私がまだ知識が少なかった頃のお話で
鉄筋コンクリート構造マンションの現場監督をしていた時の事
ある階の大梁主筋本数が一本少ないと配筋検査で指摘を受けました。
その鉄筋は上筋のD25で断面積が5.067mm2あります。
監理者がいう対処方法はD10(断面積が0.7133mm2)を3本束ねて梁内に挿入して下さいとのこと
理論はD10×3=D30になるのでD25より大きくなるという事です。
当時、私は2級建築士を持ってましたが、間違いに気づきませんでした。
用いるべき鉄筋に断面積を書いているのがヒントなのですが、鉄筋の強度は断面積に比例します。
また、規格SD295AとSD345では強度の違いがあり
SD295Aは195N/mm2(長期)
SD345あ215N/mm2(長期)
と単純に断面積が増えるから強度も増えるという計算になりません
これを当てはめると
D10×2は 0.7133×3=2.1399mm2となり
D25の5.067mm2より小さくなります
当然ながら、断面積不足=強度不足であります。
強度計算上で2.6倍(415N:1089N)も差があるので、間違いの補強とは言い難いです。
しかし、梁の上側鉄筋の役割を考えると一概に間違いでもない
これは大梁が受ける応力図を見れば解ること(今回は省略)ですが、
梁の中央部上筋は、応力だけに特化すると無意味です。
中央部は下筋が重要であり
端部(柱側)は上筋と下筋が重要、ただし、上筋の方が必要本数が多くなる。
これらは曲げ応力図を見れば解ることです。
施工管理の技術者にこれを問うのは厳しいかもしれませんが、
仮設構造物の設計をする場合に応力計算するはずなので、理論は解らるはずというのが私の理論
当然、必要本数を間違えた時点でOUTですが
間違えに気づいた時点で対処方法は言われたからと言ってやるのではなく、理にかなった検討をすべきと思います。
今回の建物は築27年を迎えますが、大地震にも耐えています。これが救いとも思いませんが
間違いは少ないに越したことはないですね!