嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ『スパイラル』 (15)

2011年01月15日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
   妄想ドラマ『スパイラル』 (15)



「私は何も気にしてないから頑張って」

「ありがとう。さすがの余裕ね」

穏やかな口調だがトゲがある。

「渉さんも私も主演なんて初めてだし、飛躍するチャンスだと思うの」

「そうね」

「それからベッドシーンもあるけどごめんね。美菜ちゃんと違って、

 私は脱ぐのはいやだとか言ってられないから」

「別に。仕事だから」

「よかった。友達の彼氏とラブシーンはさすがにやりにくいなって思ってた」

美菜は電話を切りたかったが、渉のことを考えて我慢した。

「美菜ちゃんは友達なんて思ってないか。本当は気がついているんでしょ?」

「何のこと?」

「いいわよ渉くんに言っても」


美菜は沙織の言っていることが、何のことなのかわかっていた。

救急車で運ばれたあの日、沙織が美菜の楽屋に何度も来ていた。

忙しくしていた川崎に代わってコーヒーを入れてくれ、

冷蔵庫に用意してあった美菜用のサンドイッチやクッキーを

テーブルにならべてくれたのも沙織だった。

当日はショックで混乱していたが、後から落ち着いて考えてみると

沙織への疑いは強まるばかりだった。

証拠はない。

それなのに沙織は今頃になって、告白と取れるようなことを言っている。


「きっと渉くんはあなたが言うことを信じてくれるわね。ただ彼のことだから

 苦しむことになるでしょうけど」

すべてを知れば、渉は沙織との共演を拒否するだろう。

でもクランクインは明日だ。

今更、映画をキャンセルすれば渉の今後の仕事どころか、

小さな事務所の存続すら危うくなるかもしれない。

それでなくても週刊誌の件があるから、事を荒立てれば沙織だけではなく

渉も役を降ろされる可能性も高い。

美菜は沙織の意図が読めなくて困惑した。

「どうして今になって、そんなこと話したの」

「どうかしてるわよね私。でも心配しないで。私は渉くんを苦しめたいわけじゃない。
 
 彼には幸せでいてもらいたいのよ。でもあなたじゃ彼を幸せにできない。

 あなたじゃ嫌なの。綺麗で頭もよくて仕事にもめぐまれて、なんでも持ってるのに

 あの人まで」

「表から見えるだけがすべてじゃない」

「あなたなりの苦労があったって言いたいのよね」

「私を陥れてもあなたは幸せにはなれない」

「わかってる。どうするかはあなたに任せる」

突然電話は切れた。


----------つづく------ 16話へ
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2 コメント

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ドキドキ (ミモ)
2011-01-17 19:41:00
はじめまして。去年から読ませていただいてます。小説を書くのは大変じゃないですか?私は全然ダメなので感心しながら読んでいます。毎回続きが楽しみです。ドキドキしますね。無理ない位に頑張ってください。待ってます。
返信する
ミモさん (バジル)
2011-01-18 18:55:03
はじめましてミモさん。
自分では小説だとは思ってないんですよ
嵐くんが演じたらキュンときそうなドラマを妄想してるだけで。
妄想は得意ですが、文章にするのはなかなか苦労してます。
一緒に楽しんでくださる方がいるとすごく嬉しいです。コメントありがとうございました
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