャツを握り締めていた。

悟は洗い立ての夏葉の髪をかき上げ、うつむきがちな彼女の顔を首を傾げて覗き込んだ。

突然、熱い衝動が全身を駆け抜けた。

「夏葉」

強く抱きしめると、ほのかにシャンプーの香りがした。

二人はベッドに倒れこむと今までとは違う濃厚なキスを繰り返した。

悟は体を起こすと自分の服を脱ぎ、それから夏葉の服を脱がせにかかる。

夏葉は心も体も悟にゆだね、されるがままだった。

ぼんやりと浮かびあがる白い肌に唇を這わせると

夏葉が静かにゆっくり息を吐いた。

そこから先はお互いの息遣いしか聞こえない、二人だけの世界。

心も体もひとつになりたい、悟に近づきたい、夏葉の願いはそれだけだった。


やがて熱い吐息は静かな深い呼吸に変わり、二人は裸のまま身を寄せ合って、

体温で愛を確かめ合っていた。

まだ未熟な悟と夏葉ではあったけれど、心は満たされていた。

「初めての人が悟でよかった」

夏葉の囁くような声が愛おしい。

悟は腕の中の夏葉の滑らかな肌をなでながら、ずっとこの時が続けばいいと思う。

それでいて、自分が初めて女性を知った日のことをぼんやりと思い出していた。



その人はアルバイト先で知り合った19歳の女子大生で由佳という名前だった。

お客の中には彼女目当てで来る男性が何人もいるくらい可愛い顔をしていて、

よく悟と同じシフトになった。

一ヶ月くらい経ったころ、仕事が終わるのを待ち伏せしているサラリーマンが

いて困ると由佳に相談され、途中まで送るようになった。

彼女の部屋で関係を持つまでに時間はかからなかった。

時々バイト帰りに一緒にコンビニに寄り、そして誘われるままに部屋を訪れる。

そんな関係が3ヶ月ほど続いた。

由佳についてわかったのは、彼氏と別れた寂しさを紛らわせるため

悟と寝ているらしいこと。

彼女は感情の起伏が激しくわがままなことくらいだった。


「もう来ないで」

ある日、突然言われて短い二人の関係は終わった。

きっと新しい彼氏でもできたのだろう。

悟は驚かなかったし、悲しくもなかった。

夏葉に告白されたのはそれからしばらく後のことだ。

由佳の綺麗な顔は、悟の記憶の中でもうぼやけ始めている。



「服着ようかな」

夏葉の声で悟は我に返った。

「どうして?」

「だって恥ずかしいもん」

「今更?」

夏葉はそれには答えずに手探りで、ベッドの周りに落ちているだろう下着と服を探し始めた。

「電気つけようか。俺、その辺に投げちゃったかも」

「やだ、待って」

慌てて二人が掛けていたタオルケットの中に、首までもぐりこんだ夏葉の髪をなでながら、悟は言った。

「好きだよ夏葉」

自分から、はっきりと口に出して言ったのはこれが初めてだった。



       ------------つづく-----------


コメント
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