嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ『スパイラル』 (25)

2011年04月24日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
  妄想ドラマ『スパイラル』 (25)




あっという間に数日が過ぎ、二人で夕食を食べた後、渉が美菜に話があると切り出した。

私もと美菜が言った。

「なんだか今日は雰囲気違うね。少し元気になった?」

「うん。川崎さんのことはショックだけど、このまま落ち込んでいるのは私らしくないし

 、渉さんに甘えてばかりはいられないもの」

「そう?俺はかまわないけど。で、話ってなに?」

「渉さんの話を先に言って」

「美菜の話を先に聞きたい」

渉が言うと、美菜の表情が少し硬くなった。


「あのね、しばらく海外に行こうと思うの」

「旅行?」

「旅行じゃなくて・・・長期で。イギリスに従妹がいて、おいでって言ってくれてるの

思いがけない美菜の言葉に渉は驚いた。

「長期ってどれくらい?」

「2年か3年か・・・行ってみないとわからないけど」

「どうしても海外へ行かなきゃダメなのかな。俺は・・・」

美菜と離れたくないという言葉を呑み込んだ。

「語学留学して、むこうでこれからのことをゆっくり考えたいの」

渉は黙って頷いた。

納得したわけではなかったけれど、言葉を思いつかなかった。

「仕事辞めることこれ以上隠しておけないし、今まで応援してくれてたファンにも

 きちんとお礼を言わなくちゃ」

「そうだね」

「でもそうなれば渉さんのところにマスコミが・・・」

「そんなことは気にしなくていい。それより美菜のこれからに

 高野渉は必要なのかな」

「渉さんのことが好き、大好き。それだけじゃだめ?」

「わからない」

渉は不機嫌そうな自分の声に驚いた。

でも理由は分かっている。

美菜が遠くへ行ってしまうのが嫌だから。

国内では美菜がどこへ行っても人々の注目を集めてしまう。

自由に行動することもままならならない。

そんなことは分かっているけれど、次にいつ会えるかわからないほど

離れてしまうのはどうしても嫌だった。

一緒に暮らすなんてことを考えていた自分が滑稽で仕方ない。

気まずい沈黙の時が流れた。


美菜が大好きだから離れたくないと言いたかったのに、渉の口から出た言葉は違っていた。

「もう決めているんだろう。思うとおりにすればいいじゃない」

立ち上がって寝室に入ると、ドアを乱暴に閉めた。

素直になれない自分と、二人が離れてしまう道を選んだ美菜に腹を立てながら、

ベッドに倒れこむ。

しばらくして、美菜が部屋を出て行く気配がした。


   ---------つづく--------


次回は最終回の予定です。


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