西京極 紫の館

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光圀伝 (上・下)  冲方 丁/著  角川書店

2015年08月11日 15時19分02秒 | 西京極の本棚
             

【紹介文】
「なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか」―― 老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎でその経緯と己の生涯を綴り始める。父・頼房の過酷な“試練”と対峙し、優れた兄・頼重を差し置いて世継ぎに選ばれたことに悩む幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れる中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて文事の魅力に取り憑かれた光圀は、学を競う朋友を得て、詩の天下を目指す――。
誰も見たことのない“水戸黄門”伝、開幕。

【総合評価】 ☆☆☆☆☆(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆☆
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
冲方丁の小説を初めて読んだ。冒頭いきなり主人公・徳川光圀が“何者か”を刺殺する場面から始まる。それが誰かは中盤で予想出来るが、なぜ殺さねばならないのかは最後の30ページくらいまで読み進めないと解らない。ミステリー仕立ての歴史小説である。光圀と云えば水戸黄門として有名だが、日本初の公式歴史記録「大日本史」を編纂した人物であることはあまり知られていない。本作では光圀が史記にどのような意義を抱き、大義の為に生きたかを描き、人の上に立つ者の心得を説く。人生読本であり、ビジネス書でもある。文章は平易でありつつも格調高く、読み易い。まだ38歳の若い作家だが、今作が『天地明察』につづく歴史小説2作目とは思えない筆致。これだけ褒めてもまだ褒め足りない。これからの活躍が楽しみな作家である。

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